東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】香川県立観音寺第一高等学校・SSH研究成果発表会コメンテーター(2/15)

2012年2月15日 (水)

 運営指導委員を仰せつかっていたり、関係した高校でのSSH研究発表会、運営指導委員会も、今年度、あと少しになりました。時間的に可能だったこともあり、学位審査の合間ではありましたが、研究発表会コメンテーターをお引き受けしました。先週は運営指導委員会でしたが。。。採択1年目ですが、学校全体で取り組んでおり、教科領域横断的な授業も展開しているのは、とても興味深いものがありました。特に、「論理性」を重要視しているのは、私事ですが、先日の愛媛新聞の「道標」の記事と重なるものがあると感じ、なるほどと。。

 開会行事で、香川県教育委員会・委員長・藤村様より、香川県の教育目標「夢に向かってチャレンジ」ということばがあり、県としてこうした点を明確にしているのは、さすがと。。。(渡辺が他の県のキャッチフレーズを知らないだけかもしれないのですが。。)教育委員会の委員長の方がこうした会に出られていたのは、1/18の宮城県仙台第三高等学校の時以来、2回目。会全体がぴしっと締まるものがありました。

 公開授業は、領域横断的なもの等、6つのものが用意されていたのは、感動でした。そのうちの4つを拝見しました。国語では、コラム記事の要約のポイントの講義。3名の先生方が、それぞれの感性で講義をされる、なるほど、これはこれで興味深いものでした。何を残して要約するか、要約の仕方の好き好きもあるのではと思いましたので。
 数学的思考力のところでは、数学の問題の解答を全体に説明する。昔は、放課後などに友達に、数学の問題の解き方を教えていたのを思い出しました。教えてみると、相手のわからないことをどうやってovercomeするかというのが、わかるようになったのかもしれません。また、いろいろな文字列を使った暗号文作成、これもおもしろい取組でした。周期表の元素記号を使っていたようですが、それをどう読み替えるのか、そこが難しいような。。。Csというtermがあったのは、震災後の渡辺には、刺激が強すぎました。。
 英語での自己表現では、班内、班ごとのプレゼン。高校時代から、こうした英語での表現をしていれば、外国人が来たり、外国に行っても、それなりに物怖じしないのではと。。。。
 英語だけではなく、日本語でのプレゼン、ここでは、PRというように呼んでいましたが、時間を3minに制限して、その中でぴったり、自分のいいたいことをまとめてしゃべる。ついつい、しゃべりすぎの渡辺には学ばないといけないというものを感じました。パソコンの実習室で、プレゼンシートをアナログで作るというのも、おもしろい試みかと。

DSCN2194.JPG 午後からは、香川大・理事・大平文和先生が「理工系人材の育成と工学部の役割--工学教育、研究の現場から--」ということで、講演をいただきましたが、われわれのような一般参加者とSSHを実施している理数科の生徒さんがいっしょの聴講という取組もこれまで初めてだったかもしれません。衝撃だったのは、「理系の方が、文系よりも、生涯賃金は多い!!!!!」。文系の方がよいといわれていたのは、間違いだと。。。よかった。。。とともに、やっぱり、理系に進んでほしいといってよいのだと。。。また、技術者の地位向上というのは、とても重要ではないかと。ものづくり日本を支えているものだから。。。とてもniceだと思いました。また、日本人の課題解決能力>>>課題設定能力。。もっと、課題設定能力を磨かないと。。何より、こうしたサイエンスをするというか、何かをするためには、「好奇心、あきらめない性格(いつも考えていること)、新規な発想、コミュニケーション能力、基礎学力、リーダーシップ。最後は、維持と執念(気合いと根性)」。どこでも何でも同じなのだと。。。とてもよい刺激を受けた講義でした。ありがとうございました。

 今年に入ってから、いくつかのSSH実施校の講義プログラム(小松高校浦和第一女子高校)を拝見しましたが、今回の観音寺第一高校のものも、とてもすばらしいものでした。SSHというのが1つの高校での教育プログラム開発という側面であることを考えると、教育プログラム、それも課題研究の内容とかでなく、新しい授業のやり方などを、JSTのHPなどで公開できないものだろうか。そんなことをふと思った。SSHは、ある種競争的資金であるので、そんな秘中の秘をひけらかすというのは、「プロ野球でいえば、エースが決め球の握りを見せるようなもの」、「サッカーでいえば、必殺のFKのけり方を見せるようなもの」という気がした。ただ、研究室にいても、実験技術を継承できなければ、発展はない。特許のようなものでないのだから、ぜひ、SSHさらには、高校教育の共有財産にしてほしいと思った1日であった。

 最後になりましたが、お世話になりました、SSHの石井先生、校長先生をはじめとする多くの先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。。

DSCN0041.JPG
 わたなべしるす

 PS. 埼玉県立浦和第一女子高等学校・SSHの統括をされている菅野先生も今回の研究成果発表会にいらしており、観音寺駅出張ったりお会いしたのは、感動であるとともに、何かのご縁を感じました。ありがとうございました。また、これからもお世話になれればと思います。


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