東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

多様、危機、チャレンジ(5/29)

2015年5月29日 (金)

 アブラナ科植物の自家不和合性の研究を始めて25年、四半世紀を超えた。この25年で何がわかったのか。花粉と雌しべのS遺伝子が何で、それがどの様に相互作用するのか、また、S対立遺伝子の多様性なども。一方で、渡辺自身が明らかにしたわけでないが、他の植物種との自家不和合性の共通性、多様性ということは、。。。どんどん多様になっているとしか言い様がない。いろいろなメカニズムが出てくるが、共通な部分は、。。関係が深いといえない現象との方が、アブラナ科植物の自家不和合性の雌雄S因子との共通性があったりする。なぜなのだろうかと思うことがあるが、単純に考えると、「いきものは賢いわけで、その場にある使いやすいものを使う、どれを使えばよいのか、try and errorをしているように。。。」、DNAというA, T, G, Cという文字を使って遺伝子を作り、いろいろな現象を制御しているからだろうか。。。マニュアルに振り回されることなく、その場で考えているからこそ、ちゃんとできるのだろう。そう考えれば、多少、多様でもよいような気がする。そういえば、この前に見た新聞に、大学の「学部」と言うのではなく、言葉が多様化していると。。。これくらいは、共通というか、保存されていてもよいような。何より、外向けにわかりやすい。そんなこともないのだろうか。。。

DSCN5534.JPG いずれ、環境が危機的になれば、多様である方がよい。そういえば、雑草の方が適応している気がするというか、どこにでもはえる。いろいろな多様な遺伝子型のものを作り出して、どれかが生き残るようにしているのだろう。たぶん、もちろん、そんな種子の多様性だけでなくて、生きていく上でも、簡単に枯渇しないように、生長点を限りなく地面に近いところにして、草刈りをしても、生き残るようにしている。地下茎でつながっていて、生き延びるのもいる。先の自家不和合性ではないが、植物の危機管理というか、リスクマネジメントはよくできている。こんな様に「賢い」植物に何とか学べないものだろうか。植物がしゃべってくれれば。。。そんなことは期待できないので、日々、何が変わっているのか、何を欲しているのか、考えることが大事なのだろう。完全になくなってから、議論してもしょうがないし、それが起きたら、なにをすべきなのか、日々、しっかり考えておかないといけないのだろう。それは、あの3.11からその意識はさらに高くなったように思う。今回の鹿児島の口永良部島での噴火でこれまでのことが活かされていればよいのだが。。。

 そんな多様性を保ち、危機管理をするためにも、常にいろんなことをやってみる「チャレンジング」であるべきなのだろう。岩手大にいた頃、科研費の発表会で代表をされていた奈良先端大の磯貝先生が、この5年間でチャレンジングなことをして、次につながるようにしてほしいと。確かにそうで、これまでいろんな諸先輩がチャレンジングなことをしたからこそ、現状がある。そのチャレンジングなことでうまく行ったこともあれば、そうでないこともある。どちらも大事で。偶然、うまく言ったのかもしれないのであれば、次にそうなる確率は低い。ただ、失敗の原因を明らかにしたら。それはそれで、次につながる気がする。94連敗しても、次を目指して、勝利をつかむ。その裏には、多様なトライと失敗を反省する心があったからであろう。戦略、戦術も重要。でも、最後の最後は、気合いと根性のような気がする。ようは、気持ち。その多様性と危機管理ができている植物の気持ちというか、気迫を何とか理解したい、こうも暑いと、そんなことをふと考えたのであった。

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 わたなべしるす

 PS. 5月も終わり。。。。と言うか、今年度も1/6が終わった。。。困ったものだ。何を達成したのか、書き出してみないと。6月には、恒例となった「ふるさと出前授業」が、今治周辺で。今年度はじめて伺う四国中央市の小学校のHP学校だよりに渡辺が訪問すると言うことが。ありがたい限りである。渡辺が育ったような自然豊かな環境のような所。今から楽しみである。

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