東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2012年2月の記事です。

【出前講義】宮城県仙台第三高等学校・SSH運営指導委員会(2/20)

2012年2月21日 (火)

 1月末から2月にかけては、運営指導委員を引き受けているSSH実施校での運営指導委員会が目白押し。コアSSHは昨年12月でした、通常枠の盛岡第三観音寺第一、に続き、仙台第三が昨日でした。

 今年度の実施内容、次年度の計画など、いろいろと検討されており、昨年より、ステップアップされているのが、何よりでした。震災の影響が大きく出るかと思っていましたが、そのあたりは柔軟な対応ができたのではと。また、以前にも報告しましたが、校内の課題研究発表会に県内の実業高校を招待したり、小中学生をポスター発表で招待したり、様々な刺激を与えて、トライしているのは、何よりだと思います。さらに、国際化などが進展すれば、よい方向に進むのでは。。

DSCN2196.JPG ちょうど、校内で、インフルエンザが猛威をふるっていたようで、校長先生とおはなしできなかったのは、残念でした。回復されて、また、方向性など議論できればと思います。

 最後になりましたが、教頭先生、粕谷先生、千葉先生をはじめとする関係の先生方、宮城県教育委員会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

 わたなべしるす

 PS. そういえば、先日、愛媛県の方から、「せとか」を頂き、研究室のみんなでいただきました。上の記事とは関係ないですが、ミカンの絵だけでも。。。お礼の意味を込めて。ごちそうさまでした。

DSCN2195.JPG

ページの一番上へ

オーストラリアに行ってきました

2012年2月20日 (月)

タカダです
17日までオーストラリア メルボルン大学で開催された
PLANT REPRODUCTION FOR FOODに参加して参りました。
2年前の前回大会はイギリスのブリストルで行われ、当研究室からもたくさんの学生、PDが参加しましたが、今回は一人の参加となりました。
DSC02000.JPGのサムネール画像

発表は土地柄もあってか、オーストラリア・日本・中国の方が多かったように思います。
個人的な感想としては、重複受精に関する研究発表が非常に興味深かったです。
我々が研究対象としている花粉ー柱頭情報認識・伝達機構を含めて、植物の受精時には多くの細胞間情報認識・伝達機構が存在していると考えられております。
ここ10年くらいの研究で、関連する遺伝子の単離や、顕微鏡によるライブイメージングによる非常に興味深い映像が公開され、関わっている細胞の実態がわかりつつあります。
反面、研究は佳境を迎えつつあり、競争が激化していることを感じました。

DSC01890.JPG

我々の研究テーマである自家不和合性については、それほど多くの発表があったわけではありません。最新の重要論文で見かける様な名前もあまり聞けなかったことが残念です。
我々が材料としているアブラナ科植物の胞子体型自家不和合性とは異なる、バラ科やナス科に見られる配偶体型自家不和合性機構に関しては、我々とも縁の深い奈良先端大高山先生のグループが昨年、非常にすばらしい報告を発表しているのですが、それまでに、いろいろなモデルが乱立しすぎたため、理解が難しくなっている様に思いました。

配偶体型自家不和合性研究を行う研究者の方々が、集まるような研究集会がありましたら、是非とも会場の隅でふるえながらでしょうが、聞いてみたいです。

名称未設定 1のコピー.jpgのサムネール画像
DSC01870.JPGのサムネール画像


メルボルン大には、先輩で現在タキイ種苗で活躍されているEさんが
行っていたこともあり、街や大学の雰囲気も楽しみにしておりました。
大きすぎず、田舎すぎず、とてもいい感じの街でした。
あまりの楽しさに帰国日の朝は、ひどい二日酔い状態でございました。


DSC01866.JPG



次回は、speakerとして参加できる様、精進いたします。
注目の次回開催場所ですが、ポルトガルとの噂を聞きましたが、公式HPでの発表をお待ちください。
TaKaDa















ページの一番上へ

【出前講義】香川県立観音寺第一高等学校・SSH研究成果発表会コメンテーター(2/15)

2012年2月15日 (水)

 運営指導委員を仰せつかっていたり、関係した高校でのSSH研究発表会、運営指導委員会も、今年度、あと少しになりました。時間的に可能だったこともあり、学位審査の合間ではありましたが、研究発表会コメンテーターをお引き受けしました。先週は運営指導委員会でしたが。。。採択1年目ですが、学校全体で取り組んでおり、教科領域横断的な授業も展開しているのは、とても興味深いものがありました。特に、「論理性」を重要視しているのは、私事ですが、先日の愛媛新聞の「道標」の記事と重なるものがあると感じ、なるほどと。。

 開会行事で、香川県教育委員会・委員長・藤村様より、香川県の教育目標「夢に向かってチャレンジ」ということばがあり、県としてこうした点を明確にしているのは、さすがと。。。(渡辺が他の県のキャッチフレーズを知らないだけかもしれないのですが。。)教育委員会の委員長の方がこうした会に出られていたのは、1/18の宮城県仙台第三高等学校の時以来、2回目。会全体がぴしっと締まるものがありました。

 公開授業は、領域横断的なもの等、6つのものが用意されていたのは、感動でした。そのうちの4つを拝見しました。国語では、コラム記事の要約のポイントの講義。3名の先生方が、それぞれの感性で講義をされる、なるほど、これはこれで興味深いものでした。何を残して要約するか、要約の仕方の好き好きもあるのではと思いましたので。
 数学的思考力のところでは、数学の問題の解答を全体に説明する。昔は、放課後などに友達に、数学の問題の解き方を教えていたのを思い出しました。教えてみると、相手のわからないことをどうやってovercomeするかというのが、わかるようになったのかもしれません。また、いろいろな文字列を使った暗号文作成、これもおもしろい取組でした。周期表の元素記号を使っていたようですが、それをどう読み替えるのか、そこが難しいような。。。Csというtermがあったのは、震災後の渡辺には、刺激が強すぎました。。
 英語での自己表現では、班内、班ごとのプレゼン。高校時代から、こうした英語での表現をしていれば、外国人が来たり、外国に行っても、それなりに物怖じしないのではと。。。。
 英語だけではなく、日本語でのプレゼン、ここでは、PRというように呼んでいましたが、時間を3minに制限して、その中でぴったり、自分のいいたいことをまとめてしゃべる。ついつい、しゃべりすぎの渡辺には学ばないといけないというものを感じました。パソコンの実習室で、プレゼンシートをアナログで作るというのも、おもしろい試みかと。

DSCN2194.JPG 午後からは、香川大・理事・大平文和先生が「理工系人材の育成と工学部の役割--工学教育、研究の現場から--」ということで、講演をいただきましたが、われわれのような一般参加者とSSHを実施している理数科の生徒さんがいっしょの聴講という取組もこれまで初めてだったかもしれません。衝撃だったのは、「理系の方が、文系よりも、生涯賃金は多い!!!!!」。文系の方がよいといわれていたのは、間違いだと。。。よかった。。。とともに、やっぱり、理系に進んでほしいといってよいのだと。。。また、技術者の地位向上というのは、とても重要ではないかと。ものづくり日本を支えているものだから。。。とてもniceだと思いました。また、日本人の課題解決能力>>>課題設定能力。。もっと、課題設定能力を磨かないと。。何より、こうしたサイエンスをするというか、何かをするためには、「好奇心、あきらめない性格(いつも考えていること)、新規な発想、コミュニケーション能力、基礎学力、リーダーシップ。最後は、維持と執念(気合いと根性)」。どこでも何でも同じなのだと。。。とてもよい刺激を受けた講義でした。ありがとうございました。

 今年に入ってから、いくつかのSSH実施校の講義プログラム(小松高校浦和第一女子高校)を拝見しましたが、今回の観音寺第一高校のものも、とてもすばらしいものでした。SSHというのが1つの高校での教育プログラム開発という側面であることを考えると、教育プログラム、それも課題研究の内容とかでなく、新しい授業のやり方などを、JSTのHPなどで公開できないものだろうか。そんなことをふと思った。SSHは、ある種競争的資金であるので、そんな秘中の秘をひけらかすというのは、「プロ野球でいえば、エースが決め球の握りを見せるようなもの」、「サッカーでいえば、必殺のFKのけり方を見せるようなもの」という気がした。ただ、研究室にいても、実験技術を継承できなければ、発展はない。特許のようなものでないのだから、ぜひ、SSHさらには、高校教育の共有財産にしてほしいと思った1日であった。

 最後になりましたが、お世話になりました、SSHの石井先生、校長先生をはじめとする多くの先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。。

DSCN0041.JPG
 わたなべしるす

 PS. 埼玉県立浦和第一女子高等学校・SSHの統括をされている菅野先生も今回の研究成果発表会にいらしており、観音寺駅出張ったりお会いしたのは、感動であるとともに、何かのご縁を感じました。ありがとうございました。また、これからもお世話になれればと思います。


ページの一番上へ

【出前講義】東北地区SSH指定校等教員研修会 in 福島高校・コメンテーター(2/11-12)

2012年2月13日 (月)

 東北地区にもずいぶんとSSH指定校が増えてきました。盛岡第三仙台第三の運営指導委員を仰せつかっていますし、鹿児島・錦江湾高校のコアSSHに参画している東北の高校の指導もあります。そんなこともあり、2/11の大半は、科学者の卵の実施と重なり、参加できませんでしたが、SSH企画評価委員長・山極 隆 先生(玉川大学名誉教授)の「SSH事業の成果と課題」という講演があったようですが、拝聴できなかったのは、残念でした。

 12日、日曜には、埼玉県教育局 県立学校部 高校教育指導課 指導主事・石川 良夫 先生の「埼玉県におけるSSH事業への取り組み」という講演がありました。埼玉県では、科学者の卵の実施でもお世話になっており、また、浦和第一女子のSSHの発表会には先日も参加してきました。とても興味深いものでした。そうした取り組みがなぜ、全県レベルで展開できるのか、ということについて、いくつかヒントになるようなことを頂けました。何より、「人のつながり」という言葉には重たいものを感じました。SSHの卒業生が、大学、大学院に行っても、サポートし続けている。また、埼玉県人会のような組織ではないですが、県全体として卒業生が、この活動を支えている。すばらしいことだと思いました。こうしたことができるのも、昨今の個人情報○○○というのがあって、大変だと思いますが、。。そういえば、自分が、高校から、仙台にきた頃、今治西高の先輩方が、入試の前日の会場案内、合格発表、アパート探しなど、細かなお世話をいただいたのを思い出しました。そうした人のつながりが希薄になったという現代において、こうしたつながりができているのは、さすがだと感動でした。また、大学との連携には、「窓口」が必要で、その窓口になる方を通して、さらにnetworkを広げると。なるほど。何をやるのも同じかもしれないですが、人的資源は、大事にしないと。。と感動の1hrでした。

DSCN2172.JPG そのあと、渡辺の方から、全国のSSHを見ていて、こんなことに着目ではないですが。そんな話を。国際化への対応は、国内開催の国際学会の利用とか。ポスタープレゼンテーションは、途中かでもできるとか。HPで普段から文章を書く力とか。基礎学力の充実。アンケートをするより、書いたものに筆を入れてあげる。などなど。また、どこかのSSH高でもおはなししたいと思います。いずれ、いろいろなことがよい方向に進むように、相互連携ができ、よりheteroな集団になるようにと。

 今後、ますますSSHが発展することを祈念して。また、会場としてお世話になった、福島高校の橋爪先生、原先生をはじめとする関係の先生方には、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 終わったあと、いろいろなSSH実施校の先生から、出前講義依頼など受けました。ありがとうございました。是非、次年度実施し、新しい連携ができればと思います。

ページの一番上へ

普通のこと、基礎的なこと、その先にあるもの。。。(2/11)

2012年2月11日 (土)

 とある会議で、「ネズミを初めて見た」という高校生。都会の話でなく、田舎の子供が見たのは、都会の研究所。これが普通かと思うかもしれないが、生物部などで、ハムスターなどを飼育していなければ、そんなものかもしれないと思った。今の高校生の自宅で、屋根裏に、ねずみ取りを仕掛けるということが、普通だろうか。そんな家はあるのかもしれないが、普通ではない。夜、寝ようとすると、屋根裏でネズミの運動会。結構うるさい。こんなのは、古き昭和のおうちの話かもしれない。少なくとも自分は、これら一連を経験し、ねずみ取りにかかったネズミを川につけて、「成仏」させるのが仕事であった。結構むごいかもしれないが、普通の生活には変えられない。また、子供の頃の家には、ゴキブリは飛ぶし、アオダイショウが振り子時計のところから。。ムカデが這っていたり。渡辺は、ジャングル生活でもしているのかと思うかもしれないが、そんなことはない、単に古い家に住んでいた。蛇というか、は虫類は苦手で、見つけたのが夕方であると、近所の方のお手伝いで、とってもらった。ゴキブリは、ごきぶりホイホイに追い込んだ。粘着剤の上で動くのを観察することもあった。虫は苦手ではなかった。さすがにムカデは、ピンセット、火箸でつまんで、ガスコンロの上に。。これも「成仏」。。。今の子供たちには、こんなのは普通でないと思う。そんな環境の子供たちもいるかもしれないが、ほとんどがそうではない。時代によって、普通のことは変わっていく。これは仕方ないのかもしれない。

DSCN2184.JPG ただ、一方で変わらないこともあってよい様に思う。先日、高校時代の国語の恩師とお会いした。ちょうど受験の時期ということもあって、短い時間であったが、ちょっとしたきっかけで、話は盛り上がった。要は基礎学力の問題。基礎学力を昔は、「読み書きそろばん」と。いつの時代といわれるかもしれない。ただ、いろいろなものを読む力、様々な文章を書く力、基本的な足し算引き算かけ算割り算。これは、何をするのにも基本というか、基礎であろう。これがないと、新しいことを考えたり、不思議と思ったときに、次につながらないような気がする。もちろん、パソコンを使うのが上手だったりすることも最近は必要なのかもしれないが、自分の師匠もそうであったが、パソコンを使うのが上手よりも、「ブラインドタッチ」で200-300タッチ/minというような方が、はるかに汎用性がある。基礎というのは、そうしたすべての物事の汎用性なのかもしれない。そういう基礎のができた上に応用的な物事をやるからこそ、砂上の楼閣にならないのであろう。基礎がない上に、どの様なものを構築しても、大きく成長するようなものにはならないであろう。そのためにも、基礎基盤はどの様なことにも重要であろう。

 時代は急速に流れて、国際化、国際化といわれる。出前講義に行っても英語の重要性をいっている。これは、自分の英語力がなさ過ぎたことの反省というより、大学での研究をする上での英語の重要性を考えてのことである。大学受験の英語と、今使っている科学英語。同じ英語かもしれないが、少し違うような気もする。それは、英語ができない言い訳かもしれない。また、今の高校では、英語をしゃべるトレーニングをするようであるが、実際に外国の方を前にして、気合いを入れてしゃべるのは、また、ある意味違う。どうやったら、国際化に適応して、また、日本が昔から培ったよい面と融合して、さらなる発展ができるのだろうか。とても難しい問題で、すぐに解答が見えてこない。国際化とガラパゴス化。よい面はよい面として評価する体制を整えることも大切なのであろう。

DSCN2181.JPG こんなことを書き綴ったが、今日で震災から、11ヶ月。まずは、なくなられた多くの方々のご冥福をお祈りする。また、まだ、避難生活をされている方々の苦労が少しでも少なくなるように、祈ることくらいしかできない。こうした中で、少しずつの変化、復旧、復興は着実にあるのだろう。ただ、こんなにペースでよいのだろうか。自分の子供の頃より、時代の時計は、数倍、数十倍の速さで流れているような気がするが。。


 わたなべしるす


ページの一番上へ

diary Top« 1 | 2 | 3

ARCHIVE