東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

栃木県立宇都宮女子高校でのSSH特別実験講座「身近な花をじっくり観察してみよう!!」(11/11)

2009年11月13日 (金)

先月、SSH実施高校である、宇都宮女子高等学校1年生全体への特別講義、「植物科学研究における最近のトピックス--自他識別が起きる自家不和合性とは。。。--」を行いました。そのうちの生徒さんが、宇都宮大などでの実習と平行して、渡辺をはじめとする3名の大学の教員が高校を訪問して、出前実験を行いました。渡辺は、生物を担当し、「身近な花をじっくり観察してみよう!!」と言う題目で実験を行いました。新型インフルエンザの猛威で、本来なら20名近い生徒さんとの実験でしたが、7クラス中、5クラスが、学級閉鎖と言うことで、先生方を含めて、8名での実験となりました。

 まず、キクの花をピンセット、カミソリなどで分解してもらい、実体顕微鏡で観察し、形態的特徴をつかんでもらいました。花粉に着目する生徒さんもいれば、維管束に興味がある生徒さんも。それぞれが、それぞれの興味で観察、記録をとってもらいました。渡辺も形態観察は苦手で、特に絵を描くのは、へたでした。その当たりも生徒さんでばらつきがあるのは、今も変わらないのだと、実感しました。その後は、各自で準備した花を観察したり、シクラメンの花粉発芽を寒天培地の上でトライしてもらったり。宇都宮と言えば、餃子。その餃子に欠かせない「ニラ」の花を観察したり。あっという間に実験が終了しました。もう少し実験を続けたいという生徒さんも多く、終わったあとも、熱心にやっていた姿は、とてもうれしかったです。ぜひ、このスタンスを続けてください。

 来年は、ぜひ、より多くの方に、「観察することの大切さ」、「何を観察するのか、何に着目するのか、と言うことの難しさ」、「記録をとること、書くときに特徴をどう記すのかと言うことのたいへんさ」も学習してほしいと思います。観察は生物学の基本ですから。

 なお、キクの花、シクラメンの花などを供給していただいた栃木農試の天谷室長には、この場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす

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福島県立福島高校SSH生徒研究発表会の評価担当と討論会(11/5)

2009年11月 5日 (木)

福島高校でのSSH活動では、アブラナ多様性研究コンソーシアム、生物実験に続く、今年3回目の訪問になります。午前最後の公開授業と午後の生徒研究発表会への参加となりました。JSTの北島先生、福島県教育庁の先生方、県内外の理数科の先生方、保護者の方々も多く参加され、とてもよい雰囲気の公開授業、生徒研究発表会でした。

 公開授業では、主に実験を見せて頂きました。化学の実験では、化合物、物質が持っている熱量を測定してみようというもので、様々な物質にチャレンジしていたのは、とても興味深いものでした。数学、英語なども行われていましたが、十分にfollowできなかったのは、受験生活から、30年以上、遠ざかっているということで。。。。

 午後からの生徒研究発表会では、7件のプレゼント20件を超えるポスターセッションがあり、いずれも興味深いものでした。生物、化学が中心でした。それらの中には、統計的な処理をすれば、もう少しその数字が意味を持つということが多く見られ、このあたりはぜひ、数学との連携がよいのではと思いました。また、実験をするときにいわゆる対象区(control)がないものがあり、ぜひ、controlを置くことの重要性を覚えてください。それから、化学オリンピックの日本代表候補になっている方の発表もあり、こんな問題を考えられるのだと、感動しました。ポスターセッションでも、いくつかのポスター発表者と議論をして、こうした点を改善、改良すれば、よくなるというような議論もできました。来年、さらに進歩した発表を聞くのが楽しみになってきました。がんばってください。

 研究発表会のあと、熱心な生徒さんから、質問を受け、生物現象をいかに捉えて、それをわかるように数値化するかということについて、講義を行いました。これからの研究の方向性が明確になったのではないでしょうか。

 来月には、「キャリア教育」の特別講義を依頼されました。こちらも楽しみにしております。


 わたなべしるす

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石川県立小松高校でのSSH特別講義「博士になるとは?研究者とは?---いろいろな出会いがあり、決断があり、そして。。。---」とダイコンコンソーシアム研究指導(10/30)

2009年10月31日 (土)

ダイコンコンソーシアム研究指導と講義を行うということで、小松高校へ伺いました。北陸地方の高校で、出前講義を行うのは初めての機会でした。SSHプログラムを今日か融合的に行うことの表れでしょうか、SSHプログラム推進室のようなものがあり、大学での21-COE, G-COEを思い出し、よいシステムだなと。。

