東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】平成26年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会・講評者担当-1(8/6)

2014年8月 6日 (水)

 日本気象協会のHPを見ると、今朝の仙台は昨日に続いて、熱帯夜だったような。。昨日から来ている横浜も、海風は心地よいですが、それでも暑いです。朝から、一駅分くらい歩いたでしょうか。結構暑い。。四国、北海道では、とてつもない雨が降っていて、関東、東北は、暑すぎ。。。お天道様のような方が、雲の上から、攪拌してくれると。。。もう少しバランスがよくなるのでは。。。で、昨日のHPにも書きましたが、渡辺が仰せつかったのは、「平成26年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会・講評者」。平成24年に続いて、2回目。会場はパシフィコ横浜。1994年だったと思います。最初にここに来たのは、。International Botanical Congressで。これと平行して行った自家不和合性の会議で、Penn. State Univ.のProfessor Kaoの逐次訳をしたのを思い出します。その当時、何も原稿のない英語を訳するなんて無理。。。Kao教授に原稿を送ってもらって。。。ところが、最初にいきなり、原稿にないことを話されはじめて。。。「今話されたことは、原稿にないのですが。。。。」と言うことを言って、場内から大爆笑をやってしまいましたが、わからないものはわからない。。。と言うのを、今も思い出します。そのあと、ご苦労様と言うことで、懇親会のチケットを頂いたような。。。Banquetと言うことがわからず、Bankと間違えて、そんな用事はないと言って、また、ひんしゅくでした。。。。そんな頭を抱えた記憶しかないのが、ここ「パシフィコ横浜」です。

DSCN3513.JPG 最初は、毎年、誰か著名な方をお呼びして、特別講演をされているようで、今年度は、京都大・稲葉カヨ教授。動物の免疫系が専門の方。免疫は、学部の4年の時に、モノクローナル抗体を作ると言うことで、理学部生物の竹内先生のところへ伺ったことを思い出し。。。また、少し免疫を学んでみようと、本を買ってみましたが、未だに、複雑すぎて。。。もちろん、植物にも耐病性というのがあり、昔は、植物病理と言っていましたが、いまは、植物免疫と呼ぶようで。。。脳みそが古いからでしょうか、植物病理という方が、脳みそに自然と入ってくるという感じです。最後のところで、免疫系(B細胞、T細胞)のバランスで、花粉のような普通では、異物としないようなものを攻撃したということを言っていました。また、それに関する遺伝子なども。そのあたりが理解できなかったのが。。。やっぱり、免疫は難しい。の一言でした。というか、それをどの様に応用したら、また、交配実験をする現場に戻れるのか。。。そのあたりがわかれば。。。講演をされていて、感動したのは、途中で高校生に質問をしたとき。どちらが処理をした実験区でしょうかという質問。高校生がどちらかに手を上げてくれることを期待していたのでしょうか。渡辺もよく使います。ところが、高校生は誰も手を上げず。。。渡辺なら、。。。。いつもの行動に出るのですが。このあたりは、稲葉先生。冷静に解答を説明され。。。学ばないといけないなと。。。

DSCN3514.JPG このあと、200を超える課題の中で、いくつかを審査した訳ですが、それ以外にもSSHの運営指導委員会、講義等で伺っているところの高等学校へも。どこの学校の発表を見たかなどは、紙面と時間の関係で明日に。。。すみません。今日の夜にはuploadしますからと約束した高校生の皆さん。今日は、渡辺の皆さんのポスターへの感想などと言うことでお許し下さい。見てわかるのは、生物に近い領域。そこを見ていて思うのは、遺伝子の実験が多くなったこと。もちろん、遺伝子をやれば、綺麗なdataが見えるかもしれません。でも、それは、意味のある遺伝現象を見つけているか。と言うか、対立関係にある表現型について、その分離を見ることができるから。いわゆる、メンデル遺伝を見ることができるから。もちろん、植物でなく、動物は純系を作るのが難しいので、そうは簡単にいかないこともあります。そうなったとき、見ている遺伝子というか、仮定した遺伝子が表現型と連鎖していなければ、何のために遺伝子をやっているのか。。。なので、かっこいいと思えないかもしれないですが、表現型をしっかり見る眼を養ってほしいと。。また、ある現象を解析するとき、その現象を解析するために、最適と言わないまでも、適した手法で見ているのか。。。表現型に対して貢献しないような形質を計っても。。。と思います。また、研究に使う材料として、それがよいのか、なぜ、その材料なのか。。。例えば、渡辺の場合、自家不和合性の研究をするために、ハクサイ、カブのなかまのBrassica rapa (syn. campestris L.)を用いています。これは、春化処理が容易で、年に数回の実験が可能。それに対して、キャベツのなかまのB. oleraceaは、春化処理は容易でない。ただ、永年性なので、変異体は枯らさない限り、使い続けることができる。変異体ができれば、容易に維持できる。接ぎ木、さし木もできる。ということです。遺伝学の使いやすさは、本当は、春化処理が容易で、変異体は、親個体を維持できる。まさに、両方の使いやすさを兼ねていればよい訳ですが、。。渡辺は、維持できるのを譲って、life cycleをとって、B. rapaを使っています。と言うように、何を使うのかというのは、とても重要なポイントになる訳です。遺伝学を例に書きましたが、是非、実験をやる前にこうしたことを考えてみてほしいと。。。

DSCN3512.JPG 最後は、6名の評価者の方々から、3年目のSSH実施校の中から、これはと言う研究を分野別の代表校を。。。その時に、いくつかのポイントを。発表に参加する生徒さんは、できれば同レベルで説明ができてほしい。。。これは、いろいろなSSHの発表会で思います。身の回りにあるものを題材として、研究にトライしてほしい。と言うか、そうしたよい例があったと。それはこちらも見ていていつも思います。一方で、高大連携と言うことについて、コメントされる評価者の先生方も。ただ、連携のあり方をどうするのか、それも難しいなと。。。どこかのSSHの運営指導委員会で、議論になったような。。。で、6校の高校の中に、運営指導委員を仰せつかっている福島県立福島高等学校の化学系の実験が。話を聞いただけでもすごそうだなと。以前に思っていましたが、。。。感動でした。実際に手を動かされている生徒の皆さん、指導されている生徒の皆さんのすごさ、大変さを改めて。。

 ということで、出前講義などでお世話になっている高校の発表、科学者の卵で活躍していた受講生が、このSSHでも大活躍などもありましたが、詳細はまた、明日ということで。

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 わたなべしるす

 PS. 朝、起きて、新聞を見たときには、気にかけていたのですが、きょうが8/6で、いつもなら、テレビをつけて、広島に黙祷をしていたのですが、あれこれと打合せが始まると失念してしまい。。。今治の桜井小学校時代の修学旅行で見た広島平和記念資料館は、余りに衝撃的でしたので。。。。

 PS.のPS. ポスターの前でなくて、帰り際に、年に数回出前講義に伺っている石川県立小松高等学校の先生と生徒さんたちとばったり。せっかくでしたので、全員集合の写真を。2回ほど、物理系の発表は聞いていましたが、今回、さらに進化して、新しい数式まで、実験結果から導き出していて。。。感動でした。そんなのと、ほぼ最後くらいに出てこられたので。運良く写真ができました。また、お世話になれればと思います。ありがとうございました。

DSCN3516.JPG PS.のPS.のPS. 原稿を書きながら、一方で「科学に興味、日本が4カ国で最低 高校生、理科離れ進む」と言う記事も。。。科学の進歩に反して、科学への興味がなくなるのは。。。。困ったことです。何とか、下支えをしないと。。。と思わされた、最後の新聞記事でした。。。


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