東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】愛媛県立西条農業高等学校・特別講義「遺伝学入門--F1雑種の後代を考える--」(6/16, 17追記)

2015年6月17日 (水)

 1, 2時間目が3年生向けの講義と実習。4時間目は、2年生向けに急遽、講義を。ちょうど遺伝学というか、遺伝子の所を講義されている生物の木田先生からのリクエスト。1, 2時間目の講義のあと、担当の木田先生と相談をして、雑種強勢の例として示している「ダイコン」の育種のスライドを使って。今は、メンデル遺伝学を高校でなくて、中学校で習うとか。普通科、理数科の高校で生物の教科書を拝見したら、渡辺が大学で学んだような内容が。細かな各論が入ってくると、こうした基礎的なことが下の学年になるのかなと。ただ、一方で、遺伝学と遺伝子を一貫して教える方が、理解する生徒さんにはよいのではと、そんなことも考えながら。そんなこともあり、1枚のスライドから、スタートの講義としたわけです。

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DSCN7579-2.jpg 細くて長いダイコンと太くて短いダイコンを交雑したら、F1世代では、太くて長いダイコンができる。ここで、太くなる形質を優性のA、対立遺伝子の細く なるのが劣性のa。長くなる形質を優性のB、対立遺伝子の短くなるのが劣性のbと仮定し、両親をそれぞれ、AAbb, aaBBとしたとき、F1はどうなるのか。AaBbになると。ここまでは何となく。理解をしてもらっていたようです。

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DSCN7584.JPGのサムネール画像 では、このF1を自殖、つまり、自分の花粉を自分の雌しべにつけて、種子をとると、その種子をまいた個体は、どの様な形質になるのか。と言うことを5つのグループに分けて考えてもらうと言うことに。こんな感じに分離するのではと言うところから、両親と同じような表現型になるのではと言うところ。さらには、減数分裂をきちんと理解していて、そこから導き出される雌雄の配偶子の組合せを書き出して、どの様な個体になるか、遺伝子型から、表現型を考えるグループも。しっかり理解できていました。最後のところで、慌てて書き出したからだと思います。少し分離比がずれていましたが。考え方は、しっかりしていますので。

DSCN7585.JPGのサムネール画像
DSCN7587-2.jpg最後の解説の所は、次の講義との関係で、生物の木田先生にお願いして終わりましたが、遺伝子を理解することも大切ですが、実際の農作物を普段から観察しているという点では、表現型を観察して、それがどうなっているかを5つ目のグループのように考えるのが大切ではないかと

DSCN7592-2.jpg 最後になりましたが、生物の木田先生、別府先生には、講義の機会を頂き、ありがとうございました。1枚のスライドでこうしたことを考えると言う講義の大切さも理解できました。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 生物の先生は、東北大で実施している「科学者の卵養成講座」でJSTからお願いされて指導的なコメント等を頂く先生のお弟子さんでした。。。なんと世の中、狭いこと。びっくりでした。

 PS.のPS. 中庭に西条農高の校訓を書いた大きな石が。。。。農作物を誠実に見て、それを心から敬愛し、新しいものを創造する。とても大事なことだなと。ふと。。。

DSCN7593.JPG PS.のPS.のPS. どこかの講義の合間に、今治西高の2級先輩に当たる体育科の毛利先生とお話しを。高校時代にお世話になった先生のたくさんの名前が出てきて。。。ありがたいことです。こうした先輩方がいたので、高校時代を楽しく過ごせたのだと。。。いろいろなイベントのことを思い出しながら。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

 PS.のPS.のPS.のPS. 6/17(水) 19:50、この記事を修正したところで、西条農高のHPを見たところ、渡辺の昨日の記事に対して、linkを貼って頂きました。ありがとうございました。明日にはこの記事、この後の記事にもなるのかと思うと感動です。ありがとうございました。

 

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