東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

【出前講義】仙台市立木町通小学校・七北田小学校での年間出前講義打合せと学校の現状視察(4/15)

2011年4月16日 (土)

 大震災のあとと新年度で、「出前講義」として最初に伺ったのは、今週の初めの福島県立福島高校でした。その第2弾として、仙台市内の2つの小学校に、今年1年間の出前講義の打合せに伺いました。仙台市立七北田小学校はこれまで、NSP (Nanakita Science Project)と言うことで、数年にわたって継続しております。仙台市立木町通小学校は、昨年仙台市との提携の出前講義で伺い、校長先生をはじめとする先生方に高く評価をいただき、今年度は年間を通じて、出前講義に発展しました。

 今回の震災で大きな被害が出ているのは、津波による沿岸部の被害ですが、内陸にも、建物が壊れるなど、実際にいろいろとたいへんと言うことが分かってきました。七北田小学校では、隣にある七北田中学校が今回の震災で、校舎が全く使えないので、1, 2年生は、七北田小学校の教室を借りて、授業を行うそうです。もちろん、修理が終わるまでですが。。。それでも、夏頃までかかるとか。確かに、仙台市地下鉄も、台原駅から北側がまだ、不通の状態です。当日の搖れはかなりひどかったようで、理科室では授業はなかったようですが、ガラス器具類が飛んだり、かっていたメダカの水槽の水がこぼれたり。校舎も継ぎ目や、至る所にひびが見受けられました。ただ、理科の先生が言われていたのは、「メダカは、地震が理解できるのか、ちゃんと水の下の方に隠れてと言うか、こぼれた水には、メダカはいなかった。」そうです。これは、さすが、動物の本能と驚きました。

 木町通小学校は、研究室のある片平地区から、2km弱のところの町中の小学校です。5-10年前に立て直したこともあり、見た限りは大きな被害があるような様子はありませんでした。昨年度は、2回の出前講義でしたが、4-6年生に年間で5回程度の出前講義と植物、イネ・キャベツのような作物の栽培を継続的に指導すると言うことになりました。大学から近いというのが何よりです。

DSCN0016.JPG どちらの小学校も、地震の時間が授業中でもあったので、子供さん達は机の下に隠れたりして、安全だったと。でも、それ以来、地震が怖い子供さんもたくさんいるようです。もちろん、地震の被害を大きく受けた沿岸部の子供達はたいへんですが、市内のどの子供さん達も「心の傷」を大きく受けたのだと。そうしたことを、この出前講義ですこしでも、その傷が修復してくれたらと実感しました。昨年度は、60-80件ほど出前講義をしましたが、さらに多くの子供さんのところに行けるようにと、痛感した打合せでした。

 お忙しい中、打合せの時間を調整いただいた先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 2つ小学校のどちらにも花壇の葉ボタンが抽だいして、もう少しで花が咲きそうでした。少しずつ、子供さん達の心が和やかになるように、花が役に立てばと。。

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【出前講義】福島県立福島高校・SSH、科学者の卵の現状と今後について(4/12)

2011年4月12日 (火)

 大震災の前までに、昨年度の出前講義が終わっており、従来であれば、昨年度のうちに多くの出前講義をしている学校とは、次年度、つまり、今年度の打合せをするところだったのですが、こちらと出前講義をする学校とがどちらもパンク状態で、なかなかできない状態でした。先週、「科学者の卵」養成講座の安藤先生、久利先生、岩渕さんと年度末の報告書のことなどを話した折に、今年度の活動をする上で、やはり、高校の状況、それも、様々な面で被災を受けているところについての調査が必要となりました。そのとき、ちょうど、4/12が福島高校の登校日となっていたことから、諸先生方の都合もあり、渡辺が伺いました。併せて、SSHの講義もお引き受けしているので、その打合せと研究に使っているアブラナの生育具合などの調査でした。

DSCN5378.JPG 出張の予定が決まった時点では、JR東日本の新幹線はおろか、在来線も開通していなく、高速バスかと思いましたが、4/12から在来線が開通し、新幹線も本数は少ないですが、福島--東京間が開通しました。朝方に福島・茨城県今日あたりで大きな地震があったようで、その関係で途中止まることがありましたが、無事、福島に。

 福島高校は、全国ニュースに出たくらいの大きな被害を受けており、校舎が4棟あるうちの2棟が立ち入り禁止レベルではないにせよ、継続して使用には耐えないと。。。。それで、プレハブができるまで、体育館などを利用して、授業をするようです。また、理科の授業で重要となる「実験」ができないという問題を抱えておられました。それより大きい問題は、まだ交通機関の復旧が不十分であることから、市内ではなく、周辺の市町村からも来る方がいるようで、そうした周辺地域の復旧、環境によっても、また、問題が生じるのではと気になりました。

DSCN5396.JPG また、SSHのアブラナの栽培もされていましたが、危険な建物からでないと出入りできないような場所にあり、何ともかわいそうな状況でした。。。しかたありません。とても熱心に管理、観察をしていた生徒さんがいたのにと思うと、余計にでした。。。SSHの実験も近くの研究所、大学を使われると言っていましたが、新幹線が開通すれば、ぜひ、東北大をお使い下さいというような議論ができたこともうれしい限りでした。

DSCN5384.JPG 科学者の卵の方は、震災の翌日が発表会でしたが、中止となった関係で、なんとか夏に発表会をしてほしいというコメントも頂き、運営をしている側も、なんとかそれに向けて準備をしたいと思います。

 生徒さんたちはとても明るく振る舞ってくれて、がんばろうという力をもらいました。ただ、気になるのは、「放射線の空間線量」です。どこの数字を使うかにもよりますが、仙台の屋外での値で、0.1マイクロシーベルト/時というのに対して、福島では、1.9マイクロシーベルト/時になります。単純に言えば、19倍になります。報道などでは、至急の危険というか、健康被害というか、はないと言いますが、これを少し計算してみると。

 福島に3hrいると、5.7マイクロシーベルトになります。もちろん、建物の中なので、少し減衰するというデータがあり、20%の減衰率として、4.6マイクロシーベルト。仙台で外に居続けて、2日間かかる放射線量をたった、3hrで浴びることになる。。。実験をしていて、1 order違う、つまり、1桁違うと、それは大きな差があると言いますが、仙台で2日間が、福島の3hr、それも室内なら、少し低い値と言うことを換算しても。計算をするまでこんなにも大きな差があるとは思いませんでした。安全と言われても、では、この数字を見て、すぐに福島に居続けることができるかと言われたら、言葉に窮するような気がしました。。。。何とかならないものかと思いました。ほんとうに。。。。個人の力ではどうしようもなく、もっと大きな上の方の力がぜひ必要であると痛感しました。なにとぞ、よろしくお願いします。

 SSHのサポート、科学者の卵の復活が、生徒さんたちにエネルギーを与えることができことなのかもしれないと、痛感した意見交換でした。また、そうした生徒さんの明るい笑顔がこちらのエネルギーでもありました。今日1日お世話になった、橋爪先生をはじめとする関係の先生方、生徒さんたちに感謝したいと思います。ありがとうございました。いつでも研究室の方にきて、実験などして下さい。バナナからDNAを単離する実験をするのは、いつでもサポートできます。もちろん、他の実験も。お待ちしております。

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 わたなべしるす

 PS. 福島高校の校内に震度計が設置され、観測をされている大学の研究機関を見かけました。この観測が次の地震に耐える建物設計に活かされるだろうことを、期待しつつ。。という感じで拝見しました。

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 研究室では、アルバイトをしてくれている方もいらしてくれました。震災以来、初めてです。やっぱり、たくさんの声がして、みんなで復旧という感じが出て、元気をもらえます。ありがとうございました。

 それから、館内放送で流れる、「緊急地震速報」が、初めて正しく反応してくれました。3/11も反応がなく4/11の余震でも反応がなく、困っていました。多少の空振りはあっても、来ることが予想されるのは、こちらの防衛体制がとれるので、何よりです。ありがとうございました。






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【出前講義、伺えず。。】仙台市立七北田小学校・卒業式。。(3/25)

2011年3月25日 (金)

 仙台市立七北田小学校で、NSPの活動をしており、また、学校評議員を務めていることもあり、昨日の卒業式に招待されておりました。しかしながら、仙台市地下鉄が台原駅までしか運行しておらず、また、ガソリンは2hr以上ならばないと買えない状況から、いくとしたら、自転車ということになりました。また、研究室の片付け、年度末などの報告書にも追われ、ぜひ、参加したかったのですが、伺えないということで、代わりにお手紙を校長先生宛に送ったのでした。

 ところが、この震災によるmail serverの手違いで、今日という1日遅れで到着したことの連絡を校長の内藤先生から頂きました。NSPの講義で、5回以上顔を合わせている子供さんたちでしたこともあり、内藤先生のご配慮で、小学校のHPに掲載頂きました。ありがとうございました。

DSCN0367.JPG 震災から、2週間。あっという間というのか、長かったというのか、やはり、体内時計が狂っているようです。。。この体内時計が元に戻るには、まだもう少し時間がかかりそうです。。。。どうやれば、戻れるのか、ご存じの方、ぜひ、ご教示ください。


 わたなべしるす

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【研究室訪問・実験】「科学者の卵養成講座」エクステンドコース・発表会プレゼン準備、その3(3/9)

2011年3月 9日 (水)

 2/19, 27に続いて、エクステンドコースのプレゼン準備が、今日で3回目で、ポスター、プレゼン練習などが完了しました。

 ポスターを完成させ、実際にプレゼンの練習を行いました。渡辺が年度末の様々なことに追われていることもあり、研究室の学生、院生の皆さんにもお手伝い頂きました。何より、最後に、学生、院生の皆さんの前で発表練習を行い、当日さながらの質疑応答があったのは、エクステンドコースならではないでしょうか。

DSCN0384.JPG また、エクステンドコースで生命科学研究科の他研究室に配属されている受講生の方とも連携して、発表練習ができたのは、それぞれのできあがり具合、プレゼンの工夫など、良い刺激になったのではないかと思います。「科学者の卵」で目指している、領域融合というか、異分野交流というか、そうしたことができたのは、受講生相互にとっても良い刺激になったのではと思います。あとは、3/12のプレゼンです。ぜひ、がんばって、科学者の卵を卒業して、1年後の受験に備えて下さい。そういえば、今日は、県内では高校入学試験の日だったとか。来年の受講生も新しくなります。

 こちらもまた、新しい刺激を受けて、さらに発展できるように、残された年度内の仕事を終わらせて、研究教育が、次の年度につながるように。。。


 わたなべしるす

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【出前講義・研究室訪問】福島県立相馬高等学校・アブラナコンソーシアム研究メンバー、3名の生徒さん来訪(3/7)

2011年3月 8日 (火)

 2/26に、アブラナコンソーシアムSSH重点枠「アブラナ科植物の遺伝的多様性に関する研究」の今年の報告会でのコメンテーターを務めましたが、この研究は、3年目になります。最初の立ち上げから数えると。その最初のメンバーで、今年受験生であった、福島県立相馬高等学校の研究メンバー、3名が受験が終わったと言うことで、研究室のアブラナの雑種の見学に来ました。

 相馬高等学校では、ブロッコリーとコールラビ-といういずれも、Brassica oleraceaに属する作物ですが、この間の交配、雑種育成を行っていました。2年ほど行ったのですが、うまくいかず、今回の研究室の見学となりました。ガラス温室に育成してある、その雑種を見て、なるほど、両方の形質が、現れているというようなコメントがありました。

DSCN0452.JPG なにより、3名とも、それぞれ希望のところで、来年度は大学生として、歩んでいくことを伺い、それぞれ、この1年大変だったのだろうと。。たいしたものだと。。また、どこかで彼らと交流ができればと思います。


 わたなべしるす

 PS. そういえば、昨日、今日とそうした、出前講義に伺ったところからの、合格の報せなどを頂き、こちらとしては、うれしい限りです。4月からは、大学生として、がんばって下さい。そうした方々とも、また、どこかでお会いできるのを楽しみにして。。

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