東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

【出前講義】福島県立福島高等学校・SSH運営指導委員会(2/12, 23:00追記)

2014年2月12日 (水)

 きのうは、建国記念の日で旗日。雪に気をとられて、国旗が掲揚されているのに注意が行かないくらい、今回の雪はすごかったです。で、SSHの運営指導委員を5つの高校で賜っているので、この時期は、運営指導委員会が数多くあります。そのうちの、鹿児島県立錦江湾高等学校のは、予定が合わず、コアSSH参加校の発表を伺っただけでした。よりよい方向に進んで頂ければ。。。残りの4つのSSH運営指導委員会の最初は、福島県立福島高等学校から。土日で仙台市内は35cmの積雪で、道路にはあちこち、また、氷のようになった雪がたくさんありましたが、福島市内も44cmの積雪とか。駅前、学校の周りの様子は、仙台市内と余り変わらない状況で。また、週末にも雪という予報もあり、。。。少しでもその間に解けてほしいなと。。。

DSCN1705.JPG

DSCN1706.JPG その福島県立福島高等学校では、SSHと福島県全体をカバーするコアSSHの両方の運営指導委員長職を仰せつかっており、今回は、今年度の実施内容と次年度に向けての討論。最初に教育委員会、校長先生からの挨拶などがあり。まず、SSH通常枠の活動としては、研修旅行を利用して、関西方面にというのは、興味深いものでした。渡辺の頃なら、修学旅行だったのが、研修旅行では、自分たちで行きたいところを計画して、京都・奈良の寺院、京都大学の見学など。さらに、もどってから、研修内容をまとめるというのは、よいことではないかと。関西であれば、文系に通じる歴史的なものもの多いかと。ぜひ、文理融合をして頂ければ。課題研究は何故かわからないですが、どこの高校も苦戦しているようです。研究をやっていても、数年うまく実験成果が出ないこともあるかと。そんな時に苦労したことが後にうまく行くようなこともありますので、ここが辛抱の時期なのではないかと。。。

DSCN1707.JPG 最近は、高校生がMS-Word, Excel, PowerPoint, Adobe Photoshopを使うとか。。。Photoshopもというのは、驚きでした。画質情報を理解するという上では、よいのかもしれないのですが、単にきれいに見えると言うだけでなく、画像とは何かという科学的な背景をもう少し深く理解する仕組みがあればと。。。SSHにもグローバル化の波はずいぶん前から来ていて、英語への取り組みは必須になっています。渡辺の頃にこうしたことがあれば、よかったのか、悪かったのか。。。英語ができなかったものには、頭が痛いです。。。英語でのプレゼンはできるようになったというのは、よいことですが、質疑でやりとりをするというのは。。。これは大学生、大学院生、渡辺自身でも結構難儀なことです。。。なので、それは、これまでとは違うような仕組みで、やりとりを考えるしかないような気がしました。

DSCN1708.JPG 評価では、ルーブリック評価を実施するとか。活動状況を自己評価するというのは、非常に難しい問題で。。。昨年の基礎ゼミも評価を受講した学生さんに行ってもらいましたが、。。。。そういえば、この前の「科学者の卵養成講座」で講義をされていた教授の方が「今日の講義でおもしろかったこと」を書くのではなくて、「おもしろくなかった」ことを書くという逆転の発想。たしかに、おもしろかったことを書くのは、評価が下手と言われている日本人には、ここがよくないというような入り方の方がよいのかもしれないかと。。。短期的な評価もあるかもしれないですが、長期的な評価というか、2期目の7年目を考えたとき、卒業生のfrontは大学院生になっているのでは。。。そうした世代がどうなっているかを考えるのもと言うような気もしました。評価と関連するというか、プログラム全体に影響するであろう、基礎学力の育成という問題は、SSHでも大きく影響を与えているのは気になりました。ちょうど、「ゆとり教育」の折り返し点になったのもあって、次年度以降、高校までの基礎学力はもどるのかもしれないですが、簡単な問題ではないのだろうと。というか、他のSSH実施校でも、話を聞いてみないといけない問題であろうと。。。。

 コアSSHの企画としては、サイエンスフェアを12/22(日)に行い、昨年の倍以上の来場者だったとか。渡辺も参加しましたが、やっている生徒さんたちも生き生きしていたのは、何よりかと。FSC研究発表会は2/1(土)~2(日)、課題研究発表会に行われ、評価をする側で参加していましたが、「考える」という取り組みがなされていたのは、よかったのでは。。。物理・化学・生物・地学・数学の各分野での福島理数系セミナー。それぞれの分野のオリンピックを目指しているのは、基礎力向上にはよいのではと。。。

DSCN1709.JPG 次年度の活動としては、全生徒への波及が中心とか。。これは全国的なトレンドなのかもしれません。また、通常枠は3年目中間年と言うことで、中間評価もあるのでは。大変だと思いますが、できるだけ、サポートしたいと思いますので。

 今回の運営指導委員会でお世話になりました、校長先生、教頭先生、県教委の先生方、国分先生、橋爪先生、原先生、遠藤先生をはじめとする多くの方々にこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。今年度のことを踏まえて、次年度、さらなる発展を祈念しております。


 わたなべしるす

 PS. 会議のあと、いくつかのことをmailなどで議論させて頂きました。というのも、明日が、香川県立観音寺第一高等学校の運営指導委員会ということもあり。。。その中で、今まで言われ尽くされたことかもしれないですが、「教育の効果が出てくるのには時間がかかる。」、「小さいときから、どの様に自然の不思議に気がつかせるのか。今のゲーム大繁栄時代に。。。渡辺の世代であれば、ゲームに近いものは、スーパーカー消しゴムくらいで。。」。小さいとき、小学校時代の理科離れというか、理科が好きになると言うことについては、一昨年、愛媛新聞に書いた「今治・越智郡管内での小学校での理科専科と自然科学教室」の取り組みは、ヒントになるのではと。。。愛媛県内全体を見ても、ここまで、理科教育をしているところはないことを聞いたこともあります。つまり、小学校、それ以前からの自然の変化への興味、それをいかに持たせるかというのが、ポイントであろうと。。。

 また、それを考えるヒントではないですが、とあるHPを紹介頂きました。以前にも書いたかもしれないですが、東北帝国大学ができたとき、農学部はあった訳ですが、北海道帝国大学ができたときに、移管したというか、そんな形でないまま、1940年に附属農学研究所ができたが、時代背景が悪く、予定していた講座数が設置されなかったとか。設置のきっかけは、その地方地方の気候条件に合わせた「品種改良」の重要性台北帝國大学で、実証されたことだったとか。。。それぞれの地域にあわせて、教育のシステムを構築するというか、一定までは均一かもしれないが、一定以上はheteroである方が、遺伝的にもよいような。。。いずれ、教育の問題は、深くて簡単ではないことが。。。明日の観音寺でまた、新しいヒントを頂ければと。。。そんなことを。。。何にせよ「ヒトが地域、市町村、国をつくるのだと。。。だから、教育だと。。。」。。。。(23:00)




≪ Prev  | diary Top | Next ≫

ARCHIVE