東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

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研究室ダイアリー

【出前講義】ダイコン多様性研究コンソーシアム特別講義~「世界第一線の研究者が語るキャリア教育~あなたの進路選択は正しいですか?~」(8/20)

2011年8月20日 (土)

 7/20にもお知らせしましたが、今年も「ダイコンコンソーシアム」で、鹿児島を訪問するということから、昨年同様に、ダイコンコンソーシアムSSHとの合同開催と言うことで、講演会を行いました。準備の関係で、小中校生に実験を行うことが難しいということから、鹿児島県内の高校生を対象と言うことで行いました。午前中は「アブラナ科植物の自家不和合性研究」、午後は「キャリア教育」でした。昨年と同じ、市内の博物館でしたが、とてもよい施設で、多くの高校生が参加頂いたのは、うれしい限りでした。

 午前中の「植物の生殖に見られる不思議~世界トップレベルの研究と震災が研究に与えた影響~」の講義は、いつものように、自家不和合性の重要性、そのメカニズムを語ったあとに、3/11の大地震で、研究室がどうなり、何を考え、アブラナ科植物が、自家不和合性以外にも、利用価値が出てきているということを、概説しました。九州・鹿児島ということで、震災の様子など、興味深いようでした。講義の導入でお話しする、毎日食べているいろいろな作物の花の写真と作物の対応。今日の受講生の方々にも難しい話のようでした。また、講義を終えて、すぐにレポートというのが、大変だったようです。東北大での科学者の卵では、いつものことだとお話をしましたが。。。

DSCN0957.JPG 午後からは、キャリア教育ということで、「大学教授から見た高校生の進路選択へのアドバイス~大学・学部・学科の選択が君の人生を変える~」と題して行いました。渡辺自身が、このような研究者というか、道にきたのには、いろいろな選択があり、その時々の選択の重要性を。高校の頃は、偏差値が上がらず、担任にいつも怒られていたのを思い出しつつ。。。物理を大学で研究したいという生徒さんにお会いしました。物理学の領域も広いものがあります。受験までにいろいろ考えて、自分の未知を見つけていただければと思いました。

 2年続けて、こうした企画を行いましたが、それを支えてくれました、錦江湾高校の先生方、ありがとうございました。また、次年度以降も、よい連携ができれば、幸いです。

 わたなべしるす

 PS. 今回の講義に、今年度の科学者の卵に応募してくれた生徒さんも参加してくれていました。東北大での講義のことなど、体験してもらえたのは、何よりでした。

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【出前講義】鹿児島県立錦江湾高校・コアSSH「ダイコンを基盤としたトータルサイエンスの実践(ダイコンコンソーシアム)」・コメンテーター(8/18-19)

2011年8月19日 (金)

 昨年度に引き続き、コアSSH「ダイコンを基盤としたトータルサイエンスの実践(ダイコンコンソーシアム)」の運営指導員を仰せつかり、今年度の研究計画討論会などが行われ、研究の方向性、実験方法などについて、20弱の高校の研究を議論しました。

DSCN0937.JPG 昨年までのダイコンの様々なサイエンス的な研究をさらに発展させるということで、「トータルサイエンス」という、文理融合も目指したような研究展開は、このグループの成熟を感じました。このHPでも報告していますが、ダイコンコンソーシアムの成果が、一般紙に取り上げられたり。高校生の研究として、よく頑張っていると思います。

P1010108.JPG これまでの研究を踏まえて、今年度どういうことをやるということについて、参加校の生徒さん、先生方、運営指導委員から厳しい質問が飛び、それをdeepに議論するのを見ているのは、「ダイコン」という材料を用いて、十分な思考ができていると。。冬の研究発表会が楽しみになってきました。こうした活発な活動から、全参加校に対して、「奨励賞」が出されたのは、生徒さん、先生方への、よい励みになったのではと思います。

DSCN0941.JPG 会議の最後には、小中校生へのアウトリーチ活動ということで、数校の先生方と、議論ができたのは、こちらの普段の活動へのよい刺激となりました。ありがとうございました。何より、こうした活発な生徒さんたちと2日間に亘って議論できたこと、また、会議の合間に熱心に質問に来た生徒さんの「エネルギー」のすごさを実感し、その一部を頂き、今年のこりをまた、がんばろうと思わせてもらえました。ありがとうございました。

 最後になりましたが、コアSSHを担当されている鹿児島県立錦江湾高校の讃岐先生をはじめとする多くの先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。

 明日は、お知らせの通り、コアSSHとの共催で、鹿児島市内の高校生に、自家不和合性キャリア教育を行います。そちらも楽しみです。

 わたなべしるす

 PS. 出張に出かける日には、空港の近くに行って初めて、車窓からですが、被災地にカメラを向けることができました。何とも言えない惨状です。5ヶ月たったのにもかかわらず。。。なんとか、ならないものでしょうか。。。

DSCN0934.JPG それから、7/17の昼過ぎに仙台でそれなり地震があり、今日、7/19の14:36にも震度5弱(M6.8)が。最初の地震では、何もなかったようですが、今日の地震では、研究室でもいくつかの落下物があったとか。それにしても、また、地震が多くなったのは、困ったものです。。。。




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集中力、持続力、そして。。。(8/16)

2011年8月16日 (火)

 今年のお盆休みは、土日が微妙に影響したこともあり、割と平常に近い。といっても、研究室はイネのおしべ(葯)などのサンプリングに追われる、「農繁期」である。数年ぶりに、時間が少しできたこともあり、イネの葯サンプリングを手伝ったが、老眼(?)ではないと思うが、結構厳しいものを感じた。いつも、アブラナのめしべ、葯のサンプリングでは、そんなことを感じたこともないのに。。。毎日、displayを見過ぎの生活をしているからであろうか。。。。

 そんなとき、やはり、若い学生さんたちの集中力とその持続力には感動する。午前中は水田でこれはというステージのイネを集めてきて、この猛暑の中で。。。午後から夜遅くまでサンプリングをしている。そういえば、渡辺自身も、学部の3年生の時に、イネの花粉、葯のサンプリングのアルバイトをしていた。その頃は、土日なしでも元気だったような。何ともいえず、若者の集中力と持続力に拍手を送りたい。

DSCN4685.JPG ただ、世の中に目を向けると、集中力が一瞬で切れるというのも目にする。それまでの集中力で、自分たちが遙かに有利だったものが、逆に相手方に、堰を切ったように流れがいってしまう。これではせっかくの成果が。。と思ってしまう。実験とか、研究とかだけではない、いつも見慣れた普通の自然現象にも、そうしたものがある。その逆転を生むものは何なのか、逆転させないようにするためには。そうしたことが、頭をよぎった。これからのというか、永遠の課題なのかもしれない。

 ただ、このサンプリング技術も、研究室で昔から伝承されている技術であり、それを絶やさないことも大切な持続力なのであろう。


 わたなべしるす

 PS. 偶然にも「平成23年度版 科学技術白書」のpdf版なるものを見つけた。ページの最後の方に、社会・国民に支持さえる科学技術というところで、「日本学術振興会賞」の一覧があり、渡辺の名前を見つけた。何ともいえず、うれしい限りであった。その前のページには、科学技術、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、科学技術コミュニケーションなど、科学教育、研究、アウトリーチという普段の活動の一端を取り上げて頂いているような気がした。というか、labの方向性として、間違ってないのだと。思いを新たに、また、がんばろうと。。。13:00現在で、全国10位の暑さに負けずに。。。

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【研究室訪問】「科学者の卵養成講座」の発表会とそれに伴う高校生の来訪(8/13)

2011年8月14日 (日)

 東北大で行っている「科学者の卵養成講座」。今年で3年目です。年度の終わりには、その年の発展コース、エクステンドコースの発表会があります。3年目の終わりの発表会は、3/12でした。つまり、3/11の大地震の翌日。もちろん、開催できず、それを、5ヶ月遅れでしたが、8/13に行いました。発表会には、初年度の発展コースから、エクステンドコースになり、研究をしていた受講生も。とても懐かしい顔がそろい、また、震災依頼、あってない友達同士もいたようです。この会の開催もよかったのかなと。。。発表では、それぞれのポスターに多くの受講生との議論があり、サイエンスを通して交流できたのではと。

 終わったあとにも、多くの受講生の方々が相互に話をしたり、先生方と議論をしたり。ここで知り合った人たちが、次の世代の科学者として、共同研究を展開してほしいなと。また、この講義を通して、東北大で勉強したい、研究したいという方が多くいたのも、うれしい限りです。いつでもまた、ご相談ください。そうそう、帰り際に、1年間お世話になりましたと丁寧な挨拶をしてくれる受講生の方も。何ともいえず、うれしかったです。これからいろいろな人生が広がると思いますが、がんばってください。

 今回は、講義が2日連続であったこともあり、研究室を訪問してくれた受講生の方々も多くいました。写真は、前日に放射線の講義があったときに、物理の先生と理論物理の話をしていた、埼玉県立浦和第一女子高校の受講生の方々でした。研究室の施設、植物などを見て、大学の新しい一面を見てくれたようです。また、兄弟できていた、福島高校の受講生の方も。

DSCN0926.JPG みなさん、いつでも研究室訪問は歓迎ですので、いらしてください。

 最後になりましたが、暑い中参加してくれた受講生、その関係者、指導いただいた先生方、また、organizeに関係してきた多くの方々に感謝します。ありがとうございました。


 わたなべしるす

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【出前講義】スーパーサイエンスハイスクール平成23年度生徒研究発表会、分科会座長と講評者(8/11)

2011年8月12日 (金)

 SSHの運営指導委員を数多く仰せつかっていることもあり、初めて「全国大会」である、生徒研究発表会に、分科会座長と講評者ということで、参加し、多くの高校生などと交流しました。今年のSSHの採択校は140校を超えるとか。ダイコンコンソーシアムで多くの高校を存じ上げたり、出前講義で伺ったりしておりますが、未知なる領域、まさにawayという感じでした。

DSCN0913.JPG 午前の最初のセッションでは、大阪大の審良先生の特別講演がありました。お名前は伺っておりましたが、お話を聞いたのは初めて。アブラナ科植物の自家不和合性研究を行っていたときに、動物の免疫に関係するという、Toll受容体のことは、名称だけ覚えています。細胞外がleucine-rich repeat(LRR)だったような。植物の様々な受容体にも細胞外ドメインがLRRのものは多く、植物ホルモン・ブラシノライド、耐病性遺伝子、低分子ペプチド等、様々な現象に関連していたのを思い出しました。自家不和合性のreview articleの中で、細胞外ドメインの比較をしたものがあり、その中に、アブラナ科植物の自家不和合性の雌しべ因子・SRKのS-domainと比較して、Toll受容体が並べられた時期も。こんな場面でお話を伺えるとは。また、この講義で驚いたのは、あの著名な審良先生がとある遺伝子の研究をしていて、これなら「Nature」に掲載されるだろうと、論文を投稿しようとしていたら、競合相手に同じ研究内容を「Science」に掲載され、タッチの差で「Nature」に論文が載らなかった。。。。どこかで聞いたような。。渡辺も1999年の11月の最後の週の月曜日の朝に、自家不和合性の花粉因子のSP11を投稿できる状態にあったのが、前の週の金曜日のScienceにアメリカのグループが同じ遺伝子を見つけて、論文として掲載。。。。その月曜日が研究室中をパニックにしたのを思い出しました。世の中では同じようなことが起きるのだなと。。。できれば、繰り返したくない「悪夢」であったのは、いうまでもないのですが。。。。

 そのあとに昼前までの分科会では座長を仰せつかり、SSH・4校と海外からの招待高1校の座長を。運営側の配慮もあり、渡辺の専門に近い、「植物」の話が多かったのは幸いでしたが、最後の英語の発表、その座長はさすがに。。。プレゼンは時間をしっかり守り、また、質疑にもきちんと対応していたのは感動でした。また、多くの高校生から絶え間ない質問が会場から出たことも分科会が盛り上がった要因だったかと。それから、招待高1校の英語の発表に対して、英語で質問をした高校生も。自分自身が同じ頃、絶対に無理だったと。。。そう思いました。こうした科学を高校生時代にもできる今のこのシステムに感動でした。メモをとっていたわけではないですが、普段、植物の遺伝学をやっているものからすると、同じ実験区の反復実験、その実験材料の意味、実験の生物学的な意義をもう少し深く考えると、よりよい方向になるのではと思いました。発表の中に、研究室の卒業生の方の出身校もあり、その方のことで発表のあとにお話しできたのも、何よりでした。

 午後からは、参加校全体でのポスター発表。理数ですので、物理、化学、生物、地学、数学の様々な発表がありますが、発表内容も多岐に亘っており、また、地方色もあり、時間いっぱいまで議論をしたり、話を伺ったり、。いくつか気になったのは、実験というか、研究というか、それをそれとして純粋に楽しんでいるのは、すばらしいこと。では、それが将来の自分の進路、就職先、社会との関係という点があまり明確でないのは、せっかくのすばらしい研究が少し片手落ちのような気がしました。ぜひ、そうしたことも考えていただければと思います。

 個人的に気に入ったというか、興味深いというか、すごいポスター発表はいくつかありました。子供の頃、この時期は、カブトムシ取りが仕事でした。もちろん、セミ取りも。それをその地域の甲虫に限って採収し、分類して、標本にして、とてもきれいで、楽しめました。アブラナ科植物を使った実験もいくつかあり、お話しができました。発展が楽しみです。それから、震災関連のものがあったのも、衝撃的でした。津波が来る前のあとの写真を載せてあるところ、放射性物質の植物による吸収、いわゆる、phytoremediationの実験。簡単な機材で放射線が走ったあとを検出しているのは衝撃的でした。それよりも何よりも、現地、福島高校の校庭の放射能汚染状況の実態計測。細かいメッシュ観測をしており、グラウンドがわずかに傾斜している関係で、そちらの方に水が流れ、その方向に汚染の傾きが出ている。また、いわゆる、線量計によるマイクロシーベルト/hrという計測でなくて、単位面積、体積あたりの放射性物質の量、ベクレル、で示したdata。セシウム134, 137が確かにそこにあるということを示し、その量が、よく比較対照になる、チェルノブイリ原発事故の避難地域となった量とほぼ同レベル。福島の中通りの線量が高いといわれていますが、そこまでなのかと思うと、身近な場所だけに、どうすればよいのかという衝撃的なdataでした。もちろん、表土などを除去することはされると伺いましたが、それ以外の部分の除染は難しいと思いますし、先日も書きました、中山間地など手をつけることが難しいところも。。。。こんなdataをSSHの生徒さんが出したこともすごいですが、そんな環境にいることは果たしてどうしたものか、終わったあとも、かなり考えさせられました。。。。。。。。。。

DSCN0922.JPG こんな衝撃的なこともありましたが、また、来年度以降も何らかの形で、貢献できればと思った次第でした。来週は、鹿児島・錦江湾高校・SSHのダイコンコンソーシアムの会議です。こんどはより専門に近い話ができるのではと思います。昨年からの発展がどれくらいなのか。楽しみです。


 わたなべしるす

 PS. 先日、大きな地震はなかったと書いたのがよくなかったのか、3/12, 03:22に福島県沖でM6.0の地震とか。。。仙台も揺れたようです。不思議と、毎月、11日前後に揺れるのは、何か地球が生き物のように感じ得ないのは、渡辺だけでしょうか。。なお、研究室の改修敷いて頂いた実験台は、無事でした。ご配慮頂いた、研究科長、事務長をはじめとする多くの方々に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 帰りの電車で、渡辺が座長をしていたのを見かけられた兵庫県内の先生から、声をかけて頂き、出前講義の依頼も頂きました。また、より幅が広がればと思います。よろしくお願いいたします。

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