東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

第24回生命科学セミナー開催(7/4)

2014年7月 4日 (金)

 以前にお知らせしていた第24回生命科学セミナー「効率的なコムギ形質転換系の開発とその活用」を農研機構・作物研・安倍博士が来仙されるというので。。。渡辺が日向先生のlabの助手をしていた当時の最後に卒論を最後まで指導した学生。1997年12月から岩手大に異動になったので、当時はM1の院生。渡辺が学生実験であの当時、それぞれの学生さんに自己紹介をさせていて。。。横浜翠嵐高校の卒業の神奈川県出身と言うので「大洋か!!」、つまり「大洋ホエールズファンか!!!」と。それ以来、labにきてからも、一緒に「大洋」を応援していたのを、紹介してくれて、思い出しました。今では「大洋」、「ベガルタ」と言うサッカー・野球の話題で盛り上がれるよき後輩です。

DSCN3248.JPG コムギは、パン・麺類などの原料で、生産面積では世界最大。生産量ではトウモロコシだとか。その意味では、コムギの品種改良は重要な問題。ただ、ゲノム情報は重要な訳ですが、コムギゲノムはイネの40倍。また、6倍体。と言う意味では、解析の困難さは。。何より、まずは形質転換系。パーティクルガン法、アグロバクテリウム法。イネの形質転換系に遅れて開発されたようですが、やっぱり大変さがかなりあり、なにより、アブラナもそうですが、品種間差異が大きいこと。では、その品種間差異の何が起因しているかは、未だにそのぶんは不明だと。。。もちろん、アブラナでもこの品種は使えるけど。。。と言う話で。このあたりは、作物を使う限り同じなのだなと。。。また、培養条件というか、培養をするときのちょっとした工夫で、細分化、遺伝子導入効率が全然違ってくる。これが培養系を使って実験をするときの難しさ。むかし、日向先生がナスの培養をされていたとき、プロトプラストが取れたり、取れなかったり。うまく取れるようになったので、実際にやっている院生がちょっと手つきを変えただけで、全くうまくいかなくなったりというのを聞いたことがありました。培養系という難しさを改めて知ると共に、アブラナでもどの様な系統でも再分化できるわけでないと言うことも考えさせられたというか、考えるヒントというか、そんなものを頂きました。

 遺伝子機能解析の実例として「湿害」、「穂発芽」。もともと、ムギがチグリス・ユーフラテス川の流域が起源。乾燥したところなのに、日本は多湿。いずれの形質も日本でのコムギ生産には重要な問題。湿害については、不思議なことに、第23回生命科学セミナーでお話し頂いた、名古屋大の中園先生と共同研究をされているとか。不思議なご縁でつながっているのだなと。。。穂発芽は、今年もコムギでなくてオオムギでは関東地方でずいぶん被害が出たとか。。。また、倍数性があり、A, B, Dゲノムのどの遺伝子が寄与しているかも、難しい問題。難題はたくさんありそうですが、重要形質、倍数性、transgenic vs. trangentと言う実験系の工夫など、アブラナでも考えないといけない問題を考えるためのヒントになりました。

 最後になりましたが、打合せの合間の忙しい中、セミナーありがとうございました。また、ぜひ、来仙の折には。。。逆に、つくばに伺った時には、こちらでセミナーをさせて頂ければと思います。ありがとうございました。

FSCN3250.JPG
 わたなべしるす

 PS. セミナーの前に、突然の来客が。詳細は、また、別の機会にと言うか、別のスタッフから紹介があるかと。。。

 PS.のPS. うちのメンバーだけのセミナーかと思っていたら、ゲノムの佐藤先生がご参加頂き、deepな議論になりました。ありがとうございました。Natureにオオムギ、コムギのドラフトゲノムが出ているという情報も頂きました。。。早速探してみないと。。。


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