東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

星、妥協点、繰り返し(2/14)

2013年2月14日 (木)

 小学校、それより前からであろうか、自然は好きであったというか、自宅は自然の中にあった。田舎である。有線放送というのがあり、朝は桜井地区で何かがある、例えば、どこかで家の新築のイベントでもちまきがあるとか。それを聞いて、自転車をこいで、ずいぶん遠くの餅まきというか、餅拾いにも行った。そうした自然というか、理科の中で、どうしてもというか、今もかもしれないが、fitしないのが、星の動きというか、星座板。春の星とか、何時頃の星とか。子供時代を過ごしたのは、1960-70年という高度経済成長期というか、「公害」というのが騒がれたり、怪獣映画に公害のキャラがいたり。。。そんな時代であったが、田舎では空気も澄んでいて、多くの星が見えた。光る程度も違うというのもよくわかった。ところが、星座板とつきあわせると、どうもうまく見えない。。。そんなこともあり、「星」、「星座」、「天体望遠鏡」に対する興味はあまりないままに過ごしてきた。友達のところで天体望遠鏡に、「月のクレーター」、「土星の輪」が写っていても、そうなのくらいだった。その代わりというのは変かもしれないが、「星」というと、テレビアニメの「○人の星」。プロ野球チームで、子供の頃に好きだったのが、川崎球場を本拠地にしていた「△洋ホエールズ」で、その野球帽をかぶっていたこともあって、。。あの当時は、へたでも草野球をしていた時代だったので、まねをしてというわけではないが、軟式テニスボールを使って、稲刈りの終わった田んぼで野球をしていた。「○人の星」も見たが、それ以外の野球アニメも見た。そうした中で、今でも有名なのは、「ちゃぶ台返し」。子供頃は、丸いちゃぶ台ではなかったが、正座して、食事をしていたので、あのシーンはよく覚えている。実際にひっくり返すのは、そうは簡単ではないような気がする。結構重たかったし、何より、後片付けが大変だと思う。元に戻すのかもしれないが、全く同じに戻すことは不可能なので、結局やり直しというか。。。子供の頃には、あのシーンを見て、こんなことを考えなかったが、実際にはどうなっていたのか、今頃になって気になる。

DSCN5088.JPG 先日のテレビでとあるプロ野球チームの監督が「君たちの妥協点は低すぎる。。。」と。確かに、何年だろう、連続で最下位になれば、という気がする。これが、昔自分が野球帽をかぶっていた「△洋ホエールズ」が、名前を変えて「□浜ベイスターズ」となったとなると。。スター、つまり、星はついているが、目標が高くないと言いたかったのだろう。確かに、最下位に甘んじると、そうなるのかもしれない。というか、プロ、つまり、職業であれば、なおさらであろう。ただ、プロという職業でなくても、この言葉は重要な気がする。常に高い目標、優勝という星をgetするというか。。。もちろん、こうした目標達成のための体調管理、基礎体力などということは、サイエンスに限らず、どんな職でも大事なポイントであろう。ただ、妥協点と言うことを考えた時、単に上へ、上へと言うのではなく、今の自分の環境、コストということをあわせて考えることも大事であろう。費用対効果という言葉は、あまり好きではないが、様々な場面で言われるようになった。費用をどこまで考えるかによるが、時間というのはあまり費用に数えないのかもしれないが、時間は買うことができない。そう考えたとき、時間を考えた時、どこで妥協して、その後、どう展開するのかというも大事になってくるのではないだろうか。

 田舎では有線放送があると書いた。そこでは、地域の情報に加えて、農業に関する情報が毎日のように流れていた。今の時期なら、イネの管理はこうとか、こんな野菜の播種時期であるとか、病害虫が出るので、こうした農薬で駆除するとか、こうした肥料を田んぼ一反あたり、これくらいやるとか。。そうした中に、もちろん、商品名であるが、殺菌剤、殺虫剤の「キタジンP乳剤」、「マラソン乳剤」というのを覚えている。小学生だった自分に乳剤の意味もわからなければ、名前の意味もわからない。ただ、毎年、同じ頃になると、同じように繰り返して、ラジオ放送される。これなら、覚えることができた。というか、知らないうちに、頭に入った。「マラソン」には、なんで、田んぼで走るのか。。。そんなことももちろん、想像した。ただ、農学部に入り、農薬学というのを学んだとき、この2つの農薬の作用機作、つまり、どのような物質で、どのように機能することで、植物を病害虫から守るのかと言うことを、容易にイメージできたのは、この子供時代の繰り返しのおかげなのかもしれない。繰り返していれば、何でもよくなるかというと、繰り返しているのに、一定のところで同じような失敗をするということも経験する。一定のところまでうまくいくので、それで満足するのか、。。。。そんなとき、「歴史は繰り返す」というのを思い出す。同じようなことが起きるので、それを覚えておくこと。3.11の震災も、これまでの長い歴史の中で大きな地震があったことを、ふと忘れていたのかもしれない。ただ、それとは逆に、うまくいったので、それがかえってあだになるという意味で、「歴史は繰り返す」ということにも使うのだそうな。四国の冬空の「星」を見ていて、そんなことを思ったりした。。。「星」だけでなく、四国という風土がこうした一連のことをイメージさせてくれたのかもしれない。。。

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 わたなべしるす


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