東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

本物、過疎、正逆(11/20)

2013年11月20日 (水)

 何を持って本物というのか。。。本物は本物。偽物とはちがう。というのでは、物事が始まらないが、。。きょう、Plant Cell Physiol.の11月号が冊子体で届いた。前にも書いたとおり、Osaka et al.の論文が掲載され、表紙にも選ばれた。表紙案を準備し、プリンターで印刷して、採択前にも見て、採択後、HPに掲載されてからも見た。ただ、やっぱり、本物というか、ちゃんと印刷された冊子体の光沢というか、冊子としての重みというか。そういうのを感じる時、これが本物と思ってしまう。アナログ世代だからであろうか。もちろん、デジタルとして、Plant Cell Physiol.のHPに掲載されたものを見た時、感動したが、やっぱり感動の割合がちがう。これを本物の効果というのだろうか。。。そういえば、昔のお菓子を生協で見つけた。最近のパッケージは見たことがあったが、子供の頃のversionの復刻である。これも同じように「本物」と思ってしまう。。。そう考えると、本物というのが何か。。。どうも難しい。。。

DSCN0579.JPG 難しいというのは、本物を探すことだけではない。前にも書いた「破壊と創造」。というか、何をやめて、何をやるのか。あとになって考えると、あれをしておけばよかったということもなくもない。。。やめないで、もう少しがんばればという見極め。。。本当に難しい。もちろん、これはどう考えても、無理というか、やっても結果が出ないということに気がつき、というか、そんな感じがして、早々に退散。その方がよいこともある。見極めはある程度は年齢と比例するのかもしれないが、一概にそうともいえない。昨日、ふとしたことで、出身の今治市内の小中学校の統合についてのHPを拝見した。ずいぶんと多くのところで、いろいろなことが進んでいるのだなと。。。もちろん、何年前だろう。平成の大合併があり、今治市に越智郡管内の町村がかなり合併したので、多く見えるが。。。旧市内の本当に町中の学校のドーナツ化現象。島嶼部、山間部の過疎化。。。自分が子供の頃から、もちろん、少しずつ過疎の問題は出ていた。田畑を作る人たちが年々高齢化していくのを見て、農業経営の教授に何とかならないかと議論をしたこともある。そうしたら、。。。「それを考えるのが、渡辺君たちの世代の大事な仕事だよ。。」といわれたような。。。アウトリーチ活動で若い世代には目を向けているが、「過疎」ということを何とかしないといけないのも事実である。すぐに答えが出ないのが難点であるが、去年の冬、「ふるさと出前授業」の一環で、上朝小学校を訪ねた時、子供たちが安心して登下校でき、山で取れたものなどをもらうこともあると。。。40年近く前の自分の育ったところと何も変わってないと。そんな自然があるからこそ、そんな社会があるからこそ、子供たちも、その社会も安心して生活ができるのだろう。その当たりをうまく出口にできないのだろうか。もちろん、産業としての農業問題の解決になっている訳ではないが。。。

 農業の問題を先に解決できたら、人が集まるのか。。。どっちが先かということではないような気がする。どちらも大事で、現状なら、そうした豊かな環境を活かして、産業をということになるのかもしれない。ただ、ありきたりの考え方ではこの難局を乗り切るのは難しいように思う。ここ40年、解決を見ないまま、ここまで来ているのだから。。。。そんな時のヒントではないが、不思議な写真を見つけた。カエルがヘビを???。。どう考えてもおかしい。というか、これは外来のものによって、それまでの固有のものがなくなろうとしている訳で。。。こんな様な解決を望んでいる訳ではない。日本のよき田舎の風景というと語弊があるかもしれないが、その環境がよかった訳であって、そうした固有のものは維持しなければならない。このカエルとヘビを「正逆」というのは、正しい表現かどうか。。。ただ、遺伝学で正逆というのは、交雑をする時に、雌雄をひっくり返して、A(♀) x B(♂)を、B(♀) x A(♂)にする時に使う。reciprocal crossとかいう。単純に考えれば、AとBの遺伝子をもらうのだから、同じになると思われがちかもしれないが、そうはいかないというのが、最近ずいぶんわかってきて、それを「エピジェネティックな制御(epigenetics)」というようにいう。遺伝子を変えるのではなくて、遺伝子にまつわるいろな因子を修飾して変化させようというもの。今あるものは、あるもの。それをいかに修飾して、改善するか。。。もしかしたら、こんなところに、遺伝学だけでなくて、社会を含めたいろいろなことの改善の糸口はないものだろうか。。。来月の2週目から今年2回目の「ふるさと出前授業」。今の自分を作ってくれた自然、子供たち、お世話になった先生方にお礼をすることだと。。。その移動の合間に、農業問題を含めて、この複雑系にヒントが見いだせればと。。。

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 わたなべしるす

 PS. そういえば、ずいぶん遅くなりましたが、「国際植物の日」という春先のイベントではお世話になりました。その時にことを渡辺のHPではもちろん、まとめていますが、国際植物の日のHPにも無事、まとめることが。。。お時間のある方は、といわず、お立ち寄り頂ければ、幸いです。

 PS.のPS. 研究室ではというか、大学院ではというか、今月末が修士論文、博士論文の題目〆切。11/30が土曜日なので、いつもより1日短いですが。。。。こうやってがんばるのも、長い人生のなかを考えると、あっという間の出来事だと思います。ここで踏ん張れるか、そうでないか、それがその先もというか、。。。。いずれやるしかない時期になったのは、もうすぐ師走だからでしょう。。。がんばれ、M2, D3!!


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