東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】愛媛県立西条高等学校・特別講義「農学・生命科学入門-アブラナ科植物の自家不和合性と研究者への道--」(6/16)

2015年6月17日 (水)

 夕方までが愛媛県立西条農業高等学校での講義実習を3コマ。いつも植物を扱っている渡辺には、ほっとする空間。その愛媛県立西条農業高等学校からちょうど駅をはさんで海側と言えばよいのでしょうか。愛媛県立西条高等学校があるところは、昔、城があったところ。学校の周りがお堀で囲まれていて、石畳の道の向こうに昔の門があって、その中に高校が。いつ来ても、何ともいえない感動が。いつも書くことかも知れないですが、愛媛県立西条高等学校が愛媛県内で、東予地区にはじめてできた旧制の中学校。その分校として今治にできたのが、渡辺の母校である愛媛県立今治西高等学校。分校の卒業生が本校で講義をできるというわけですので。時代が時代であれば、なかなか大変なことだったのではと、いつも思いながら。2年ほど前にもこのような講義をお世話頂いたのが、愛媛県立松山北高等学校の出前講義でもお世話になった化学の矢野先生。今回も多数の生徒さんを集めることにご尽力頂きました。ありがとうございました。

DSCN7608.JPG
DSCN7610.JPG 最初に渡辺のことを矢野先生からご紹介頂き、講義としては、前半が渡辺がやっている植物の生殖・自家不和合性の話。後半がキャリア教育の話。と言う構成。60枚近いスライドを並べているし、頂いた時間も1hrちょっと。無理をしないというか、余りどこかのスライドでしゃべりすぎないようにと。自己紹介で、なぜ、遺伝学をするようになったかなど、簡単に。また、今治の人間であると言うことも。。。で、講義の最初の難関は、農作物の花の写真とその名前。普段の普通科、理数科での講義よりはたくさんの正解だったのでは。というか、自然をよく観察しているなと。愛媛県人としての誇りというか、ミカンの花の名前が出たのは、ほっとでした。次の難関がヒマワリの上にいるハチ。これがどこから来てどこへ行くのか。ヒマワリの花の季節感というか、それを理解してほしいと言うことなのですが、季節感を無視して。。。。ワープが機能するように改造されたという理数科の生徒さんらしい解答なのかも知れないですが、。。それはやっぱり。。。

DSCN7611.JPG
DSCN7615.JPG 自家不和合性が起きると言うことは、やはり不思議なことのようでした。動物のように機敏にと言うか、動きが見えないので、植物は。そんなところで評価を受けるとき、植物は損をしているのかなと。。。また、せっかく研究をする、大学で何かを学ぶのであれば、世界topを目指してほしいと。自家不和合性の動画も不思議の対象かも知れないですが、名古屋大の東山先生からお借りしている受精の動画。これも感動を頂きました。植物も動物並みにきちんと考えて、彼氏と彼女を探しているのだと。そんなことがわかってもらえれば。。。草食系とか言われている世の中ですが、植物は草食系なのか、どうなのか。しっかり競争の渦に巻き込まれているようなことは、理解してもらえたかと思います。

DSCN7618.JPG 後半は、キャリア教育の話。渡辺が小学校の頃、なぜ、科学者に興味を持ったのか。何のことはないテレビの影響。アニメなどいろいろなものに博士、教授が出てきてその科学力は今ですごいこと。ところが、そんなことが今ではないので、科学に対する興味が下がっているのか。だとしたら、もうちょっと違った角度から、理科離れなど、対策があるのではと。高校時代には、どの様な生徒だったのか。何に興味を持っていたのか。あの当時はそんなことを考えなかったけど、今となったら、数学で自由に考えて解く力をつけてくれた先生方に感謝なのだと。あれを公式で何とかしようとするものなら、覚えきらないわけで。考える力の源になったのだと。だからこそ、しっかりと考える力を数学で養成してほしいと。まだ、高校1, 2, 3年生でそれぞれどんな進路というか、将来の職業というか、そんなことを考えて、実際の共通一次で悲惨な結果となり、でも、それが今に至る道として、よかったと。もちろん、いろいろなことはありましたが。

DSCN7621.JPG また、同じ高校、大学で学ぶという同窓生と言うことが将来にわたって、どれだけ重要になるのか。そのためにも、友達を大切にして、将来、共同研究、共同 プロジェクトなど、すごいことをやってほしいと。餅は餅屋の精神で。このあたりになって、明らかに時間overになるのではと、。。というか、over。 かなりのスライドをはしょりました。なので、はしょった部分は、各自、レジメを読んで学習してもらえれば。。。講義の最後の〆は、いつものように組織論。 どんなに失敗してもくじけないことが大事だと。失敗をして、その失敗が何に由来したのか、それを考えること。それが大事だからと。と言うところで、さすが にoverをした講義も終わりました。

DSCN7623.JPG 質疑応答の時間には、かなり多くの生徒さんから質問が。どんな戦略でこれから興味を絞るのか。納得がいくまで数回質問する生徒さんも。可能な限りこたえるようにしましたが、疑問が残った方は、レポート、あるいは、渡辺にmailをして頂ければ、可能な限り、迅速に回答しますので。

DSCN7625.JPG
DSCN7627.JPG 発表・質疑応答のあと、全体の集合写真撮影をして、みんなで世界に向かって情報発信。最後は、代表の方から、今日の講義が自分たちにどの様な刺激になったかなど、とてもしっかりとしたコメントでした。素晴らしかったです。ぜひ、考えること、五感をしっかりと働かせることを大切にしてがんばって下さい。是非、この中から、渡辺と一緒に植物の遺伝学、研究をできる方が現れるのを楽しみにしていますので。

DSCN7630.JPG
DSCN7633.JPG 最後になりましたが、西条高校教頭・中井先生、矢野先生、藤田先生をはじめとする関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後ともよりよい連携ができればと思います。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 以前、愛媛県の理科部会からお願いされて、本に寄稿しましたが、その時に原稿のハンドリングでお世話になったのが、当時、新居浜西高におられた田村先生。こちらがたくさん書いたことにも真摯に対応頂き、感謝でした。その田村先生と一緒に仕事をされており、西条高校に来られた藤田先生先生。その藤田先生が担任をされていた生徒さんが震災の年に東北大に受験にいらしたと。そういえば、新居浜市立金子小学校での出前講義の時に伺ったような。こんな所でもつながっているのだなと。びっくりでした。というか、今後ともよろしくお願いいたします。

 PS.のPS. 講義が始まるまでの少しの間、こちらがパソコンを稼働させて、ちょっとした仕事ことをしていたのですが、矢野先生にはお見通し。。。恐れ入りました。と言うか、そんなことをしていて、お許し頂けたのは、ありがたいことです。

 PS.のPS.のPS. 最初にも書いたとおり、歴史があり、卒業生には、国鉄総裁も務められた十河信二氏も。彼が寄贈した庭と言うも。写真を撮り忘れたのが、失敗でしたが。。。また、体育館が新しくなったそうで、愛媛県内の材木を使っての建築物。遺跡があると言う関係で、建築までにずいぶんとかかったそうですが、天井は高く、照明は白色のLED。光熱費を考えれば、また、近年の技術革新を考えれば。よくできていました。感動でした。そういえば、母校の今治西高校の体育館も古くなり、改築するとか。これに近いものができるのか。どうなのか。楽しみになりました。

DSCN7634.JPG PS.のPS.のPS.のPS. このHPを書いているところ、西条高校のHPを見たら、すでに渡辺の記事が。ありがとうございました。感動です。
 

≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE