東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

技、ルール、開花(2/23)

2013年2月23日 (土)

 最近実験することは、といわれると。。。。ガラス室の植物の観察くらいだろうか。特に、このところ低温が続いていることもあって、植物体に低温障害が出ないか気になる。それ以外は実験機器が、自分が使っていたものから比べると、数段version upしているものが多く、簡単に手を出せない。というのも多くがパソコン制御になっていて、暴走してはいけないと思うのが先に立つからでもある。つまり、多くの場合、自動制御と言うことになっており、実験をする人による差が小さくなっているのかもしれない。昔であれば、DNAの塩基配列を決めるにあたって、今のようにキャピラリーの系でなく、特殊なガラス板に溶液を流し込み、ゲルを作る。季節によっては急速に固化し、全部流し込む前に固まったり、何故か、全く固化しないで周りのシールをとると、液体が全部流れた。。。こうした悲しいというか、むなしい思いをして。。。こうした失敗をたくさんして、なんとか思うように、実験技術を習得したような気がする。そうしているうちに、この実験なら、この人が上手というのが出てきた。つまり、この人の「技」はすばらしいと。なので、他の研究室の方であっても、そうした方々と共同して実験をした。今でもそうかもしれないが、得意技というか、得手不得手がある。そんなことを考えながら、出張中にとある本を読んでいたら、「ウルトラマンのように、必殺技、スペシウム光線があれば、戦略はいらない」。。。なるほどと。。これを使ったら、絶対に勝てる、できるという技があれば、。。確かに研究でもほしい、必殺技である。

DSCN5120.JPG 実験が終われば、それをまとめて、論文にすることが大事である。最初に書いた論文は、1991年。それまで論文をそれなりに読んでいたとはいえ、英語が不得手な自分には、かなりこたえた。とはいえ、何とかPlant Cell Phyisol.に掲載された。論文を書くためには、もちろんルールがある。マージンはどれくらい、double spaceで書く、引用文献には、それぞれのJournal(雑誌)によって、formatが異なるなどなど。英語の論文という大枠でのグローバルな決まり、ルールはある。ただ、それぞれのJournalでローカルなルールが違う。むかしはJournal、つまり、雑誌は本として読んでいたというか、copyして読んでいた。ところが、最近は電子版、つまり、HPのpdfだけでの公開。さらに、open accessにして、誰でも見ることができるようにしないといけない。時代によって、ルールが変わってきている。ルールを作るのは、人間。そして、それが受け入れられれば、標準化される。最初にいかにこれはというideaでもって、ルールを構築するかというのは、大事なことなのであろう。

 実験に花を使っている。30年近く。花が咲くまで、結構時間がかかる。花が咲いたら咲いたで、1ヶ月ほどで終わる。ソメイヨシノなどのバラ科から比べれば、開花期間は長いのかもしれない。ニホンナシの自家不和合性をやっている方に聞いたとき、1 weekだったような。寝ずの仕事になる。イネも特定の品種に限ってサンプリングしようとすると、同じかもしれない。昨日テレビを見ていたら、バラ科のウメとカンザクラの話が。いつもの年なら、こんなに寒くないので、すでにどちらも開花しているのに、今年はどちらもようやく開花とか。それだけ、寒いのだろう。ウメだと、開花から花が散るまでは長くないけど、カンザクラは、一度に咲かずに、ちらほらと咲くので、開花期間が長いとか。カンザクラは、元々年末の12月に咲くと。その時期なら、開花期間が長くないと、訪花昆虫に困るだろう。だから、長くなったのではないかと思った。。。名前だけ聞くと、ウメとサクラ。ウメの方が早くてサクラの方があとからという感じかもしれないが、サクラの種が違うと、こうなるのかも。もちろん、カンザクラとソメイヨシノは、同じ、Prunus属でも、開花期間が違うのは、おもしろい。これも植物の生存戦略なのだろうと(Prunus属をサクラ属(スモモ属とも)とする分類と、Cerasus属(サクラ属)という分類もあるとか、。。どうも学生の頃と学名が変わりつつあり、脳みその整理ができません。。。。)。寒い東北では、ウメ、モモ、ソメイヨシノはあまり間なく咲く。もう少し花のシーズンには遠いと思った、今週の盛岡、福島、水沢への出張であった。

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 わたなべしるす

 PS. 前にも紹介したことがあったと思いますが、水沢高校の玄関には、大きな「砥部焼」の。。いつ見てもこの色合いを見ると、懐かしさを感じるのでした。

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