東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】栃木県立宇都宮女子高等学校・SSH特別講義「大学教授からの進路選択アドバイス」(10/2)

2014年10月 2日 (木)

 仙台というか、東北地方が秋が早いのかと思いましたが、宇都宮もそれなりに涼しく、全国的な傾向のような。。。色々なことが慌ただしく、ぎりぎりに宇都宮駅について、高校までタクシーで。学校の中まで入ることが多いのですが、信号の関係で、外で下ろしてもらい、正門から入ると、歴史ある橋が。大正4年と書いてありました。ぱっと計算できないくらい、前の着工なのだと。100年くらいでしょうか。感動でした。台風の影響だと思えないのですが、日中は曇り。いつ雨が降ってもおかしくない状況でしたが、何とか行き帰りで持ちこたえてくれました。

DSCN4026.JPG 今年で7年連続の「栃木県立宇都宮女子高等学校」への出前講義。そんなになるのだなと。そういえば、先日のGoogleのイベントであったり、サイエンスカフェでお世話になっていた学生さんは、この栃木県立宇都宮女子高等学校の卒業生。現在、工学部の3年生ですが、渡辺の講義を聴いたと。時間がたつのは早いものだと。。。。生物系ではないですが、不思議なご縁で出前講義からつながっているのは、ありがたいことだなと。また、昨年よりも多い30名を超える保護者の方も。。。保護者の方がいるので、少し話しにくいというか、高校生向けに話すメッセージと親御さん向けは、少しちがったニュアンスもあって。。。七北田小学校でも同じことを感じているわけですが。。ただ、講義の前に、校長先生と昨今の教育事情について、deepな議論をしたからだと思います。担当の先生からの渡辺の紹介のあと、タイトルだけ書いたスライドで、「これからというか、大学、その先は自分で何をやるのか、自分の責任で決めるのであって、親の責任にしてはいけないと。。」。親御さんを前にして。。。

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DSCN4036.JPG 講義内容は、1年生の文理選択、進路選択ということもあって、「自家不和合性」というサイエンスの話と「キャリア教育」。自己紹介で、愛媛・今治で有名なものといえば、「バリィさん」という答えが。かなり有名になったものです。ただ、一方で、「メロン」という答えが。。。どこから来たのか。。。夕張とか、砂丘のメロンというのは、有名ですが、。。びっくりでした。前半のサイエンスの話のところは、最初に農作物の写真を見てもらって。それが何か。。。驚いたのは、いきなり、「パッションフルーツ」の花をストライクで当てる生徒さんが。間違いなく、初めての体験。トケイソウということはありますし、クダモノトケイソウというのはあっても、。。鉱物、岩石のことをやりたいといわれていたような気がしますが、植物のセンスもよいのではと。。オクラ、キュウリなどよく観察していると思います。一方で、ヒトが答えたことを聞いていない生徒さんも。。。ちゃんと、話は聞いているものですね。。。その後だったか、先だったか、校内に咲いている花について。いつもなら知らないという学年が多いのですが、今年はずいぶんとたくさんの回答が。たいしたものでした。普段から観察というか、注意力があるということですから。このあと、ハチがヒマワリの上にいる写真を見て、どこから来て、どこへ行くのか。。。意外と難問だったようで。。。巣からきて、真直に巣に帰ると。。。まあ、そんなこともあると思いますが、では、自分は、まっすぐに帰るのかというと。。。「はい!!!!」と答えてくれましたが、そんなことはないという後ろからの意見も。。。見え見えの「はい!!!!!」はよくないですね。。。また、多くの高校生が悩むのは、このハチがちがうどんな花に行くのか。「チューリップ」と答えてくれたので、それはおかしいでしょうとこちらがいって、おかしいことに気がついているヒトに手を上げてもらったら、数人。。。やっぱり「旬」という感覚がどこかでなくなりつつあるのだなと。。。観察の大事さは、単に、理科だけでなく、色々なことに影響しますので。。こんな話に続いて、本題の自家不和合性。植物も自他の花粉を識別しているというのは、かなり衝撃だったようです。また、受精動画も。これからSSHで課題研究をする方もいるかと。もちろん、そうでなくても、植物は地球に酸素を提供してくれて、CO2を減らしてくれるものであって、食糧でもあるわけで。。。大事にして下さい。

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 前半の時間を使いすぎたことに途中で気がついたのは、後の祭り。。。後半のキャリア教育の時間が少なくなって。。。どうも上手になれません。小学校、中学校での話は少しはしょりましたが、なぜ、科学者になろうと思ったかという時代的背景、また、若いときに色々な経験をして、失敗をしておくことの大切さなどは、わかってもらえたのではと。痛い目に遭ったことは、2回と繰り返さないように。それが人生を上手にと言うのは、表現がよくないかもしれないですが、大事なことです。物理、化学の選択なのに、遺伝学をやるようになったきっかけ。それはふとした、テレビを地理の先生が見せてくれたから。人生とはそんなものかも。また、大学では自分で学ぶのだと。。。この前も、このHPで書きましたが。合わせて読んでみて下さい。また、大学では、よりよい師匠に出会ってほしいと。今の渡辺があるのは、日向先生のとの出会いがあればこそですので。。。。その先、どの様に自分で人生を決めるのか。渡辺の歩みが参考になれば、幸いです。質問では、しばらく質問がなくて、ないかと思ったとき、勇気を持って手を上げてくれた生徒さん。立派ですよ。質問もniceでした。どうやって、プレゼンを上手にするか。渡辺も昔はへたくそでした。たくさんの練習と実践ですね。きっとできるようになりますから。それから、手を上げて答えて、たねをもらったけど、マンションのベランダでどうやれば、栽培できるか。。。植木鉢での栽培をこの秋から大学の講義で「展開ゼミ」として行い、HPでも情報発信します。ので、そんなのも参考にして下さい。また、博士、研究員、教授になりたいという方も。一昨年もいましたが、文系で。。。文理問わず、こんなことだよと。また、教授の普段の仕事はとか。。愛媛の出身なのに、仙台で暮らし続けて、つらいというか、寂しくないですかと。。。ふるさとは離れて本当の良さがわかるもの。だからこそ、この年になって、ふるさと出前授業であったり、多くの高校に出前講義で行くようになったのだろうと。ぜひ、栃木、宇都宮の外に出てみて下さい。そのすばらしさが余計にわかりますので。やっぱり、それなりに色々な疑問を持っていたのを勇気を持ってしゃべること、大事ですよ。これからもたくさんの質問を講演会でして下さい。今日のがきっかけになれば。。。最後の最後は、恒例の集合写真。肖像権を主張する生徒さんもいなくて。全員で、世界に向けて。。。

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DSCN4041.JPG 最後になりますが、校長先生、SSH担当の吉永先生、1年生の先生方にこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。来年度の講義依頼もすでに頂きました。ありがとうございます。こちらも楽しみにしておりますので。


 わたなべしるす

 PS. 講義が終わって校長室に戻る途中で、去年も話に来てくれた一昨年の受講生が。今年は受験生のはず。文系なので、これというコメントはできなかったですが、よく本を読まれるというので、渡辺が受験が近くなったちょうど同じ頃に読んだ数学者の森毅先生の「数学受験術指南」をご紹介。前にもどこかの高校で話をしたような。くれぐれもこれを読んだからといって、すぐに数学の点数が伸びるわけではないので。。。受験生にはこれからの数ヶ月が勝負。大変だったのは、今でも思い出します。がんばって下さい。もちろん、また、困ったことがあれば、いつでもご相談下さい。お待ちしておりますので。。。



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