東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

【出前授業】JST・未来の科学者養成講座を広報、第1弾とSSHキャリア講義「博士・研究者になり、研究をするとは?」(福島県立福島高等学校; 5/30, 6/2一部改変)

2011年6月 1日 (水)

 一昨年度から開始した、all 東北大企画の「経験・体験を通して「科学を見る眼」をもつ「科学者の卵」養成プログラム」も、今年で最終年度。昨年度より、1ヶ月遅れの募集となり、その第1弾として、福島県立福島高等学校で、その概要、どういうコンセプトでやろうとしているのか、何を求めているのかなど、100数名の生徒の前で1hrほどの説明と2hrほど、講義の内容はどのようなものかと言うことで、模擬講義として、「キャリア講義」を行いました。3年連続で、昨年も好評だったのを記憶しています。

 「科学者の卵」の説明会では、こちらからの説明に続いて、昨年度、基礎コース、発展コース、エクステンドコースにいた生徒さんから実体験を話してもらいました。簡単にと言うことでお願いしましたが、それぞれの受講生の方は、さすが受講生という感じで、それぞれのコースの特徴、受講することで自分として、何がよくて、どういう成長ができるなど。中には、自分は文系にしたけど、1年間の学習はよかったとか、他の高校の友達ができたとか。こちらで期待していた、文理融合、共同研究など、大きな輪が広がることの大切さを語ってくれたのは、参考になったと思います。今年の募集の特徴として、震災被害地枠、原発被害地枠という設定を行い、福島高校等は、それに該当するので、積極的に応募してほしいと。今年の生徒さんも楽しみです。

DSCN0509.JPG  このあと、この科学者の卵の講義とはどういうものかを実感してもらうために、渡辺が毎年行っている「キャリア講義」を行いました。ほとんどの生徒さんが残ってくれ、渡辺自身がどのような子供時代を送り、小中高、大学でどういう決断をして、今に至っているのか、そして、そういう決断によって、今、どうなっていて、これから、どうしたいかという、ある種の人生論のようなものかもしれないですが、受講生にはよい刺激になったようです。今年度から、この講義の最後のところに、3/11の地震によって、渡辺が何を考え、どうしたいのか、地震、津波、原発など、考えていることを講義しました。福島市は県内でも空間線量が高く、生徒さんたちもどうすればよいのか、考えていたのだと思います。ただ、それをどう、誰に質問すればよいのか、悩んでいたようで、放射能の問題についての質疑で30min以上あったのではと思いました。中には、農家をしていて、そこでできている野菜にどれくらいの放射性物質がついているのか、測定に協力ができますかというものもあり、大学でできることであれば、よりよい連携ができればと思いました。ということと、現場の本当の現実を知らされたような気がして、渡辺一人の力で何ができるのか、あまりに小さな存在と思いましたが、少しでも話をすることで、心の部分だけでも改善されるのであればと思いました。1日でも早く、よい方向に向かうことを祈るばかりです。また、渡辺が何かのお役に立てるようなこと、アブラナでも植物でも、リクエストして頂ければと思いました。

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 講義のあとは、この会を設定してくれました橋爪先生とこれからのSSHのこと、出前講義でできること等、多くの話す時間を設けて頂いたことは、科学者の卵、出前講義の発展にもつながるよいものでした。ありがとうございました。

 何より、これまで2年の受講生さんたちがさらに大きく発展し、今年度も新しい生徒さんたちと講座でお会いできることを楽しみにして。


わたなべしるす

PS. 科学者の卵のHPにも、関連記事があります。お時間のある方は、。。。。

それから、以前に福島高校に伺ったときの仙台駅は修理中というところが多く、駅全体がカバーをかぶっていましたが、5/30にはそれもほとんどなくなり、新幹線にもがんばろうー的なマークも。。。。心が和みます。。。。ありがとうございました。

そういえば、新聞紙上に、「大震災は警告可能だった 「前震」見極めできれば」というのが。。。科学を総合的に考えられる未来の科学者養成が大切だと思いました。。。。。

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【出前授業】宮城県仙台第三高等学校SSH「理数科の日」発表会・コメンテーター(5/17)

2011年5月18日 (水)

 2年目を迎えた、宮城県仙台第三高等学校SSHの運営指導委員を仰せつかっていることもあり、発表会での質疑、講評などを担当しました。時間の関係で午後からだけの出席となりました。高校は最近、新しく立て直したこともあり、以前SSHで伺った福島高校から比べると、大きな被害がなかったのは、不幸中の幸いだったのかもしれません。

DSCN0503.JPG プレゼンでは、様々な分野を研究され、多様性に富んでいるのはよいことだったと思います。一方で、何かの現象を見て、調べたり、シミュレーションをしたりすることをしていましたが、それが実際の現象とどのようにリンクしているのか、どの現象を模倣しているのかという点について、注意が払われてなかったのが、気になりました。そんなこともあり、ぜひ、植物を植えて、栽培して、その成長を観察するということをやられるのがよいのではと感じました。なかなか大きくならなかったり、あっという間に大きくなったり。という、不思議さにも気がつくと思いますので。

 最後のところで、講評をしましたが、SSHの科学力を正しい方向に使うこと、また、いろいろな科学を知るとこと、それは、毎日起きている、3/11の大地震の余震であったり、福島原発の経過であったり。そこで出てきた言葉をきちんと理解するだけでも、科学とのすりあわせができることだと思います。科学は科学だけで独り立ちしているわけではなく、社会との接点があって、科学だと思いますので。

 7/12には、講演会をお願いされております。それも楽しみになってきました。また、お会いしましょう。


 わたなべしるす

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【出前講義】福島県立福島高校・SSH「アブラナ科植物を利用した研究指導」(5/10)

2011年5月12日 (木)

 連休も明け、通常であれば、出前講義、科学者の卵の活動という、「アウトリーチ活動」もあちこち始まっているところですが、3/11の大地震があったこともあり、スタートがかなり遅くなりましたが、ようやく、あちこちからの依頼も始まりました。来月には、新しいSSH校の運営指導員も仰せつかり、また、新しい発展が楽しみです。

 なんと言っても、アブラナ科植物はこの時期が開花と言うこともあり、遺伝学の交配実験、形態観察のポイントなど、実際の植物が植えてある、プランタ、畑を観察しました。100個体を超える植物を管理している生徒さんも、震災直後に、学校が休みとなり、しばらく観察しないと、あっという間に抽苔して、開花していたことに驚いていました。地震がなく、福島原発の影響がなければ、毎日観察して、どの様に抽苔するかをみることができる大切な時期を逃したことを残念がっていたのが、とても印象的でした。それまで手塩にかけて育ててきた、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどが、ちょっとみない間にこんなになるとはと。それくらい大事に思って栽培してくれていた生徒さんがいたことを感動するとともに、ぜひ、SSHの活動でその思いを発展させ、遺伝学実験、形態観察などを行ってもらえればと思います。前回の4/12の訪問時には、新幹線もなく、在来線での福島へと言うことで、時間もかかりましたが、新幹線も開通しました。ぜひ、東北大での実験、研究指導での訪問も継続したいと思います。なにより、地震、放射能という大きな被災地ですから。

DSCN0227.JPG 以前にもこのHPで記したように、アブラナ科植物には、セシウムを吸収する能力が高く注目されています。そうした話にもなり、今回のことが放射性セシウム137のことを研究するというか、放射能、放射線と言うことを今まで以上にSSHの活動として、考えることができるのだと痛感しました。

 ただ、今回の活動を通して感じたこととして、放射性物質はいわゆる、「管理区域」という閉鎖された部屋の中で使い、その外では一定以下になると言うのが、RIを利用することだったような。つまり、現状では、部屋の中が管理区域外になっていて、外が管理区域という逆さまというか、何とも不思議な状況でした。と言うか、こんなことが、放射性物質の取り扱いという点から、法律上、問題はないのでしょうか。RI取扱主任者でれば、分かることなのでしょうか。少し調べないといけないと。。。。

 科学者の卵の受講生の方々ともお会いでき、この3月にできなかった「発表会」のことを残念がっていましたが、夏休みに開講されると言うこと、表彰状などは、すでに受講生のところに届いていると言うことで、その点を喜んでいただいたのは、こちらもうれしい限りでした。また、何より、今年のこうした状況で、「科学者の卵」があるんだと言うことが励みになっているのを感じ取れたのは、うれしい限りでした。

 今後もよりよい連携ができ、アブラナ科植物を利用した研究指導だけでなく、それをベースとした、生物学、科学、物理学との融合の研究を発展させることができればと思った次第です。

 最後になりましたが、様々な面でお世話になり、また、研究状況のお話を頂いた、福島高校・橋爪先生、原先生、秦先生をはじめとする多くの先生方にこの場を借りて感謝します。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 新幹線からの風景では、宮城、福島県内でも、水田を作り、田植えの準備が進んでいたのは、ほっとする風景ですが、これを記している5/11には、神奈川県の「お茶」から、基準値以上の放射性セシウムが検出されたとか。そんな遠い場所でと思うと、宮城、福島のことが心配になるのは、農学部を卒業したものだからでしょうか。。。

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【出前お手伝い(ボランティア)】仙台市立木町通小学校、仙台市西花苑たんぽぽホーム・放射線計測のお手伝いと現状視察(4/21)

2011年4月22日 (金)

 先週は、福島高校に出前講義の打合せに伺い、今週の初めには、「宮城県立古川農業試験場での水稲播種」を行いました。また、最近、工学部の先生からご紹介いただき、研究室でガイガーカウンター(放射線計測器)を購入することができました。また、原発の工学的な側面、放射線の専門的な話も併せて聞くこともできました。おかげで、研究室の状況などを外からの情報(理学部・物理)以外にも、手にできたことは、ほっとできたことと、自分たちの研究環境がどうなっているのかを、実感できました。そんな折に、出前講義のつながりで、小学校、ホームから「測定依頼」を受けて、22日の午後は雨模様と言うことで、今日、伺ってきました。

 校長先生、園長先生とも、自分の学校、園がどうなっているのか、気にされておりました。もちろん、こうしたことが今までなかったと言うことと、何よりも、「放射線」という目に見えないものがあるというのが、困りものの原因のような気がしました。普段よく使われる場所などを、高さを変えて測定して、現状がこうなっている、また、文科省からの通達がこうなっているという昨日のニュースのことなどをお知らせして、これからの運営の参考にしていただきました。植物が専門であることから、本当の意味での専門的なことは、その道のプロに橋渡しをするというお約束をして。計測だけであれば、今やデジタルで見ることで分かるような機械ですので。ということで、継続支援のお約束をして、それぞれの学校、園をあとにしたのでした。

DSCN2830.JPG また、他からもご希望があれば、伺いますので。何より、安全と安心とが今のこの時期には重要ですから。小学校というような外で遊びたい時期に、それに制限がかかるというのは、何とも言えない気持ちになります。自分が小学校の頃に、野山、田畑で、無制限に遊べていたことを考えると。やりきれない気持ちでいっぱいです。そうした子どもさんたちのためにも少しでもお役に立てればと思います。


 わたなべしるす

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【出前お手伝い(ボランティア)】宮城県立古川農業試験場での水稲播種のお手伝いと現状視察(4/18-20)

2011年4月21日 (木)

 大震災は多方面に影響を与えています。もちろん、大学の実験1つをとってもそうですし、大きく被災された方々は、まだ、電気、ガス、水道も来てないところも、宮城県内にはまだ多くあります。そうしたところに、県庁の職員の方々が多く行かれていることを伺いました。もちろん、日本中から多くのボランティアの方々も。

 そんなことで、渡辺の研究室で普段お世話になっていた「宮城県立古川農業試験場」の方々も、もちろん、地震で内陸部ですが、被害を受けた方々もいますし、さらに、試験研究をする方々が、被災現場の運営にあたっておられて、これから、東北地方の食糧資源である「イネ」の品種改良が滞ることは、直近の被害を受けた地域のボランティアということとレベルが違うにしても、問題であり、大事なことだと思いました。では、そんなときにlabとして何ができるかと言うことで、イネの苗床への播種のお手伝い(これを、ボランティアということが可能か、その当たりはよく分かりませんが。。。)に伺いました。月、火はlabメンバーとアルバイトさんの6名で、最終日は渡辺も。

DSCN5402.JPG これまでアブラナの播種はよくしていましたが、イネの苗床への播種となると。。。。系統化されたり、収量検定試験にいくようなものなど、様々な育種母本というか、育種過程を見ることができたのは、ある意味、良い刺激になりました。ただ、ここ数日、最低気温が、1.1oCになるという、冬のような天気で。。。これはこたえました。この活動が、10年後の東北食糧基地を支えてくれるだろうと、楽しみになってきました。また、田植えの時にもお手伝いできればと思います。様々なことが偏ることなく、復興していくことが大切なのだと、実感できた経験でした。

 最後になりましたが、お世話になりました、宮城県立古川農業試験場の永野部長、早坂研究員、遠藤研究員をはじめとする多くの方々に、感謝します。また、伺いたいと。

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 わたなべしるす


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