東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

自然、技術背景、その時代に合わせて、・・・、その先に(12/19)

2010年12月19日 (日)

 大きくいえば、「自然科学」の中を研究している。自然の摂理を理解するということなのだろう。植物の場合、その自然からの影響は大きい。さらに、植物が日々変化することで、自然を作っているという側面もある。そんな植物の毎日の変化をどれくらい捉えているだろうか。植物に限らなくても、自然を。結構、難しいと思う。日本のように南北に長いと、出張で、西南暖地へ行くことがある。そうしたとき、やっぱり、植生が違うなと感じる。食べるものが違うなと。そんな違いだけでなく、毎日の自然の変化を捉える完成があれば、「自然科学」を考える上で、大きな力になるのであろう。なかなか、すぐに身につくものでないので、日々、トレーニングしたい。

DSCN5284.JPG 科学する上で、技術は欠かせない。技術背景が異なることにより、できること、できないことがある。1990年代には、遺伝子の実験をしようとしてもかなり困難であった。今や、次世代シークエンサーを使うことで、ゲノムを開けることができるが、そのためには、情報科学の力を借りることが、必然と言える。ただ、勘違いをしてはいけないのは、ゲノムがわかったからといって、そこにコードされている遺伝子の機能がわかるわけではない。やはり、そのいきもの、植物、作物の営みをきちんと観察することの方が重要であろう。

 自然も日々変化するが、それらが作る、その時代というのも変化している。昔であれば求められなかったもの、現時点で、迅速に解決すべきことなど、時代に合わせざるを得ないことがある。では、時代に合わせていればよいのだろうか。時代を先取りしたり、その時点では発想しない、受け入れられがたいようなことを、場合によっては考えることも、自然科学者として、key pointになる。プロ棋士のように、数十手先まで読むことは難しいが、せめて、数手先を見据えたい。また、盤状を俯瞰するように、それぞれが置かれている現状を大きくとらえることができないものかと。。。

 時代ということでは、「社会貢献」がクローズアップされている。そういえば、出前講義に行って、「品種改良の方法・実際」について、ずいぶん質問を受ける。育種、品種改良という言葉は広く見られるようになったが、その中身まで、十分に伝わってないのかもしれない。その時々に対応して、社会に対してもきちんとした発信をすることが大切なのであろう。そうすることが、時代の先を見据えることにつながるのかもしれない。

 わたなべしるす

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