東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

継続性、新規性、その先にあるもの。。。(6/10、追加更新)

2010年6月 9日 (水)

 6/6からシロイヌナズナの国際会議が横浜で開催され、研究室からもいくつかのポスター発表などを行った。シロイヌナズナがこのように、世界中で研究するようになることを誰が予想しただろう。初めて、シロイヌナズナの栽培風景を確か、宮城教育大の後藤先生のところで拝見したときに、驚いたことがある。イネの栽培ではないのに、アブラナ科という比較的乾燥地に起源があり、その当時、カブ、キャベツなどを栽培して、自家不和合性の研究をしていた渡辺には、水浸しの中に、ロックウールをおいての栽培には、びっくりした。というより、こんなことをして、栽培できるのだと。カブとか、キャベツであれば、数日に1回、たっぷり水をやるということ、それが教えだった。20年近く前であるが、このとき、シロイヌナズナを材料にしている人は多くなかったし、また、自分でシロイヌナズナを使って、研究し、論文発表ができることさえ想像できなかった。そういった意味で、何十年と1つのこと、あるいは、1つのものに対して、集中して研究することは、大きな意味があるのだろうと。シロイヌナズナは良い例かもしれない。ただ、継続の中に発展を持たせて、アブラナ科植物全体、あるいは、アブラナ科作物、さらには、植物全体に研究を展開することも大事であろう。ところで、水浸しのシロイヌナズナと土の上のシロイヌナズナで何か、変わったところがないのだろうか。きっとあるような気がする。そんなことを、ふと思ったのでした。

DSC_0925.JPGのサムネール画像 継続という点では、教育も同じである。続けることの大切さ、難しさは重々承知している。一度、欠落するとそれを取り戻すのには、何十年もかかると、教育だけでなく、継続の重要性は話になる。そういえば、渡辺も運営委員を務めている東北大のプロジェクトである「未来の科学者の卵」で、昨日、去年1年間の活動を毎回、そのときの感想をまとめていた生徒さんがいた。毎回、講義に出れば、こちらからレポートを課すわけであるが、それ以外のものを毎回、その感想としてまとめるのは、高校生という忙しい時間の中でやり続けることは、大変だったと思う。他にも同じような受講生がいるだろうし、今年の受講生にも同じことではなく、もっと発展させた何かを継続してもらいたいものである。

DSC_3072.jpgのサムネール画像
 同じように教育の継続という点では、先の横浜でのシロイヌナズナの国際会議にダイコンコンソーシアムに参加している数校の高校生が、ポスター発表をしていた。これもこれまでの継続した研究の積み重ねをまとめたものかもしれないが、高校生の国際会議での発表という点では、継続から新規なことへの転換とも言えるような気がする。SSHをやっている高校で海外への研修というのがあるが、海外がどんなところというのも大切かもしれないが、世界レベルの研究者が来ている、国際会議で発表をし、外国の研究者とdiscussionをすることは、海外への研修では得られない経験となるような気がする。少なくとも、渡辺にそんな機会があれば、また違った人生になったような。。。。

DSC_3055.jpg
 新しいこと、新規なことというのは、大変なことである。ただ、よく考えれば、何かを継続していたとき、それもその現象なり、材料をよく観察していれば、ふとしたことで、新しい面が見えてきて、それが新規なことになっていくのかもしれない。その意味で、身の回りに四季折々に変わる花であり、植物の様子を観察し、カメラに納めて、並べてみるだけでも何か新しいものが見えるのかもしれない。絵心のない渡辺には、カメラという道具の力を借りるしかないのであるが。。

RIMG0441.JPG
わたなべしるす


PS. ダイコンコンソーシアムについては、アブラナ科植物をこれまで研究材料にしたということもあり、運営指導委員を仰せつかっているが、この活動が、文科省の方でも評価しているという記事を見つけた。指導している立場としても、うれしい限りである。

RIMG0438r.jpg

≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE