東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

2013年12月の記事です。

【出前講義】愛媛県立今治南高等学校・来年に向けての出前講義打合せ(12/8)

2013年12月 8日 (日)

 鹿児島での出前講義のあとは愛媛。今は便利です。九州新幹線なるものもあって。。。「かごしまちゅうおう」の次は「せんだい」???と思うのは、仙台の方かもしれないですが。。今でこそ、薩摩川内市といいますが。。。川内とかいて、せんだい。仙台市なら、川内と書いて、旧教養部のある、川内地区。ややこしいことを書いているかもしれないですが。九州新幹線はほとんどがトンネル。。。どれくらい外の風景があったでしょうか。

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DSCN0702.JPG 愛媛での最初は、愛媛県立今治南高等学校・別府先生と来年に向けての出前講義打合せ。今年も交配であったり、水稲の栽培実験等。イネの栽培実験は、仙台一との栽培地の気温、緯度の違いなどが違う条件での、出穂期などの比較。今年は十分にできなかったですので、その改善をどうするのか。どちらの学校もそうですが、鳥害対策。。。どこでも難しい問題です。うちの学生が農学部の牧野先生の水田をお借りして、栽培している水田も、鳥害とネズミなどの小動物の被害。。。頭を抱えます。

 この打合せと平行して、圃場、温室の見学。その時に、話題になったのが「頂芽優勢」、「無限成長性・有限成長性」。もちろん、それぞれは別の現象なのかもしれないですが、栽培というか、肥培管理をしている時に、キクのように特殊な仕立てをする場合には、これらをうまく考えないといけないというか、指導することが必要になるようです。こちらは花はたくさん咲かせればよいということで、主茎を早い段階で切除して、茎の数を多くして、より多くの施肥をして管理している訳ですが、アブラナ以外では、こちらが考えている以上の様々なことを考える必要があることを、こちらも考えるよい機会になりました。温室でこの時期に、トマト、キュウリの水耕栽培。。。仙台ではさすがに。。少しどころか、かなり難しい。。気温の違いがこんなにもと。。

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DSCN0728.JPG こうしたことを踏まえて、来年というか、来年度になるかもしれないですが、また、出前講義でうかがえることができればと。。。


 わたなべ拝

 PS. 2003年頃だったかと。まだ、岩手大・農学部の時代。地域連携をされていた先生にお願いされて、愛媛での農業問題というか、地域おこしというか、異業種フォーラムというようなのだったと思いますが。その時に、渡辺の前後に話をされたのが「さいさいきて屋」の方。。今回、10年ぶりくらいでお目にかかれました。当時話されていた、小さいなと頃が連携することで、大きくなると。。。それが大きく実現されていたのが、また感動でした。
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【出前講義】鹿児島県立錦江湾高等学校コアSSH発表会・コメンテーター(12/7)

2013年12月 7日 (土)

 今年は4回目の鹿児島です。2月にSSH発表会のコメンテーターとプレゼン指導8月はコアの計画発表会小学生向けの実験指導を仙台一、福島高校の生徒さんたちと。10月は育種学会で曽根さんが発表してくれました。それで今回は8月のコアSSHで計画したものの発表会。いつもなら、2日間という予定が取れるのですが、最近はどこも高校生がいろいろなactivityをしているようで、1日だけになりました。

DSCN0681.JPG 午前中は、京都大学・防災研究所附属火山活動研究センター・井口教授が「火山はなぜ噴火するのか--1年間1,000回爆発桜島のマグマ--」ということで、火山とそれに伴う災害の話し。前にも書いたことがあるかもしれないですが、鹿児島市には桜島があり、かなり火山活動が活発で、夏にもずいぶんと火山灰にやられました。このように近い距離に火山と県庁所在地があるというのも世界的に珍しいとか。。。講義では、桜島火山活動の歴史、火山噴火発生のメカニズム、桜島のマグマ供給システムと火山噴火予知、火山防災とその予測について、様々なトピックを交えて。興味深かったのは、桜島が島でなくて、九州と地続きになった「大正噴火とM7.1の地震の連動」。大正噴火と前兆群発地震の連動。。。また、今後10年間が、桜島の噴火にとって、何かある時期になるとか。。。。2030年頃には。。。。大噴火になると、火山灰で鳥居が埋没したこともあるとか。。。また、この大正噴火以降、これを越える火山噴火が20世紀以降で最大規模。。。。そう考えると、最近、小笠原諸島・西ノ島でも海底火山噴火、陸地形成がされているが、あれでも小規模とか。。。。また、火山灰の降下によって、交通が麻痺すると。道路であれば、1cmの堆積で。。。。2011/03/11の震災を経験したものには、昨今の日本での火山活動と大きな地震との関係はやっぱり気になるところ。これからどうなるのか、いろいろなことを考えさせられました。地球という時間軸からは、まだ短いことかもしれないですが、すでに、震災から1,000日。次の大きな地震のことも気になりますので。。。

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DSCN0686.JPG 講義のあとは、昼食をはさんでのポスター発表。かなりの参加校なので、4つのグループに分けて。。。ダイコンコンソーシアムからのスタートでしたが、このコアSSHでは、それ以外の理数の研究もwelcomeというか、そうしたほか領域への発展を目的としているので。。。そう考えると、ずいぶんとheteroになったと。。。研究対象が、ダイコン、イネ、津波、火山、バイオマス、遺伝相関などなど。。。deepなdiscussionができたのは何よりでした。また、次年度は、ぜひ、これをさらに発展させてほしいと。それが、このコアSSHの発展にもなりますので。

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DSCN0687.JPG 午後の特別講義として、鹿児島大・理・阿部教授から「マメ科植物と根瘤菌~共生の仕組みと窒素固定~」。窒素循環、工業的窒素固定(haber and Bosch法)、生物的窒素固定(ニトロゲナーゼ触媒)、単生窒素固定菌、共生窒素固定菌(マメ科、ヤシ科、シロアリ、ハンノキ、アカウキクサ)、マメ科の根瘤菌形成、根瘤菌と植物との相互作用という点についての現状とこれからの問題としての宿主特異性。根瘤菌と植物との相互作用は、自家不和合性をイメージするものがあって。。。少しこのあたりもカバーしないといけないと。。。最後に出ていた写真では、1995年に宮崎大での育種学会の時のシンポジウムでお世話になった、東先生も写っていたような。。。何かとても懐かしかったです。

 最後は、恒例の表彰。様々なポイントから・・・。なによりも、この1年間の活動であったり、今回のポスター発表がどれも甲乙つけがたく。。また、さらに精進してほしいというところについては、そうしたコメントも。。。今年度はコアSSHの中間年。次年度が最終年となる訳で、次にどの様に発展させるのかというのが、大きな問題であり、宿題でないかと。。。こちらもできるだけのことをしたいと思いますので。お世話になりました関係の先生方にこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。さらに発展することを祈念しておりますので。

DSCN0690.JPG わたなべしるす

 PS. 鹿児島までの行程は、仙台一の小松原先生と2名の生徒さんと偶然一緒。これから飛行機に乗る前にと言うところでお目にかかって。。。びっくりでした。世の中狭いです。また、会議の前日には、コアSSHのコアな先生方と食事をしながらの情報交換もできました。ありがとうございました。これからどう発展させればよいのか、そのために、こちらがどの様なサポートができるのか、というようなことが少し見えたような気がしました。次年度以降が楽しみになってきました。ありがとうございました。

 PS.のPS. 2011/03/11の大地震がどの様に、なぜ起きたのかということについて、金曜日のScienceに論文が出ていました。細かな内容まで理解できた訳ではないのですが。。。。

 PS.のPS.のPS. 午前中の講義の中に、桜島爆発記念碑に「本島ノ爆発ハ古来歴史ニ照シ後日復亦免レザルハ必然ノコトナルベシ 住民ハ理論ニ信頼セズ異変ヲ認知スル時ハ未然ニ避難ノ用意尤モ肝要トシ平素勤倹産ヲ活メ何時変災ニ遭モ路途ニ迷ハザル覚悟ナカルベカラズ 大正十三年一月 東桜島村」と。。。日頃からの備え、自主的に判断することの重要性を再認識させてくれたのでした。。。。

 PS.のPS.のPS.のPS. ポスター発表の時間に錦江湾高校の家庭科、理科実習助手の先生方とキャリア教育をはじめ、様々な教育問題について議論できました。ありがとうございました。また、折を見て、出前講義にうかがえれば、幸いです。

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将来性、学力、科学力(12/4)

2013年12月 4日 (水)

 先日何かを見ていて、労働力の別の業種への移動というのがあった。特定の時期にその時にある産業に労働が集中したために、今、そうでなければ、移動が必要になる。簡単な問題ではない。できることはそれなりに限られている。自分の業種がもし、そうなった時、何ができるか、。。。それなりのideaはあるが、ここではあえて。。ただ、実験をやっていても、それは同じことで、ある時期には、たくさんの人手が必要になる。夏のイネのサンプリングはその例かもしれない。ネコの手も借りたいというのは、そうした短期的なものは見すえることはできるかもしれないが、長期的な将来性と言うことを含めて、どの様なサイエンスを展開するかと言うことを考えておかないと、大きな発展はない。その意味では、どの様な人材を育成して、補強するのか、プロ野球などの世界と同じというのはおこがましいかもしれないが、「即戦力」、「将来性」、「utility player」というような様々なことを考えないといけないのかもしれない。

DSCN5016.JPG 昨日あたりから「国際学力調査」の結果が出て、「科学的リテラシー」、「数学的リテラシー」、「読解力」というので、ここ3回の調査で右肩上がりになっているのは、昨今の様々な施策の賜物ではないだろうか。15歳未満での調査で、少なくとも自分が小中学校の時代にはこのようなものはなかったような。。。ただ、何かの解説で、その力を支えるというか、もっと伸ばすというか、そのための「学習意欲」、「ハングリー精神」ということについて、再考が必要なことをいっていた。。。。子供時代を考えた時、学習意欲。。。どれくらいあったのだろう。。。ただ、帰り道に道草をできる環境だったのは、学習というのか難しいが、自然を学ぶ機会はあったような。また、どこかの軒先で、友だちと宿題を分けて、最後に全員でつきあわせて、時間の短縮というようなことはしていた。何のことはない、遊ぶ時間を確保するためである。これを意欲というのは、。。ただ、何かをして、負けたくないというのは、いろいろなところであったのかもしれない。その時に、何かで負けなければよいのであって、例えば、走ることとか、。。。それなら一番とか。そんないろいろな角度から評価される、そんなことはあったのかもしれない。

 学力の延長線として、理系、大学では「科学力」というのがあるのだろう。先日も附属図書館の方がいらっしゃって、今度の講義のこと、Open Access Journalのことなど、議論されて戻られた。その時に、ふと、昔の本の話しをすることがあり、ずいぶん昔の本だけど、とてもしっかりしていると。。。今の科学力はもちろん、その少し前の科学力に基礎をおいている。今の新幹線も、太平洋戦争時代の技術力の応用だというのをきいたことがある。当時の技術力の高さを記したものが最近発見されたとか。。。また、日本の農産物も、その品質においては高く評価されている。これも技術力の賜物であろう。そういえば、先日出前講義をした受講生から「将来の農業について」という質問があった。現実が大変なことは十分理解しているが、先の科学力、技術力を活かして、将来性豊かな産業に復活してほしい。そうしたこととを実現するためにも、基礎的な学力、科学力が継続して将来に続くように、次のバトンを渡せるようにしないといけないのだと。。。

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 わたなべしるす

 PS. 12月になり、あっという間に4日が過ぎた。今日がちょうど、あの震災から、1,000日目になるとか。。。復旧、復興には、まだまだ。。。ここにもその科学力などあらゆるものをもう少し投入できないのだろうか。もどかしいものがある。これまでずっと「沿岸部」を見るのは、仙台空港周辺だけであったが、年明けには、少し勇気を持って、現場を見てみよう。何か違うものが見えるのではないかと。。。なにより、この震災で亡くなられた方々に、遠くからかもしれないが、哀悼の意を表し、黙祷したいと。。。。黙祷。

 PS.のPS. 今日、愛媛県の方から「媛まどんな(愛媛果試28号)」を頂きました。南香 x 天草の実生からできているらしく、オレンジの遺伝子が強く、ミカンの皮のむきやすさなども。いよかんからの転換品種らしいです。とてもよくできていました。というか、初めての食感でした。ありがとうございました。

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IT、失敗、経験(12/2)

2013年12月 2日 (月)

 この記事を書いてHPにuploadするにも、ITの力がないとできない。そう考えれば、身の回りの様々なものに使われている。今では、農業にもITを使ってという記事を見つけた。ミカンの栽培で、肥培管理、糖度などITの力を使い始めたらしい。植物工場のようなところであれば、さほど難しいことではないのかもしれないが、露地栽培でもこうしたことが起きているというのは。。昔であれば、経験と勘で行っていたのを、ITの力でというのだと思う。ただ、それでも試行錯誤があると。。つまり、最低限の知識の上に、こうしたものの力を使うからこそ、大きな発展があるのだろう。天気予報にももちろん、ITは使われていて、最近では今まで以上に細かく気温などの情報が出るようになり、使いやすくなった。どれくらい雨が降っているのか、風なのか。もう少ししたら、雪の降り方も、10min起きというのはありがたい。雪も温度によって、みぞれになったり変化する。それをセンサーでキャッチして、この情報を活かして、新幹線の減速の必要性を制御するとか。。。ITなくして、何かをするというのは、難しいのかもしれない。

DSCN0667.JPG ただ、経験と勘というように、「失敗」の上に、こうしたものが成り立っているというのは当然というか。。。ただ、大事なのは、この失敗がなぜなのかというのを理解することであろう。「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があるように。。。では、どれくらい失敗することを我慢するのか。。。我慢という言葉も変かもしれないが。。。「石の上にも三年」という言葉もあるくらいである。また、実験をやっても、最初は失敗するかもしれない。2回目は失敗した点を明確にして。少し不慣れで。。。3回目には、ほぼできるようになるということをいう人もいる。と考えれば、「3という数字」は、失敗というか、やってみることで意味があるのかもしれない。

 それでもうまくいくためには、先にも書いた、一定のレベルが必要となる。余りに高望みをしても、それはなかなかうまくいかない。先の3という数字が通用しない。研究でも1つずつ階段を上がるように、というのが基本であろう。もちろん、これというidea、材料などに恵まれて、大きな飛躍がある時もあるが。。。それでも、基礎力は重要であろう。あとはもちろん、先の経験と勘を積み上げないと。。。なにをやっても「大きな差」がある時がある。その差をどうやって縮めるかということに、「戦略、戦術」が求められるのであろう。今年もあと、1ヶ月。残している仕事を少しでも少なくするように、しっかりとした「戦略、戦術」を立てて、がんばらないと。。。

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 わたなべしるす

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