東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

伝統、思考力、拡大(5/20)

2014年5月20日 (火)

 これまで過ごしたところ、今治、仙台、盛岡。それぞれの伝統といえば。。。いつからを伝統というかにもよるが、江戸時代から「桜井漆器」という漆塗りがあり、それを確か大阪に売りに行ったときに使ったのが、「椀船」というもの。今でも、これをかたどったお菓子をいただいたことがある。その桜井漆器を売るために、月賦販売を始めたとか。これらは江戸時代からの伝統であろう。それ以降の伝統となると、今治タオル、造船当たりになるのだろうか。仙台だと。。。何があるか。。。伊達につながる何かがあるのかもしれないが、ずいぶんと住んでいるが、意外と知らない。。。では、盛岡。あそこを南部と呼ぶのが正しいかどうか、ただ、南部鉄器は有名であったと思う。風鈴の音は、何ともいえず、涼しげであった。というように、いつの時代からの伝統というのかは別として、伝統を守ることも大事であろうが、その伝統を越えるものをいかに見いだし、作り出すのかということも。。。明治村というのがある。明治の文化財を集めていて、高校の時の修学旅行で行って、感動した。新しい場所を開拓して、そこに何かをという戦略もある。たとえていうなら、片平キャンパス内の古い建物をどこかに移築する。もちろん、その当時の場所にあるから、よいという考えもあるであろう。そんな伝統あるものを守ることもそうでないことも、大変である。どちらがよいか。。。同じような議論は、2020年の東京オリンピックの国立競技場かもしれない。伝統と予算の天秤にならざるを得ないような気がする。。。

DSCN2249.JPG そんな風に伝統を守るのとそうでないののどちらがよいのか。遠い将来を見すえて考えないといけない問題は多い。現状がどうであって、将来どうなるのか。科学技術の発展とか、環境による影響とか、様々なことを勘案に入れて、考えないわけにはいかない。ただ、伝統的である「将棋」、「囲碁」どちらもその手のあと、どうなるのかを考える、つまり、思考力を養うという点では、とてもよい。ただ、長い手順を読み切る思考力は、並大抵ではない。プロでも読み違えのようなことがあるらしい。今日から、第72期将棋名人戦七番勝負第4局が始まったが、どうなっているのだろう。伝統的な手順を守るのか、新しい手順をtryするのか。。どちらも興味深い。実験をしていても、ある程度の年齢を重ねれば、考すれば、こうなるだろうという読みの部分が出てくるが、そうならないときこそ、おもしろいことが隠れているのだろうと思う。そんな伝統ある将棋を大学の講義に取り入れているとか。とてもniceなのは、なぜ、その手順なのかというのをプロ棋士から質問されること。何を考え、それにどう対応されるから、この手順というのがあるはず。実験でも同じこと。そう考えたとき、どの様な場面においても「思考力」をいかにに高めるかというのが大事なことになる。

 将棋はルールを知っている程度。囲碁もほんの少しなら。ただ、わからないのは、囲ったときに、その場所がどちらの領土、領地になるのか。狭いところならわかるが、広いところになると、。。。見ていても、どうもよくわからない。もっとわからないのは、どうなった時点で終わるのか。これ以上繰り返しても、意味がない時点というようなことを聞いたことがあるが。どうもイメージがわかない。そういえば、去年の11/20からの噴火活動で西之島とつながった島は、もとの西之島の3.5倍の面積を超えて、拡大しているらしい。いつまで拡大するのか。。。もちろん、地下のマグマが続く限りであろうが、地面というか、海面の下がどうなっているのか、見えないので、わからない。地球の活動全体のバランスの結果として、拡大しているのだろうから、そのバランスがどこで調整しているかを見いだせればよい。とはいうものの、そんなことできそうにもない。花の形態をうまく説明するABCモデル。あれも遺伝子発現が拡大したり、狭められたりした結果といわれているが、その時、他の遺伝子がどの様に動き、結果として、そこが花びらになったりするかという詳細は不明である。大きな意味でわかったつもりとするのか、もっと突っ込んで理解するのか、遺伝子の解析が色々な意味で容易になった時代。遺伝学として、どこまで守備範囲を拡大していくのか。それとも限られたところを守り、それ以外は共同研究をするのか。しっかりと思考力を持ち、伝統をどうするのかというのと、変わらないかもしれない。ただ、言えることは、前に進むために、何がどうなっているのかという現象をきちんと理解して、そこに潜む遺伝学というか、遺伝子の機能を考える、そのことだけは忘れないで、また、明日も遺伝学を考えることにする。

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 わたなべしるす

 PS. 先日、卒業生の曽根さんが研究室に来てくれ、その後、HPに記事を書いてくれ、遠くから見守っているからと。ありがたい限りである。その間に、少しでも前進するよう、よい論文になるようにと思うばかりである。。。。ありがとうございました。


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