東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

キャベツ・多様性・人のつながり。。。。

2009年11月18日 (水)

143仙台も随分と寒くなり、あっという間に、11月も半分以上終わったことに気がつき、今年書き残した論文をなんとか今年中にと思って、日々、こうしたことに追われています。「もったいない」というのは、国際語のようで、ご飯粒を残すのは、作ってくれた農家の人に申し訳ないと教えられました。というわけではないですが、やはり、実験をしてくれた人、協力してくれた人に、感謝する意味でも、積み残しをしないで、たくさんの論文を書きたいと思うのでした。

 

今年もずいぶんたくさんの出前講義などに出かけました。また、日本各地で、アブラナの多様性、ダイコンの多様性の研究のお手伝いもしております。そんな折、そんな出前講義を大きく発展させるきっかけを頂いたJSTのとある方から、とても興味深いHPのURLを教えていただきました。

http://sciencewindow.jp/

なんと、そこには、研究材料である、Brassica oleraceaというラテン語名のいわゆる「ハボタン(花キャベツともいうそうです)」が大きく写っており、また、その脇に、ちゃんと、その花が添えてあり、とても感動しました。この種には、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、コールラビー等、多様性に富んでいますし、食卓でも見かける身近な野菜です。

 

そんな野菜も、ちょうどこの時期、お正月前には、ハボタンの生け花をしたり、マツなどと一緒にはち植えにして、お正月らしさを出すのに使われるものです。種をまいてすぐは、キャベツと変わりませんが、大きくなるにつれて、葉っぱがまかないで、ただただ広がり、中心部が白くなったり、赤くなったり。たぶん、アントシアニン系の色素が欠落した変異体、あるいは、その色素ができる変異体なのだろうと、町中で見つけると、うれしくなるものでした。

 

それがなんと、JSTから出ている「科学するこころを開く Science Window」の表紙を飾るとは。。。早速、A4に印刷して、そのきれいさに感動するとともに、自分が実験に使っている材料をこの様に取り上げてくれるところがあったこと、それが、サイエンスつながりで、高校生のSSHであったり、大学の未来の科学者養成のサポートをしているJSTであったことに、人のつながりは、なんと不思議なことなのかと。

 

誰かの言葉だと思いますが、「集団は多様だから、進化する」というようなニュアンスの言葉があったような気がします。キャベツがもっている自家不和合性も、多様性を獲得する重要な形質であり、それの分子機構を解明しようとしているわけです。研究室だけに限らず、できるだけ外の様々な方と接して、また、共同研究を行ってきたことが、大きな広がりになったのだと思っています。これも人のつながり、そして、新たな多様性を生むことになるのだろうと。

 http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/concept.html

そんなことを思ったとき、出前講義で多様性の講義を始めるきっかけを頂いたJSTの方に感謝の心でいっぱいになった次第で、とりとめのない文章を書いたのでした。さらに人がつながり、研究をする楽しさを伝え、それがまたどこかでつながれば、良いと思っています。ありがとうございました。

 

わたなべしるす

≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE