東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】愛媛県立今治南高等学校・出前講義「高等植物における生殖・受粉反応」と「農学・生命科学入門」(6/16)

2014年6月19日 (木)

 6/16(月)・午前中の新居浜市立金子小学校から午後は、今回の講義で最初の高等学校(これを書き終わったのは、6/19の木曜日。。。。遅くなって申し訳ありません。。。)。愛媛県立今治南高等学校。普通科と園芸クリエイト科があり、園芸クリエイト科は昔で言えば、農業科でしょうか。農学部農学科だった大学時代。また、今の研究室でも栽培力向上に向けて、いくつかの作物も栽培しています。ついつい、果菜類などの栽培を見ると。。。愛媛県立今治南高等学校は、本校と園芸クリエイト科のある所に飛び地が。本校の玄関の所でも生徒が作物が育つことを日々観察できるモデル農園が今年も。やっぱり、身近なところに野菜が育っているのを見ることは大事だと、改めの再認識。まだ、渡辺の研究室にここまでの栽培力がなくて。。。

P1000040.JPG 前半は日高農場でスイカをモデルにした受粉と果実形成の予定。例年であれば、この時期に受粉作業の実習ができるのですが、講義前に雌花の数を数えると、2つほど。。。これではと、果実を見ていると、かなりの数の果実が変形。受粉作業が不十分だったことに由来するのか、その当たりは、よくわかりませんが、であれば、実際に果実を外部形態と内部形態を比較。と言うことがよいだろうと。担当の別府先生と協議して決定。講義では最初に生徒さんたちが日々管理している担当のスイカの前に座ってもらい、各自の果実で変形しているものcheck。また、裂果している果実の中がどうなっているかもあわせて観察と言うことで、そうした果実とほぼよい形態になっているものを比較対象(control)に。一部、枯れかけになっている個体も発見。その果実がどうなっているかも観察。様々なことを切って内部形態を見ることができたかと。なにより園芸クリエイト科。たくさんの果実があるので、切ったのは5個くらいだったですが、問題なく切って観察できるというのは、去年、まともなスイカを作るのに苦労した研究室での栽培力。まだまだ、修行が足りないなと。。。

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DSCN2893.JPG 実際に切って内部を観察すると、生長不足の部分には、種子形成がほとんどない。これを見ると、種子ができるから果実が肥大するというのを改めて、現場で見ることができました。交配した日付をしっかり書いているのは、遺伝学の実験で書いているのと同じですが、この場合はスイカの収穫日を推定するため。ところが、何かの原因で枯れて大きくなってないものも切ってみると、中は赤くなってないものも。交配からの日数が15日違うと、果実の中がかたや赤いのとそうでなくて、まだ、メロンのようなものも。この赤くなってないものも食べることができるのかというので、糖度計で見ると赤いのが12くらい。一方、赤くないものでも8.5だったでしょうか。意外に糖度があるのはびっくりでした。園芸クリエイト科でよいのは、最後は実際に試食。赤くなってないものを食べる生徒さんも。

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DSCN2915.JPG 講義が終わったあとで世界に向かって集合写真なのですが、外での実習が終了した時点で世界に向かって。。

DSCN2922.JPG 後半の講義では、最初は恒例の作物の花とその作物名。クダモノトケイソウ(パッションフルーツ)とサトイモの花がわからなかったくらいで、ほぼ全部を答えた生徒さんが。感動でした。もちろん、ヒマワリの上のハチが次にどこへ行くか。花の名前を知らないのは意外でした。講義の初めは、受粉、受精の重要性をいつもの自家不和合性、受精の動画を使いながら。。。植物にもこんなことが起きるのだなと。どこでも感動は一緒。

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IMG_1515.JPG 講義の後半は、なぜ、品種改良をするのか、と言う農学にとって重要なこと。実際に前半の実習で使ったスイカも品種改良でできたもの。その多くが今では一代雑種育種法(F1育種)。それによって雑種強勢が出ると言うことも。ただ、実際には大量の交配実験をして、その中で、収量を調べるという作業が必要だと。

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IMG_1521.JPG ここではトマトの水耕栽培が有名。今回は実際の植物の状況を確認できなかったのですが、水耕栽培と土耕栽培の収量の違いを比較したいと言うことでしたが、実際の育種現場でのKnow-howを紹介したのですが、参考になったようでした。講義だけでなく、実習をやってそれを理解するというのは、やっぱりよいものだと。。。

IMG_1524.JPG 本校に戻って、普通科の生徒さんたちにも講義。集まってきた生徒さんたちの希望に合わせることができるように、「自家不和合性」と「キャリア教育」の両方を用意して、聴講に来てくれた生徒さんの希望を聞いたところ、キャリア教育の話がよいと。生徒さんたちの進路を聞いたところ、3年生とはいえ、しっかり将来こうしたことをしたいということが決まっていたのは、よいことだと。また、高校での普段の学習で「数学」では論理性を学んでいる訳なので、大事にしてほしいと。また、大学をはじめとする将来、どの様な人たちと巡り会うかによって、また、それを選ぶことができるなら、その選んだ人たちによって人生が変わることもと。。実際、渡辺もそうでしたので。あとは、人生を乗り切るための「座右の銘」のようなものを持ってほしいと。今回お渡しした資料にもいくつか書いておきましたので。

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IMG_1528.JPG 最後になりましたが、奥野校長先生、定岡教頭先生、菅教頭先生、園芸クリエイト科・別府先生、生物科・東先生、久保先生をはじめとする関係の先生方に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今年もとても楽しく過ごせました。今後ともよりよい連携ができればと思います。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 出前講義のあとにあれこれとあって、講義のあとこれまで遅れてのuploadも久しぶり。。。そうしたら。。。さすが、というか、愛媛県立今治南高等学校のHPに講義のことが記されているのを見つけました。丁寧書いて頂き、ありがとうございました。この速さを改めて学ばないと。。。

 PS.のPS. この記事を書き始めたというか、少し書いて、と言う時間に、2014年6月18日 21時40分頃の宮城県沖を震源とする、M4.3の地震で震度1。研究室の確認ができてないですが、地震が多いのが気になります。。。



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