東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】今治市桜井小学校「花の不思議な世界」、今治市立国分小学校「キャベツとブロッコリー」(2011年度ふるさと出前授業-7, 8、12/02)

2011年12月 3日 (土)

 前日は、金子小、今治小でしたが、最後の4日目の午前は、渡辺の卒業した小学校の桜井。昔から比べると、もちろん木造の校舎はなく、当時、「新校舎」と呼ばれた新しい校舎が全部の校舎になり、木造の講堂で入学式、卒業式をしていたところも、体育館になっていました。残っているのは「ユーカリの木」です。懐かしい反面、ずいぶん変わったなと。。。もう1つ同じものは、昔からの制服。講義をしながら、見ていて、ふと自分が小学生に戻った感覚になった、そんな気持ちでした。

 校長室には、歴代の校長先生の写真があり、渡辺が小学校の時にお世話になった校長先生、その当時は、担任などの先生をされていた方が、後に、校長先生をされたんだなと。とても懐かしく拝見し、昔の先生方にお会いできたような気持ちになり、うれしい限りでした。やっぱり、卒業した学校はよいなと改めて思いました。

DSCN1945.JPG 武本校長先生には、3月の今治自然科学教室の時にもお世話になっており、8月には、自然科学教室を運営されている先生方へのセミナーのようなものもお願いされていたのですが、当方が、3/11の東日本大震災の影響で大変だろうということで、見送って頂いたのは、ありがたいとともに、申し訳ない思いで。ぜひ、次の折には、また、できればと思っております。

DSCN1956.JPG 講義では、このふるさとで前授業の最後の「受粉・受精」講義だったのですが、他の小学校では、もう少し他のこともしゃべったと思っていたのですが、予定をオーバーした講義になっていたのは、びっくりでした。桜井には、リンゴの畑はないと思いますが、通学路に、なしの畑はあったような、ぜひ、観察してみてください。

DSCN1966.JPG 午後からは国分小学校。これも同じ桜井の校区にある小学校なのですが、渡辺が小学校を卒業する頃から、クラスの数が増え、その結果、2つの小学校に分かれた、その新しい小学校が、この国分小学校でした。近くを通ることはあっても、伺うの初めてでした。今回の講義の8回のうち、7回が、先にも書いたとおり、花のこと、自家不和合性のことでしたが、最後の国分小学校だけが、キャベツとブロッコリーから、どんな植物ができるのだろうかという、講義主体というより、各班ごとで考える。キャベツにもちろん根っこがあったり、ブロッコリーに葉っぱがあるのは、われわれ的には当たり前のなのですが、そうしたことを普段見ていない子供さんのために、今治南高の園芸科の別府先生が、授業用に分与頂きました。子供さんたちにも好評でした。この場を借りて、お礼申し上げます。

DSCN1967.JPG さて、授業の方ですが、5, 6年生が、それぞれ5つのグループに分かれ、キャベツとブロッコリーからどんな植物ができるのかを様々な観点から、模造紙に書きました(愛媛では、これをとりのこ用紙という名前で呼びます。昔も今も。)。今回の講義でもそうだったのですが、市販のものではないのか。ということの質問が多かったですが、キャベツとブロッコリーのそれぞれの特徴を見て、考えるようにと何度かいうと、みんな考えるようになり、新しい植物を書き始めました。書き上げたところで、全体へのプレゼン。なぜ、このような植物を書いたのかという点に力点を置き、その上で、それ以外の特徴も。

DSCN1986.JPG 1つのグループが少しブロッコリーの特徴を十分に含んでいなかったというコメントをした以外、よく両者の特徴を取り込んで、新しい植物が書かれていました。また、どのグループもみんなでよく相談したり、グループをリードする子供さんがいたのは、特徴的でした。この背景には、先にも書いた、「今治自然科学教室」で自然をよく観察し、科学を見るというシステムがあり、そこに理科好きの5, 6年の子供さんたちが参加していることがあるのだろうと。。もちろん、日々の理科の先生、クラスの先生方のご努力の上ということは当然のことですが。。

DSCN2005.JPG 最後になりましたが、桜井小学校・武本先生をはじめとする先生方、国分小学校・別府校長先生をはじめとする先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。講義を行った体育館など、各所を暖かくして頂き、腰痛を抱えての最終日は、本当に助かりました。ありがとうございました。また、来年もぜひ、お世話になれればと思います。

 4日間の午前午後で、8校に伺い、今年度の「ふるさと出前授業」は無事終了しました。本当にお世話になりました。それぞれの学校の先生方のご配慮があり、腰痛で危ないと思いつつ、何とか最後までこなすことができました。ありがとうございました。また、未来の科学者となって、どこかでお会いできればうれしいです。最後になりますが、今回のふるさとで前授業の調整役をして頂きました、美須賀小学校・高橋校長先生には、この場を借りて、改めてお礼申し上げます。来年以降もよろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 他の小学校にも声をかけてあったつもりだったのですが、こちらの連絡不足で、保護者の方がご参加頂いたのは、この国分小学校で、1名の方でした。それも、数日前の日吉小学校の理科支援員をして頂いている方からの口コミだったとか。ありがたいお話しだと思いました。こうして、輪が広がることができれば、より、理科大好きになれると思います。

 余談かもしれないですが、昨年、一昨年のいわゆる「事業仕分け」で、この「理科支援員」制度が廃止になるとか。先にも書いたとおり、今治は、自然科学教室があり、理科の先生方がいるので、ずいぶんと理科好きの子供も育っていると思います。そこに理科支援員さんがいれば、さらなる底上げになるはずなのに。今治でないところでは、理科の専科の先生がいないというところがずいぶん多いことに、全国を出前講義すると、わかってきました。そんな大変な環境で、理科支援員制度もなくなる。いったい現場は、どうやって、理科好きの子供を作ればよいのでしょうか。渡辺が理科が好きになったのも、小学校からの理科の先生と自然科学教室です。全国でもこうした環境がないことを考えると、理科支援員の廃止の事業仕分けをされた方々、ぜひ、ご一考頂けないものかと、痛感しました。ノーベル賞を増やすとか、いろいろなすごいことをいっていますが、何より、次の世代を背負う子供たちが理科が好きになってくれないとどうしようもない。なにとぞ、立派な立場にいらっしゃる方々。この制度を復活させ、理科大好き、科学立国日本を目指してほしいと思います。科学立国日本以外に、この先、生き残る道がないと思いつつ。。。。

DSCN1859.JPGのサムネール画像

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