 講義は、1, 2年生を対象にして、500人近い規模で、「キャリア教育」を行いました。とてもまじめな生徒さんで、それなりに笑いをとれそうなことも話をしたのですが、とてもまじめに聞いて頂き、すがすがしさを感じました。1年生はこれから、文理選択だそうです。2年生は、本格的に希望校、学部を決める頃でしょうか。何かのお役に立てればと思いますし、生徒さんからのコメントが来るのを楽しみにしております。ここで教えた生徒さんとまたどこかで会えるのを楽しみにしています。

 そういえば、寺岸先生が教えているクラスでは教室に「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を掲示しているのだそうです。とても感動しました。この言葉を大切にして、がんばってください。

 SSHで2つの研究を見せて頂きました。11/3に発表会があるとかで、発表練習も見せて頂きました。ダイコンコンソーシアムの方では、室内で栽培したときの成長に対して、光の量、質がどのように影響しているのか、また、室外では土質により、生育がどのようになるのかを調査しておりました。なにより、小さな畑を作られ、元気に育っているダイコンを見たとき、きちんと管理している先生と生徒さんの熱心さを感じました。もう1つの研究は、「レインボーフラワー」というもので、何でもオランダの会社で開発した7色のバラらしく、維管束を通して色素を吸わせて、花弁の色を変えるのだそうです。方法が企業秘密ということから、生徒さんたちは、色素の種類、花の種類などを変え、どうやれば、7色に変化する花弁を作ることができるのか、とても工夫して、「キク」を使って成功していたのを見て、感動しました。さらに、この取り組みをしているのが、異なる部活動をしている生徒さんたちのコンソーシアムとして、行っていたことです。時間が足りないのを、それぞれの部活で身につけた工夫すべきポイントを出し合って、研究推進していたのは、まさに、領域融合のモデルのように関しました。さらなる発展を楽しみにしています。

最後になりましたが、寺岸先生をはじめとする関係の先生方にお礼申し上げます。ありがとうございました。


わたなべしるす

追伸 関連記事が、ダイコンコンソーシアムHP, 小松高校HPにあります。
あわせてご覧ください。

http://daikon-c.com/activity/2009/11/05150735.php
http://www.ishikawa-c.ed.jp/~komafh/

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今治市立常盤小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/27)

2009年10月31日 (土)

今年最後の今治市内の小学校での出前講義は、常盤小学校で、5年生4クラス、100名を超える児童の皆さんでした。講義の方は「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。

 講義での質問にもたくさん答えてくれました。とてもたくさんの皆さんが手を挙げて応えようとしていたのは、とてもすごいと感心しました。自然があふれる「今治市」。その自然もつ不思議さをたくさん観察して、成長したみんなにまた会えるのが、楽しみになってきました。講義を用意頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。

わたなべしるす

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広島県立広島国泰寺高校でのSSH特別講義「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」とダイコンコンソーシアム研究指導(10/28)

2009年10月29日 (木)

 ダイコンコンソーシアム研究指導と講義を行うということで、広島国泰寺高校へ伺いました。この高校は、第1期のSSHから活動していること、オオサンショウウオをモデルとしてゲノム研究を行っている、国際交流も活発と伺い、講義・意見交換を楽しみにしておりました。実験室には、多くの両生類がおり、また、大学の研究室を思わせる実験室もあり、感動しました。

 講義では、ダイコンコンソーシアムをしているメンバーが中心ということもあり、自家不和合性、植物の生殖について、話をしました。自家不和合性というダイナミックな現象について、とても興味を持っていただきました。オオサンショウウオのゲノム解析をした実績で、ぜひ、自家不和合性の多様性にもトライしてほしいと思いました。講義の最後には、多くの生徒さんから、鋭い質問を多数頂き、レベルの高さを感じると共に、指導されている三浦先生をはじめとする先生方の熱意が、生徒さんたちの熱意となっているのを実感しました。

 ダイコンの実験の方は、二十日大根を使って、まだ予備実験をseedlingを使って行っていましたが、いろいろな品種で、ストレスなどに対する応答のdataがでるのを楽しみにしております。

 講義後の三浦先生との意見交換では、今後、また機会を見て、講義に伺えるということで、こちらも楽しみになりました。よろしくお願いいたします。


わたなべしるす

PS. 早速、昨日の講義について、ダイコンコンソーシアムのHPに記事が投稿されておりました。あわせてご覧ください。

http://daikon-c.com/activity/2009/10/29092825.php

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