東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2013年1月の記事です。

【出前講義】石川県立翠星高等学校特別講義・小松高等学校SSH集中講義-2(「高等植物における生殖・受粉反応、アブラナ科作物の多様性」)(1/24)

2013年1月24日 (木)

 昨日は、小松高校で主に研究指導。中日は、「高等植物における生殖・受粉反応、アブラナ科作物の多様性」というタイトルで、農業高校の翠星高校と小松高校で講義を。今まではこの講義は農業高校で行うことが一般的で、普通科の高校で行ったのは初めてかもしれません。それも午前、午後で同じような講義というのも。。。朝、小松高校に伺ってからでしたが、今日も違うversionのwelcome boardが。。。さすがの域になってきました。。。というか、午後にもさらにversionが変わっているというこり方。。。感動です。ありがとうございました。

DSCN5352.JPG
DSCN5391.JPG 翠星高校ダイコンコンソーシアムに参画されており、夏には小学生に鹿児島でいっしょに出前講義をして頂きました。ずいぶん古い歴史があり、札幌農学校と並ぶ、古い歴史があるとか。札幌農学校は、もちろん、今の北海道大学農学部ですが、もとは、東北大学の農学校として設立されたはず。。。お米甲子園で金賞受賞だったり、模擬株式会社を校内でやっていることが表彰されたりする、activityの高い高校。校長室には毎日、生け花があるとか。やっぱり花は落ち着きます。

DSCN5354.JPG
DSCN5356.JPG
DSCN5357.JPG さて、講義ですが、この講義と同じパターンを農業高校で行ったのは、10月の福島の岩瀬農業高校以来。ほぼ、同じようなことを学習している生徒さんだったので、とてもよい反応で。それぞれの地方で、これに対してよく反応するなど、教える内容は同じでもとらえ方の違いでしょうか。そんなことを感じた講義でした。最後には質問の時間もあり。講義の後には、ダイコンコンソーシアムについてのこれからの方向性なども議論できました。ありがとうございました。よろしくお願いします。

DSCN5373.JPG
DSCN5386.JPG 小松高校では、時間の関係で希望者だけに。明日、1年生理数科に「自家不和合性」の講義予定があり、昨年秋には、2年生の生物履修者に「自家不和合性」の講義をしていたので、アブラナ科作物の多様性と品種改良について、話を変更して。。。小学校の出前講義でよく行っている「キャベッコリー」、「種(しゅ)が同じであるということは」、「アブラナ科作物の多様性」、「品種改良とは」というような話に。実際に、雑種を作ったらどんな絵になるのか、普段食べているアブラナ科作物で、どの作物とどの作物が同じ種で違うのか、形態だけでは同じとは言えないなど。前日のダイコンの観察・調査などでサンプリングした実際のダイコンを観察しながら。。。また、品種改良の実際的な過程、雑種強勢の実際も例示しながら。。。考える講義をトライしてもらいました。ここで講義をした方々が、雑種強勢などまだわかってないことを解明する世代になると思います。そうした方々と、いっしょに研究ができる日が来るのを楽しみにしています

DSCN5413.JPG
DSCN5441.JPG 最後には、質問ラッシュというか、研究について、進路のことなど。多岐に亘って。。。今悩むことも大切。そして、それを目標に達成することも。2年生が質問でしたので、すぐに受験生に。がんばってください。

DSCN5455.JPG 翠星高校・大丸先生をはじめとする関係の先生方には、お世話になりました。ありがとうございました。もちろん、小松高校の先生方にも。。。


 わたなべしする

 PS. 先日の記事にも書きましたが、お世話になっている寺岸先生が小松高校の生徒だった時代に、実験をしたビンが20年ぶりに発見されたと。その実物も拝見しました。歴史を感じる一品でした。

DSCN5353.JPG

ページの一番上へ

書くこと、見せること、同じこと(1/24)

2013年1月24日 (木)

 大学では今が、卒業に関わる論文作成の時期。今年は3名の修士論文を書いている学生さんが。それぞれベースが異なることもあり、また、まとまった50 page前後のものを仕上げると言うことは、初めてのことだろう。自分が同じ年代だった頃、どうだったか。昔の先輩の論文を見て、アブラナ科植物の自家不和合性の遺伝学の基礎を作ったのは、A. J. Batemanという方なのだなと。。。。もちろん、Nasrallahという、その後、追いかけなくては行けないアメリカの研究者も。。。ただ、これだけまとまったものを書こうとすると、初めてだと結構大変だったのを思い出す。渡辺が卒論を書いた頃から、「一太郎」というワープロが。。。いまや、MS-Wordになって。。。そんな中でも、渡辺は、日本語作成には、未だに、一太郎を使っているのだが。。。ワープロがあっても、それまで書いていたのはレポート程度、。多くても、数ページ。それが、普通の論文のように、緒言、材料および方法、結果、考察、要旨、謝辞、引用文献。それも通常は英語の論文形式を読んでいるので、日本語ではとなると、また別物。もちろん、強者もいて、英語で卒論、修論、博論を書くということも。博論を書く頃には慣れてきているので、多少は可能かもしれないが。。。いずれ、それなりの大作を作るのは、大変なこと。練習をすることはできないので、いきなりぶっつけ本番というのも。。。何より、時間がどれくらいかかるかを考えるのも一苦労。。。今だと、文章を直すのも、ワープロに直接と言うこともでるが、昔は教授の文字の判読から。。。結構読めなくて。考える時間の方が長かったり。そんなことをこの季節になると思い出す。

DSCN5080.JPG 見せることと言うか、プレゼン。昔はあきれるくらいへただった。とある大学の先生に学会でのプレゼンを見て、「大学の講義を聴いているみたい」。。。たぶん、機械がしゃべっているような感じだったのだろうという気がする。さらに、博士論文の発表の時、そのときは、今のようにPower pointなどなく、35mmのスライドを作る。今の学生さんたちにはあまりなじみがないものかもしれないが。。。ただ、卒論の頃は、ほとんど、青バックに白抜き文字のスライドで説明(ジアゾフィルムと言っていたような。。。)。カラースライドを使うなんて、。。夢のまた夢。。。修士論文の頃にようやく、カラースライドを使ってもよくなって。。。ところが、現像に2, 3日かかるので、かなり前から準備をしないと。作り直しになると、とんでもないことに。。博士論文の頃もほぼ、同じ状況。その後に、パソコンで作った画面がスライドになる機械が登場して。。。でも、スライド。ところが、このころから、半日待てば、現像して、スライドになる。というような店舗も登場。おかげでこのあたりになると、頻繁に作り直し。よいことか、悪いことか。。。作るための気合が違うというか。。。それが終わった後に、OHPのシートを使うと言うことになり、今のPower pointでのプレゼンに。。。OHPでも、当日に直すことはできず。。。今のPower pointでのプレゼンでよいのは、プレゼンの直前までプレゼンをいじれること。慣れた先生方は、発表の直前まで修正していたのか、作成していたのか。。。でも、そうなると、プレゼンの練習は。。。練習と言えば、学部生の頃の大学院生は、とても厳しく、ゼミでの発表前後には、延々と練習をさせられて。。。もちろん、終わった後残って、会議室で。。。寂しかったのを思い出す。

DSCN5190.JPG 話を戻して、博士論文の発表の時には、日向先生にこれでもかと言うくらい怒られた。。。。というのを思い出す。博士論文に使った図表をそのまま、撮影して使ったら。。。。「論文で読み物としてみせるものと、プレゼンで、話しながら見せるものは質が違うもの。」、「文字は大きくないと見えない。」、「スライド1枚で1min」。ちょうど、昨年末に書いたプレゼンのことで言われていたようなこと。。。今でも忘れられない。。。そう考えると、時代は変わって、書いたり、プレゼンしたりする道具は、変わったのかもしれないが、書くこと、見せることの本質は同じなのかもしれないというか、同じであろう。それがどれだけ便利に。。。不便になったのか、そのあたりが、よくわからない微妙な不思議な感覚である。。

DSCN5263.JPG わたなべしるす

 PS. とある新聞をめくっていたら、日本人大リーガーがこんなことを。。。「日本選手の武器に、一番は繊細さ。細かいところに気付いて、それを実現できる力がある。」と。確かに手先の器用さは、うちでも共通しているかなと。。。

ページの一番上へ

【出前講義】石川県立小松高等学校SSH集中講義・討論会-1(ダイコン観察、実験指導)(1/23)

2013年1月23日 (水)

 今年度、小松高校に伺うのは、4回目になるでしょうか。最初が4月の課題研究についての講義5月には、高校・生物教員向けの講義10月には、小中学校への出前講義もあわせて。今回は年度末のSSH発表会のコメンテーターと講義、実験指導など。いろいろな季節に伺うと、仙台とは違う風景を見ることができます。

DSCN5348.JPG 初日は、ダイコンコンソーシアムの一環でもある、ダイコンの栽培の観察。北陸とは言え、仙台よりもずいぶんと暖かく、気温が、10oC近くあるとは、感動でした。雪もなく、というか、今年の仙台の積雪が多いだけなのかもしれません。屋外での栽培は、雪が降ったり、溶けたりの繰り返しなので、雪害というか、湿害というか。。。それがいくらか感じられるものもありますが、おおむねよい状況ではないかと。前にも書いた「守口タワー」のダイコンが、これで、世界記録になるのだろうかというような、葉っぱの生長量だったのが少し気になりました。やっぱり、光合成量が足りないのか、施肥のバランスなのか。。。少し様子を見てもらうことにして。

DSCN5347.JPG あとは、渡辺が出前講義でよく行う、「バナナからのDNA」という実験手法の伝授。バナナと塩水とママレモンとエタノールがあれば、簡単にできる実験手法。やり方は理解してもらえたのでは。昨年の12月にも福島高校とのコラボで、小学生向けにこの実験をやりました。小松高校は、これまでも多くの出前講義を、小中学校へ行っているので、もうひとつレパートリーが増えるのでは。ぜひ、習得してほしいと。。。もちろん、実験中にこちらが想定している失敗はたくさんしてくれました。予定通りでした。失敗をして学ぶことはたくさんありますので。

DSCN5350.JPG 夜には、SSH担当の寺岸先生、松原先生、山本先生とこれからの高校での科学教育のあり方などを議論できたのは、うれしい限りです。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 今回もまた、新しいwelcome boardが。。。うちのlabでも、共同研究をしてくれる方々いらっしゃるときには、こうしたものを作るのもよいかなと。。。参考にさせてもらいます。ありがとうございました。

DSCN5344.JPG
DSCN5346.JPG


ページの一番上へ

San Diegoにて

2013年1月21日 (月)

先日のダイアリーでも紹介されていましたが,わたしも先週アメリカ・サンディエゴで開催された

Plant and Animal Genome(PAG)XXI に参加してきました.


開催場所であるSan Diegoはメキシコ近くの西海岸地域に位置しており,1月でも比較的温暖な

土地だそうです.滞在中は残念ながら気温があまり高くありませんでしたが,ずっと快晴で

気持ちのよい青空が楽しめました.

育っている植物も落葉した木本植物がある一方,色鮮やかな花をつけた植物も多く,とても不思議な風景でした.


IMG_2511.jpgのサムネール画像
プロテア:なんとも重量感あふれる花.


IMG_2400.jpgのサムネール画像
リュウゼツラン:ご存知テキーラの原料.花茎は高いものだと10mになるそう.


IMG_2523.jpg
ハナキリン:茎がトゲトゲしい多肉植物です.写真上では分かりませんが,

ここまで大きく育つとは知りませんでした.


IMG_2506.jpg
Brassica属と思われる植物もありました.



個人的に好きな多肉植物が多く育てられていたのが印象的でした.

そしてどれもサイズが非常に大きく,ひとりでこっそり興奮していました.



最終日前日にはタクシーを走らせお寿司を食べに行きました.


食べる前

IMG_2409 のコピー.JPG


10分後

IMG_2411 のコピー.JPG



なんだか旅行記のようになってしまいましたが,もちろん会議もしっかり聴いてきました.

PAG参加は初めてだったので前回の様子は詳しくないのですが,今回の発表を見る限り,

ゲノム情報の大量解析が一般的な手法になったと感じました.

ゲノム研究の進展は解析手法開発も含め,まさに日進月歩の勢いなのでしょうね.

今後は大量解析後のデータをいかに上手に扱うかが,研究者の腕の見せ所でしょうか.


国際会議は世界の研究動向について知ることのできる重要な場だと思います.

来年の会議ではどんな研究がトピックになっているのか,今から楽しみですね.


また,国際会議に参加するたびに英会話能力の重要性をひしひしと感じます.

以前にも増して能力が下がった気がするので,また勉強を再開しようと思います.



さか

ページの一番上へ

プレッシャー、継承、遠くない先。。。(1/19)

2013年1月19日 (土)

 今日、明日とセンター試験。仙台はどうやら雪ではないが、この前の積雪がずいぶん残っている。足下が悪いのは、それだけで、気を遣う。盛岡で7年近く生活したので、路面がどうなっているのかは、少しはわかるようになった。学生の頃には雪も結構降って、路面も凍結した。自転車で転んで、両膝から。。あの痛さは、経験しないとわからない。盛岡ではそうした経験を活かして、転ぶなら、自転車を投げ捨て、自分をかばうことを覚えた。心のプレッシャーがなくなったのだろう。今はセンター試験と呼ぶが、渡辺の頃は、「共通一次」。かなりのプレッシャーがあったのだろうが、今思い出そうとしても、思い出せない。とりあえず、ひたすら、マークしたのだけ、覚えている。受験生の皆さんには、少しでもプレッシャーなく、受験してもらえればと思う。

DSCN5129.JPG プレッシャーと言えば、12/23(日)の愛媛新聞への「道標」の掲載で、1年間、11回の連載も終わった。何ともいえないプレッシャーと言うより、重圧だった。。。あのまま続けていたら、ちょうど、1/27(日)が、順番だったような。そのプレッシャーから解放されて、そのぶん、他のことが十分できているのかと言うことを考える。ただ、何かを書こうと思った時、頭の中を整理して、これとこれとこれというように並べて、齟齬がないかなど、比較的短時間でできるようになったような気がする。実際、依頼された日本語の原稿、7,000字くらいであったが、原稿についてコメント頂きながらであったが、半月ほどで完結できた。これも1年間のプレッシャーに耐え、書き続けたことが、こうしたことをなしえる結果を生んだのではないだろうか。

 試験に限らず、プレッシャー、重圧はある。実験でも。今は、DNA sequencerは、ほぼ、自動。ところ、昔は、0.5-1mmくらいの厚さで、40cm x 70cmくらいのゲルを作っていた。溶液を流し込む途中で固まって、失敗したり。なので、どういうときにはうまくできるか、そうでないかなどを、実験ノートに書いて、次に失敗しないように。もちろん、他のlabの学生さんにこの試薬を少なくしたらよいとか。理屈を考えれば、当たり前であるが、とりあえず、マニュアル通りの方がちゃんとできるという形で、。。変に変えない方がうまくいくような。。。こうしたたくさんの失敗をうまく継承することは大事な気がする。そういえば、この前もとあるプロジェクトのアンケートで、「失敗した点、その原因」についての調査があった。失敗はなかなか表に出ないので、よいことだろう。こうした継承と言えば、先の愛媛新聞の「道標」。今年の執筆陣に同じ東北大の工学部の先生が。経歴を見たら、今治西高の後輩で、農学部の助手をしていた頃にあった、仙台での「今西会」でもお会いしたことがある方。先日、執筆の相談などでいらして、それ以外にもいろいろなところでつながっていて。。。そうした違った意味での継承もあったりで、びっくり。

DSCN5183.JPG プレッシャーがあると、どうしても近視眼的になりがちかもしれない。まず、そのプレッシャーから解放されたいので。もちろん、重要である。プレッシャ、重圧下でやって、他のことが失敗しては元も子もない。ただ、プレッシャーから解放されることがあるかと言えば、この多忙な昨今、解放されることはなくて、軽減しかないような気もする。軽減でも十分かもしれない。そのためにも、まず、近視眼的にプレッシャーの解放というのが重要な戦略かもしれないが、もっと先を見て、どんなプレッシャーがその先に待っているのか、今の重圧よりも大きいものなら、それをクリアするために、可能な限りの準備をしておかないと、突然、重圧がのしかかり、どうしようもなるのでは、意味がない。いろいろなところ、いろいろな角度からものごとを見て、行動しながら、可能な限りのプレッシャーを軽減することに心がけたい。多次元で物事を見ると言うことになるのだろうか。何とも難しい時代になったものだ。


 わたなべしるす

 PS. 年の初めにある、皇室の「講書始の儀」。今回は、渡辺が学生の頃から自家不和合性研究でお世話になっており、現在、奈良先端大の学長をされている磯貝先生がその自家不和合性の話しをされたとか。また、この「講書始の儀」に、渡辺の師匠であった日向先生も出席されたと。自分のことではないにせよ、自家不和合性がこうしたところで披露されるというのは、何ともいえず、。。。

 PS.のPS. うれしいというか、すごい話しとして、SSHなどでお世話になっている、石川県立小松高校の寺岸先生が高校生時代に、放流した「手紙を入れたビン」が、巡りめくって、隣の新潟県でpick upされたとか。20年の時を隔てて。。。いろいろな人・環境で受け継がれて、ここまで届くというのも、奇跡であり、日頃の活動が、今日につながっているのかなと。。。来週、SSHで講義に伺うので、詳しいことを聞いたり、現物をぜひ拝見したいと。。。

DSCN5142.JPG

ページの一番上へ

diary Top« 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6

ARCHIVE