東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】仙台市立木町通小学校・6年生特別講義「環境と植物から考える」(2/25)

2014年2月25日 (火)

 今日は昨日より一回り暖かく、研究室のある建物の周辺もずいぶんと雪が解けてきました。ただ、木町通小学校まで伺う途中もそうですが、路肩にはまだまだ解けてない雪がたくさん。早く解けてくれないかと思います。ニュースでは、山形県とを結ぶ国道48線の通行止めも解除されたとか。明日もこれくらいの気温で、木曜日が10oCを越えるとか。今から気温の上昇が楽しみです。

DSCN1787.JPG そんな風に、この冬は気温が激変しているわけですが、そうした「環境」の問題は今の小学生が大人になる頃、その先には、今よりも確実に大きな問題になっているだろうと。この講義は、先月、七北田小学校で行ったわけですが、「環境」という言葉のイメージは、理科と社会。科学であって、社会問題だと。。でも、「国語」、「算数」としても考えることができるくらい環境という問題は幅広い問題だと。。。。。で、最初に、渡辺の自己紹介から。6年生は5年生から講義をしているので、ほとんどの児童の方は知っているのですが、新しい友だちもいる訳なので。。。愛媛県今治市の出身なので、今治で有名なものは、タオルと造船以外に。。。ゆるキャラの「バリィさん」。ここでも知ってくれているのは、ありがたいですね。

DSCN1767.JPG そんなイントロから始まり、地球温暖化が起きているのは、ちょうど、今の6年生が生まれた頃から。地球シミュレータでの予測だと、校長先生くらいの年齢になる頃には、4oCくらい上がる。たとえがよいかどうか、難しいですが、仙台が沖縄くらいの暖かさになると。。。仙台でパイナップルができる。それはよいことなのか、そうでないのか。。。半分くらいの人はうれしいようですが、冷静に考えた人には、やっぱりよくないと。。。しっかりしていました。で、そうしたCO2を減らせることができるのは、植物の光合成。それ以外にも、CO2を地中に埋めるとかしているという話しをしたら、そんなことして、大丈夫なのでしょうかと。。。たしかに。。誰もわからないのでやっているところはあります。でも、それくらいCO2の問題は大きく、それを解決できる光合成をしてくれる植物を考えるのは、大事だと。。。

DSCN1771.JPG 途中で、そんな植物が持っている遺伝子の機能を説明するところで、「ゲノム」というか、「遺伝子」というか。以前に、医学部の先生が出前講義をされたようで、遺伝子の長さをつなげると1mになると。。遺伝子と言うよりも核の中にあるゲノム全体というか、DNAを伸ばしたらなのですが。。。せっかくなので、その当たりを脱線して、少し話をして。どの生物が遺伝子をたくさん持っているとか。。。遺伝子がこれだけ身近になって話しとしてできるというのは、遺伝学をやっているものにはとても頼もしい限りだと。。。そんな植物にも弱点というか、ストレスには弱いわけで。。。1993年の冷害の時、もちろん、子どもたちはそんなことは知らず、先生方は、そんなことがあったと。。お米ができないこともあると。そうなると、とても大変だと。。。だから、そんなストレスにも強くて、よりたくさんの収量があるように、品種改良することは大事だと。。。ただ、品種改良をするためには、すごい苦労があって、その結果として、今食べている色々な野菜があると。。。そんな植物を毎日食べています。

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DSCN1777.JPG では、イネ科とアブラナ科の植物がなくなったら、。。「とんかつ定食」は。。。。。「レモン定食」になってしまうと。。。「ええええええええええええええ」というこまったことに。。そうならないように、植物を大事にして下さい。最後に、いくつかの質問に答えるコーナーも。。。はずかしくて質問できなかった人たちは、手紙に書いておいて下さいね。

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DSCN1779.JPG 講義のあとは、木町通小学校恒例の一緒に給食。給食をしながら、質問できなかったこととか。これからの食糧問題とか。。。やっぱり食べるものには,興味が尽きないようです。食べ物こと、それを支える植物のこと、これらもしっかり考えて下さい。給食が終わったあと、HPから世界に発信したい子どもたちで,いつの様にVサイン。慌ただしかったですが、3クラスそれぞれで。。。次は、中学校と言うより、高校生になったら。。。ぜひ、また、どこかでお会いしましょう。楽しみにしております。

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DSCN1785.JPG 最後になりましたが、熊谷校長先生、教務の熊谷先生、6年生の先生方、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。次年度もより発展させた形での特別講義を展開できればと思っております。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 給食が終わったあと、熊谷校長先生と最近の科学のことについて、いくつかの話しを。午前中に所用で講義を聴くことができず、残念だったと。。。STAP細胞の発表があり、理科をご専門とされてきた熊谷先生にも、興味あること。植物と動物の再分化能の違いとか。。。また、何より「人材育成」というのは、小学校、大学を問わず、大事な問題だと。そうした中で「相性」というのは「自家不和合性」ではないですが、植物、動物を問わず、あることで、それをどの様に理解して、clearするかで、人の人生も変わると。。とても重たい言葉でした。熊谷先生と最初にお目にかかったのは、七北田小学校で出前講義を始めた頃、教育センターでの共同研究の発表をした時。不思議なご縁で去年、今年と講義をすることができました。その熊谷校長先生もこの3月で定年と。。。色々な意味で刺激を頂き、植物をベースとした理科がご専門と言うことで、そうした話しをたくさんさせて頂きました。これまでも。また、場所を変えてになるかもしれないですが、今後ともよろしくお願いします。ありがとうございました。これからも木町通小学校の子どもたちを継続して講義できればと。。。

 PS.のPS. 校長室の入り口に、木町通小学校の歴史が。。。数日前にも歴史のことを書きましたが、こうして、自分の小学校のことを振り返ることができるように書き物があるのは、とてもよいことだと。。。最初、どこに小学校があり、そのあと、「培根小学校」という名前になったとか。「培養」、「根系」というような植物というか、作物というか、農学というか,そんなことに近い言葉でできた小学校が、明治6年に今の場所にでき、それから70年くらい後に、隣の学区になる雨宮地区に東北大学農学部ができたというのも、不思議な縁なのだろうと。。。。学部生、助手時代に木町通小学校の脇を通ることがあっても、そんな歴史を知らず。。。今日、そんなことを知って、世の中の不思議をまた、実感したのでした。

DSCN1786.JPG PS.のPS.のPS. 今日から2次試験。法学部の試験が行われた片平キャンパスにも、それらしい方々が。また、近くの私立大では、北海道教育大学の試験会場だったかと。。。大学以外の場所で、試験を行うというのも、ずいぶん多くなったと聞いたことがあります。渡辺の時代は、1日目が、理科と数学だったような。あの当時は、答案用紙の一部を三角に切り抜き、理科のどの科目を受験したのか、物理、化学、生物、地学というのが、東北大の答案用紙だったような。。。鉛筆の先が折れないように、サランラップのしんの部分を切って、そこに鉛筆を入れていったような。そんなことを思い出します。途中で汗をかきながらの解答で、答案用紙が柔らかくならないように、右手のところにハンカチをおいて、というのも。。。試験もあと1日。ここまでがんばってきたことをすべてここでだすこと、それはきっと、最後の1秒まで、あきらめないことではないかと。。。。もう1日、がんばって下さい。そのあきらめないことが、遠い将来につながりますので。。。。



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