東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

【出前講義】鹿児島県立錦江湾高校・コアSSHダイコンコンソーシアム・運営指導委員会、ポスタープレゼン評価会議(12/17-18)

2010年12月17日 (金)

 8/18-20で開催された、コアSSH「ダイコン多様性研究」の今年度の研究成果の発表会があり、その発表会に伴い、今後の方向性などを検討する、運営指導委員会も開催されました。ちょうど訪問中が鹿児島でも今年一番の寒さらしく、。。。特に、寒いと感じたのは、室内。北日本であれば、二重サッシ、暖房は十分にされているのですが、温暖な鹿児島では、暖房は不十分。そういえば、自分が高校まで過ごした、四国・今治でも同じことだったような。そんな寒さも吹っ飛ばすような高校生のレベルの高いポスタープレゼンテーションと討論会でした。

 注目すべき点は、数多くありました。まず、夏のプレゼンから研究がずいぶん進んでいたこと。さらに、多くの高校で、現物のプレゼンがあったこと。つまり、ダイコン、そのものがあったことです。実際に食したいと思えるような質の高いものを提示していたのは、やはり連携校である、農業高校の生徒さん。さすがだと思いました。普通高校の生徒さんでも立派に育てている高校もあり、最後はダイコンをどこまで観察し、愛情を注いでいるかという点なのかもしれません。また、これまでいろいろなところで話をしてきた、繰り返し実験、統計処理の重要性を理解して、プレゼンテーションができている高校もありました。ぜひ、他の高校でも、お願いします。それから、日々の活動がわかるように、コンソーシアムのHPが用意されているのですが、そこにuploadしたり、それに対してコメントしたり。こうした交流が、将来の研究で大いに役立つことだろうと。

DSCN5278.JPG もちろん、いくつか気になる点も。重厚な研究をしているのですが、きちんと説明をしたいということで、プレゼンの原稿を読んでいるところもありました。せっかくですから、ぜひ、原稿を覚えるくらい練習をして、その場での応対をすることをと思います。また、これは多くの高校でそうですが、表と図のプレゼンには大きな違いがあります。表の場合には、表の上に、表1. *****というような説明を入れるということ。それに対して、図の場合には、図の下に、図1. *****という説明を入れることが約束事です。ぜひ、覚えて、次のプレゼンに活かしてください。

 会議の最後には、1hr程度の高校生と運営指導委員との討論・質疑の時間があり、多くの質問があったことは、よいことだったと。

 今回の表彰を励みにして、また、継続できるように、さらなる発展したものを、来年の夏の会議でみれることを楽しみにしています。運営でお世話になった、幹事校・錦江湾高校・讃岐先生をはじめとする多くの方々にお礼申し上げます。ありがとうございました。

 わたなべしるす


 PS. 来春には、仙台で植物生理学会の高校生発表会もあります。今回のプレゼンの中から、多くの発表が参加頂けることを楽しみにしております。

DSCN5275.JPG


ページの一番上へ

【出前講義】仙台市立鹿野小学校「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--(12/13)

2010年12月13日 (月)

 今年最後の仙台市内の小学校の出前講義は、仙台市立鹿野小学校でした。昨年も講義を行い、好評だったことが評価されての、リピーターだったのは、うれしい限りです。鹿野小学校では、多くの出前講義をされているようで、先週も東北大学からの出前講義が行われたそうです。

 今年の5年生はとってもすごくて、いろいろなお花を見せたりしても、その花の名前を誰かが知っているのには、とってもびっくりしたのと、すごいと思いました。リンゴのお花から、リンゴができるまでで、大きなリンゴを作るために、摘果をする等も知っていました。とってもすごいことです。毎日、よく観察して、いろいろなところにいっているのだと思いました。ぜひ、続けてください。

DSCN5259.JPG
 自家不和合性の動画、花粉管が伸びる動画を見せたときに、とても感動していたことも良いことだと。自然の不思議をこれからも感動してください。

DSCN5269.JPG 講義のあとに、みんなと集合写真を撮れたのも、何よりです。また、どこかでお会いしましょう。

DSCN5270.JPG
DSCN5271.JPG
DSCN5273.JPG 最後になりましたが、5年生の先生方、関係の先生方、今日はありがとうございました。


 わたなべしるす


 PS. 校長室に、以前、立町小学校でお世話になった校長先生の写真を見つけました。びっくりでした。世の中は狭いなと。





ページの一番上へ

【招待セミナー】京都大学生態学研究センターでの招待セミナー「アブラナ科植物の自家不和合性--故きを温めて新しきを知る--」(12/7)

2010年12月 7日 (火)

 12/7の午後は、特定領域研究「植物ゲノム障壁」で、公募班員で参加されていた、京都大・生態研の工藤先生のところに招待頂き、アブラナ科植物の自家不和合性研究の現状とそれを支えた、昔の事柄について、セミナーを行いました。午前の分子生物学会の発表に続きというのは、ありがたい限りです。

 アブラナ科植物の自家不和合性研究についていえば、2010年がまさにトピック的な年に当たり、「自家不和合性シロイヌナズナ」、「低分子RNAによる対立遺伝子間の優劣性制御」を、われわれの研究グループで明らかにできました。そんなトピックの話に至るまでのここ20年の話と、そこまでに至る、S遺伝子をどうやって同定するか、S遺伝子座の本体かと考えられていたSLGとはどのようなものであるか、また、1960-70年代には自家不和合性を打破するためにいろいろなことが試みられ、今でも、採種現場では使われている炭酸ガス(CO2)処理による自家不和合性の打破など、シロイヌナズナ研究を行っている人たちには、あまり知られてないようなことをお話しして、よい交流ができました。

DSCN5240.JPG

 新しいことは、次々と出る論文をカバーすればよいわけですが、その研究領域の古いことがどうなっていたのか、なぜ、そのような研究をしたかというのは、やはり、それをやっていた当時の先生方に話を聞くのがと思っております。以外とそうした方々との話で、思わぬ発展があるのではと。そうした古いことを大切にして、これからの研究をよりよい方向に発展できればと、思い起こさせてくれた、セミナーでした。

 また、工藤先生自身、学生の頃に、遺伝生態研究センターで数年間、タネツケバナを使って、実験をしていたとか。その時期も、渡辺が農学部で助手をしていた頃で。重なりがあり、当時のセンターの先生方の話にもなり、びっくりでした。世の中の狭さを感じました。

 最後になりましたが、招待頂きました、工藤先生に、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今後、よりよい方向で、共同研究などができればと思っております。

DSCN5242.JPG わたなべしるす


 PS. そういえば、渡辺が今所属しているのは、生命科学研究科ですが、その母体は、「遺伝生態研究センター」でした。そこの客員教授をされていた方が、京都大の先生だったような。ふと、帰り道で、そんなことを思い出しました。
 また、岩手大時代にお会いした方にも、最後の懇親会でお会いできたり。びっくりの連続の1日でした。


ページの一番上へ

【出前講義】大阪府大阪農芸高校での出前講義「高等植物における生殖・受粉反応--自家不和合性・受精・品種改良--」(12/6)

2010年12月 6日 (月)

 8月のダイコンコンソーシアムでの、感動的な質問を受けて、再来週のダイコンコンソーシアムに、農場の生産物の販売の関係で、参加できないということもあり、また、この時期ちょうど、分子生物学会で、関西方面に出張ということで、出前講義を行い、圃場の見学、交流会を行いました。大阪には、共同研究があり、ずいぶん来ていますが、堺市に来たのは、はじめてで、来る途中の駅で、前方後円墳のモデルでもある、「仁徳天皇陵」を横から見ました(上からではないので、全体像を見ることはできませんでしたが。。。かなりの大きさがあるなということだけ、実感できました。次回は、ぜひ、高いところから見てみたいと。。

 講義には、ハイテク農芸科の120名の生徒さんが参加してくれ、野菜、果樹などで重要な、自家不和合性、受精、品種改良における実際的な側面を話しました。さすが、ハイテク農芸科の生徒さんと感動したのは、野菜、果物になるものの、花の写真を見せて、クイズをしましたが、そのほとんどに答えを出す人がいたこと。これは、感動でした。よく、毎日観察しているのだと。。

DSCN5231.JPG 受粉、自家不和合性、受精の動画を見てもらいましたが、初めての経験ということもあり、「おーーーー!!!!」という歓声が上がったのも、よかったと思います。実際に品種改良をすることの大変さも、理解してもらえたのではないかと思います。

 講義のあとには、野菜部生徒たちと圃場を見学して、様々なアブラナ科野菜が栽培されているのを見せてもらいました。アブラナ科野菜にはとてもよい時期で、キャベツ、ハクサイ、ダイコン、ブロッコリー、カリフラワー、ロマネスコ(珊瑚礁ブロッコリー)、等たくさんありました。また、20以上の最新のハボタンも植えてあり、アブラナ科野菜を研究しているものとしては、うれしい限りの観察会でしたし、何より、立派に育っているのが、さすがだと。。。

DSCN5229.JPG 最後に、食事をはさんでの交流会では、生徒さんからの質問を受けたり、先生方と実験について議論を行ったり、来年に向けての実験の方向性を話したり。短い時間でしたが、よい交流会でした。

DSCN5246.JPG 最後になりましたが、今回の講義を設定頂きました有馬先生をはじめとする、関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。また、折を見て、伺いたいと思います。


 わたなべしるす

 PS. 立派に育っている、圃場を見て、とてもうれしく思いました。こうした作物をきちんと育てることができることを大切にして、毎日の作物の変化を観察してください。きっと、作物の真の姿が見えてくると思いますので。



ページの一番上へ

【出前講義】岩沼市立岩沼西小学校・夢あこがれプロジェクト2010「子どもの将来に向けて、本当の体験をすることの大切さ!

2010年12月 3日 (金)

 9/4に、日本植物細胞分子生物学会・仙台大会・市民公開シンポジウム「植物とともに活きる--有用成分から眺めた植物の魅力とバイオテクノロジー--」において、「植物の花の不思議--植物の花粉と雌しべは、どうやってコミュニケーションしているのだろう--」というテーマで講演をしました。その折りに、なぜ、この様な科学の世界にいるのかという質問を頂いたのが、今回、講義を行った岩沼西小学校の山川校長先生でした。その後、打合せをして、今回の「岩沼市立岩沼西小学校・夢あこがれプロジェクト2010」での、講演会となりました。

DSCN5210.JPG これまでのほとんどが、児童、生徒、学生さん対象でしたが、今回は、参観日と重なり、保護者向けということでした。保護者向けという意味では、今年の夏の七北田小学校以来です。朝からの40mmを超える雨にもかかわらず、200名近い方々にご参加いただけたのは、うれしい限りでした。講義では、子どもの頃に本当の実体験をしておくことの大切さ、それに変えるものはないと言うこと、セイフティーネットが人生を通してはなくて、自己責任でいろいろなことを判断したり、考えたりしなくてはいけないこと。また、これから先、多くの決断があり、その決断で人生が変わると言うこと。そうした生きる力としての経験の大切さを講義しました。もちろん、今も研究している、自家不和合性のすばらしさも。

DSCN5216.JPG 渡辺の講義に続いて、岩沼市名誉市民であり、国産初の電子顕微鏡を1940年に開発された「只野文哉先生」がされていた社会貢献である、電子顕微鏡を使った講義がありました。電子顕微鏡を使うということは、学生実験の時に、暗い部屋で見て以来で、それ以降は、アウトソースして、データをもらったり、共同研究をしたりで。いわゆる、走査型電子顕微鏡でしたが、机の上に乗るサイズで、感動でした。わざわざ、花粉の顕微鏡写真も用意頂き。ありがとうございました。

 講義が終わったあとに、PTAの方とお話をした折に、「大学の教授なので、堅い話かと思っていたが、これからの子どもたちの将来にとって、良いお話であった」と言うことをいっていただけたのは、うれしい限りでした。これからも、大学の教授=堅い話というのをできるだけ、打破できるようにしたいと思いました。

 最後になりましたが、この様な機会を用意頂きました、岩沼西小学校・山川校長先生をはじめとする関係の先生方に、お礼申し上げます。ありがとうございました。また、引き続き、こうした講義、サイエンスの講義ができればと思います。よろしくお願いいたします。

DSCN5223.JPG
 わたなべしるす


 PS. 講義のあとに、自家不和合性、細胞質雄性不稔など興味深い単語もあり、ぜひ、子どもたちにサイエンスの講義をしてほしいというリクエストのmailをもらいました。うれしい限りです。ありがとうございました。ぜひ、来年度は、実現したいと。



ページの一番上へ

diary Top« 102 | 103 | 104 | 105 | 106 | 107 | 108 | 109 | 110 | 111 | 112

ARCHIVE