2009年10月の記事です。
栃木県立宇都宮女子高校でのSSH特別講義「植物科学研究における最近のトピックス--自他識別が起きる自家不和合性とは。。。--」(10/22)
2009年10月23日 (金)

昨年に引き続き、SSH実施高校である、宇都宮女子高等学校1年生全体への特別講義、「植物科学研究における最近のトピックス--自他識別が起きる自家不和合性とは。。。--」を行いました。理系の生徒さんに講義が多い中、ここでは、文系・理系に分かれる前の1年生にこうした理系の講義を実施するというのは、科学の発展を社会に広めるという意味で、重要と思いました。
最初に、身近な野菜の花の写真を見て、その写真がどんな野菜かというのを考えてもらいましたが、以外と知っているというのか、以外と知らないというのか。また、校内にある「ペチュニア」の花に気がついてない生徒さんがいたのは、少々、残念でした。ぜひ、身の回りの植物、花を観察してください。
花の構造、自家不和合性、受精などについて最新の話をし、この分野の理解を深めてもらいました。最後には、2名の方ら、とてもすばらしい質問もいただきました。自家不和合性があるということは、自家和合性もあるわけで、なぜ、自家和合性の植物で自殖弱勢がでないで成立するのか。現在、われわれもこの問題には興味あるというか、誰がこの問題を最初に解決できるのかが、近いうちの世界的競争ではないかと思います。ぜひ、こうした生徒さんたちと研究ができればと思います。
最後に、11/11に、植物・生殖に係わる実験をするということを案内して終わりました。最近の技術進歩で、低炭素社会の実現というのが、最近の合い言葉のようですが、「植物」が、動物と大きく異なるのは、CO2である二酸化炭素を固定できるということ。これは、低炭素社会実現に不可欠な素材というか、「植物」抜きには考えられません。植物・作物の重要性も理解をこの講義で深めて頂けたのではと思いました。
わたなべしるす
仙台市立川平小学校、科学・工作クラブへの出前講義「キャベツとブロッコリー--両方の遺伝子を持つ植物は??? --」(10/21)
2009年10月21日 (水)

9/1の仙台市立川平小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」が、児童の皆さん、先生方に好評だったこともあり、今回は「科学・工作クラブ」で、「環境問題・低炭素社会」という問題を解決する重要な因子である「植物」の多様性、ということで、キャベツとブロッコリーを取り上げました。
キャベツとブロッコリーは、いずれもラテン名で、「Brassica oleracea」に分類される植物というのか、農作物で子供たちにもおなじみの野菜であり、この両者を交配して、雑種を採ることができます。前回の講義をしたあと、子供さんの1人が、「アサガオ」と「ヘチマ」を交配しようとしたとか。アサガオはヒルガオ科、ヘチマはウリ科。科が違うので、雑種を採ることが不可能です。そこで、子供さんたちの興味である、「雑種」を作るということには、キャベツとブロッコリーが、よいだろうと判断して、講義をすることにしました。
キャベツとブロッコリーの育ち方を講義したあと、キャベツとブロッコリーの苗を観察したり、食味が同じか、違うのか、体験してもらいました。最後には、畑に植えてある「キャベツとブロッコリー」の小さな双葉になった苗に水やり、栽培管理を説明して、終わりとしました。
12月には、「雑種」がどのようなものになるのか、まず、想像してもらい、来春に、実際に交配をして、雑種を作ってもらおうと思っています。子供さんたちと楽しんで、新しい植物を作ってみます。
わたなべしるす
千葉さん歓迎会!
2009年10月20日 (火)
福島県立福島高校でのSSH特別実験「アブラナコンソーシアム関連実験指導」(10/16)
2009年10月20日 (火)

福島高校でDNA抽出実験を講義したあと、「アブラナコンソーシアム」に取り組んでいる生徒さんたちと植物の生育、実験の方向性について議論しました。植物はあまり虫に食われることもなく、よく育っていました。春まで花が咲き、交配もできるでしょうし、様々な実験ができるのではと思いました。
一方で、生物と化学を融合した実験を試みている生徒さんもいました。話を聞いていると、小学校だったか、中学校から、続けていると。それを聞いて、感動しました。渡辺はもちろん大学にいますので、20年以上、自家不和合性の研究をしていますが、小中高の時代に、そんなに長く研究をしたことはありません。夏休みの自由研究くらいです。その研究は、そのとき限りのものでした。そう考えたとき、何とも言えない感動を覚えつつ、実験の方向性について議論しました。アブラナの生活環の特徴を利用する、簡単に手に入る材料も利用する、栽培している植物の研究をしている人と共同研究をする、そんなことをコメントしました。
さらに共同して発展した結果を、年度末の報告会で見ることを楽しみにしております。
わたなべしるす