東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2009年12月の記事です。

鹿児島県立錦江湾高校でのSSH「ダイコン多様性研究コンソーシアム」重点枠研究会・運営指導委員会(12/11)

2009年12月11日 (金)

SSH九州地区発信の「ダイコン多様性研究コンソーシアム」(機関校:鹿児島県立錦江湾高校)の指導委員を務めることから、参加校が一堂に会し、研究プロジェクトの発表、評価、指導などを8月に続いて行いました。


http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/08/19185306.php
http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/news/2009/10/17152658.php


昨今の新型インフルエンザの影響でしょうか、いくつかの参加できない高校もありましたほとんどの高校が参加され、発表・意見交換ができたのは、有意義でした。


何より、8月から開始し、4ヶ月という間で興味深いdataを出していた高校生たちの研究に対する真摯な態度は、われわれも見習わないといけないと痛感しました。特筆すべき点は、農業高校との連携で、市場価値があると思えるような「ダイコン」が栽培され、低温処理を施し、開花させ、交配を試みたり、植物体に「動かす」というストレスを与えているような実験など、基本的であったり、おもしろい発想で研究をされているのは、興味深いものでした。


実験・研究をするというと、どうしても「遺伝子」、「生物活性」など、今のはやりのようなことに目がいきがちですが、それも大事ですが、生物学の基本はやはり、形態観察だと思います。野生型と変異体の違い、品種間の差異がどこにあるのか、ということを「観察する目」を持つことは、これから研究者を目指す若い人たちには重要だと思います。ぜひ、このダイコン研究を通して、そうした観察眼を身につけてください。


1年ごとの申請・採択という厳しい枠のようですが、ぜひ、来年以降もこのコンソーシアムが展開され、さらなる発展を見ることをできるのを楽しみにしております。

 


わたなべしるす

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最近読書に目覚めました。

2009年12月10日 (木)

ずいぶんとお久しぶりの高田です。このHPをごらんの皆様、ご機嫌いかがでしょうか??

私は、アブラナの仕事を中心に研究を行っております。

渡辺先生の研究室で実験を初めてから10年以上が経過しました。これだけ長く、実験させていただけるのも、研究テーマのおもしろさと、それに触れるきっかけをくださった先生のおかげであると常々感謝しております。

さて、実験の方はというと、秋の交配がだいたい終わりにさしかかっております。通常、秋交配は9月後半から10月いっぱい位で終わり、12月というと来年の春交配用の植物を植え始める時期にあたります。

今年は諸事情(機密です)がありましてここまで引っ張ってしまいました。段取りが悪かったと反省しているところではありますが、長く暗い時期を過ごしてきた私の研究にも徐々に光が差し込んできた感触がたまらなくもあります。

今年中にやらなければならないことも、まだまだ残しており、年末、年度末に向けて気が重くなりますが、ここが踏ん張りどころでございます。これを読んでいる方々も、お忙しい時期が続くと思いますが、どうかお体に十分に注意していただきたいと思います。

TaKaDa

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仙台市立川平小学校・科学工作クラブの研究指導「キャベツとブロッコリーからできる植物は??」(12/9)

2009年12月 9日 (水)

東北大と仙台市教育委員会の連携による出前講義が発展し、今年は川平小学校の科学工作クラブの研究指導を2回行いました。1回目は、10/21のキャベツとブロッコリーが同じ種(Brassica oleracea)である、という講義で、


http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/21152147.php


その2回目の指導が今日でした。今日は、栽培・観察を続けている植物を見ていることも重要ですが、それに加えて、実際に雑種を作るとどんなものができるのか、ということについて、8つの班に分かれて、新しい雑種植物の想像図を書いて、みんなで議論をしてもらいました。


最初に、キャベツとブロッコリーの横断面がどうなっているのか、普段どれくらい観察しているかを書いてもらいました。きちんと絵を描くことができた人は、真ん中に茎があって、そこから葉っぱが出ているのをうまく書いていました。毎日の食生活での観察の賜物だと思いました。そのあと、班ごとに雑種植物の想像図を書いてもらいましたが、7つの班は、キャベツの中にブロッコリーができる、あるいは、キャベツの真ん中からブロッコリーが葉っぱをかき分けて出てくるというものを書いてくれました。ブロッコリーの茎とキャベツの茎が同じ起源であり、お花は、茎の先端に咲くと言うことをよく理解しているのだなと、感動しました。これも指導をされている先生方があればこそと思った次第です。

春には、ぜひ、新しい雑種を作るべく、交配をできればと思いますし、継続的に連携ができればと思います。最後になりましたが、渡辺がキャベツとブロッコリーを持っていくことを忘れていたのですが、きちんとそれをカバー頂いた、加藤先生にはお礼申し上げます。ありがとうございました。

 


わたなべしるす


PS. 今年の仙台市内の小学校との連携は、これで最後ですが、12/25に仙台市教育委員会主催の発表会があり、七北田小学校とのこれまでの取組について、発表します。そのときに、これまで講義でお世話になった先生方にお会いできるのを楽しみにしております。

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福島県立福島高校でのSSH特別講義「博士になるとは?研究者とは?---いろいろな出会いがあり、決断があり、そして。。。---」 (12/7)

2009年12月 8日 (火)

SSHの関係で福島高校に伺うのは、4回目となりました。今回は、渡辺以外に、分野の異なる大学、研究所の「博士」という学位を持っている3名の講師が、どのようにして、学位を取り、研究者となったかという「キャリア教育」が行われ、講師として呼ばれました。他の2名の講師としては、電気・電子・プラズマという分野を研究されている、東北大学大学院工学研究科の安藤教授、海底堆積物・地球化学・南極観測というキーワードが当てはまる海洋研究開発機構の原田リーダーでした。渡辺が植物、遺伝、多様性ということなので、講師陣もきわめてheteroで、3hrを超える講義と討論会でしたが、あっという間に終わったのでした。


研究者というキャリアという側面からの話でしたが、どの先生が言われることも、人生の分岐点でどのような師匠に会うか、刺激を受けるかということ、もちろん、その刺激を感じることができるかということが、重要であると。確かにそれはあると思います。東北大・農学部に入って、最初に日向先生にお会いしたとき、「統計学は勉強してくるように、遺伝・育種学には大切ですからと。」そんな言葉を今更のように思い出しました。また、自家不和合性の研究をしようと思ったわけでもなかったですが(というと失礼になるかもしれませんが。。)、その後の宿敵となる「Cornell大学のProfessor Nasrallah」とあったのも、研究室配属前の3年生のときの農学部でのセミナーでした。もちろん、このときの話で覚えているのは、富士山を背景にして、アブラナが咲いている絵と、電気泳動パターンの分離が、S遺伝子の分離と一致している。そんな頃でした。それが渡辺の英語力の限界でした。


受講された生徒さんもそれぞれ、いろいろな影響を受けたと思いますが、それがよりよいこれからの生活、人生に生かしてもらえれば、と思います。ぜひ、こうした機会がまた、開催されることを楽しみにしております。


最後になりますが、本企画をいただいた、福島高校・秦先生、橋爪先生をはじめとする多くの先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 


わたなべしるす


PS. 生徒さんたちも影響を受けたと思いますが、講師陣、先生方は、同時代を生きてきたものとして、あのときは、そんなこともあったと。そんなことを思い出させてくれるよい時間でした。ありがとうございました。

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秀光中等教育学校での特別講義「博士になるとは?研究者とは?---いろいろな出会いがあり、決断があり、そして。。。---」(12/8)

2009年12月 8日 (火)

「科学者の卵」での講義がきっかけとなり、「キャリア教育」を外部で行うことになりました。昨日の福島高校に続いて、連続の講義です。科学者の卵での講義の前に、SSHプログラムを行っている和歌山県立日高高校での講義から数えて、8回目となり、受講生も、1,000名を超えました。


秀光中等教育学校は、中高一貫の私学という関係で、3, 4年生対象(中学・高校でいえば、中3, 高1)に講義でしたが、160名を超える聴講で、かなり圧倒されるものがありました。講義と質疑の時間を入れて、2hrということでしたので、ある程度、どのような小中校生時代を過ごし、また、どのような人の出会いがあり、その大切さが、今に至っているということ話することができました。質疑の時間では、自分の将来、5, 10年という先においても何をしているとか、どんな目標に向かっているとか、そういうことがはっきりしている生徒さんがいたのは、とても感心でした。ぜひ、今までの人生、将来、どんなことを考えているかということを整理してみてください。きっと何かが見えてくると思います。


今回の講義のきっかけも、「科学者の卵」という人との出会いでした。そんな人との出会いがきっかけとなり、さらに大きな連携に発展できればと思いました。最後になりましたが、今回の講義の開催に当たって、企画・運営をいただいた、日比野先生、奥山先生に感謝申し上げます。ありがとうございました。次回は、渡辺のサイエンスを語るような出前講義ができればと思います。

 


わたなべしるす

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