東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

古いもの、新しいもの、その先を。。(12/18)

2012年12月18日 (火)

 骨董品のような古いものを集める趣味はない。集めているとしたら、実験というか、研究というか、その関係で気に入った種子は集めるようにしているくらいだろうか。ただ、集めるとそれなりに場所をとる。種子であっても。大学時代の師匠であった日向先生の言葉ではないが、「育種は捨てることを考える学問」ということもあり、一定の新陳代謝を図っている、研究についていえば。。。ただ、古いものを見ると、その当時のことを思い出し、懐かしくなるのは、誰しもではないだろうか。ことしは、DNAが二重らせん構造をしているという論文が出て、60年になるらしい。DNAを扱ったことがあるのに、原著はなるほどと思ってみた程度なので、発行年を覚えていないのは、。。と思った。ただ、実際に遺伝子の実験を始めたのは、1990年から。最初はplasmid DNAがとれて、制限酵素で切れて、うれしかった。そのうち、cDNA libraryを作り、phageに組み込んだcDNAをplasmid vectorに移し替えるのには、かなり時間をとられた。というか、できるまでにかなり難航した。とれていると思って、DNA sequencingをしたときに使ったのが、写真のABI 370A sequencer。このあと、version upなどあり、現在に至っている。phage vectorに組み込まれたDNA断片の大きさを判断するのに、PCRを使った。教えてもらった助手の先生とどちらがうまくいくかを勝負して、勝利を収めたのも懐かしい。そのときの機器が、このPCR装置である。

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DSCN5005.JPG では、最新のものは。。。顕微鏡なのに、鏡筒がないのもあるらしいというか、ものだけは見た。sequencerにしても、次世代sequecerが登場し、その次の世代も開発だけでなく、実用段階にある。ただ、あまりに大量でどうやってこなすのか、など考えただけで、昔のやり方では無理があるというか、無理である。それは、RIでsequenceをしていたときには、X-ray filmからバンドをよんで、ATGCをtypingしていた。それが、sequencerの登場ではそれも不必要になった。新しいものが生まれることで、それに付随した他のfactorが必要になってくる。今回の次世代sequencerは、かなりギャップが大きいような気がするが、何とかしないといけない。。。

 では、その先はどうなるのか。。。結構難しい話かもしれないが、何とか読み間違えをしないようにと思う。ただ、この前に新聞で見たが、今年の将棋の名人戦で流れを変えたのは、読み間違えだったとあったような。。。プロでもそうだから、というのは許されないと思う。こちらも別の意味でプロなので。少なくとも2013年に飛躍するために、読み違えないように、さらにその先に続くようにと考えるきっかけになった古いものであった。

 わたなべしるす


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