東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】鹿児島県立錦江湾高校・コアSSH「ダイコンを基盤としたトータルサイエンスの実践(ダイコンコンソーシアム)」・コメンテーター(12/09)

2011年12月10日 (土)

 夏のコアSSH「ダイコンを基盤としたトータルサイエンスの実践(ダイコンコンソーシアム)」の研究計画討論会の成果発表会が、ポスター形式で行われました。トータルサイエンスをどうとらえるかということで、夏にはその方向性など、皆さん、様々なことを考えておられたようですが、発表はそれを見事に反映したものでした。いくつかのSSHの運営指導委員を仰せつかっていることは、これからの人材育成の上でよい経験となり、また、科学者の卵の運営にもとても参考なっております。、

DSCN2009.JPG 通常のコアSSHの場合、共通概念で、共通のことをやる。たとえば、何かの観測をやる。何かの遺伝子を全国で調べる。それはそれで1つ方向性があり、おもしろものかもしれません。しかしながら、このダイコン研究は、参加校が独自に研究を行い、どこかで接点ができたところで、議論をしたり、共同したり。観察、調査、分析、物質生産など、ダイコンという単語の元に、様々なサイエンスが行われているのが、ポスターを見る方も楽しみでした。新しいものとして、ダイコンの葉っぱの溶液を使った染め物。品種間差異があれば、おもしろいのかもと。ダイコンの維管束系を食用の部分から、葉っぱの部分にかけて、形態観察。今年、ダイコンの近縁のハクサイ、カブのドラフトゲノムが公開され、近いうちにダイコンのゲノムもopenになるでしょう。そうしたとき、この基礎的なデータの形態観察などは、大きな意味を持ってくると思います。さらなる発展を期待しています。東日本大震災の被災地支援ということで、「耐塩性」を1つのキーワードにして、実験を行っていたのは、東北地方にいるものとしては、ありがたいサポートだと。

DSCN2010.JPG 表彰は、全体の研究レベルが甲乙つけがたいということから、「優秀賞」。個別に、地域貢献、HPへの貢献、奇抜な実験などに対して、「特別賞」となりました。詳しいことは、近日中にダイコンHPに公開予定です。このダイコン研究が始まって、丸3年。あっという間でしたが、これからがさらにおもしろい発展ができると思います。それくらい身近な材料であり、多様性に富んだ研究ができる材料なのでしょう。来年以降の継続もぜひ、楽しみしております。

DSCN2011.JPG

 最後になりましたが、ダイコンコンソーシアムを運営している錦江湾高校・讃岐先生をはじめとする多くの先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす




≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE