東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

福島県立福島高校でのSSH特別実験「アブラナコンソーシアム関連実験指導」(10/16)

2009年10月20日 (火)

 福島高校でDNA抽出実験を講義したあと、「アブラナコンソーシアム」に取り組んでいる生徒さんたちと植物の生育、実験の方向性について議論しました。植物はあまり虫に食われることもなく、よく育っていました。春まで花が咲き、交配もできるでしょうし、様々な実験ができるのではと思いました。

 一方で、生物と化学を融合した実験を試みている生徒さんもいました。話を聞いていると、小学校だったか、中学校から、続けていると。それを聞いて、感動しました。渡辺はもちろん大学にいますので、20年以上、自家不和合性の研究をしていますが、小中高の時代に、そんなに長く研究をしたことはありません。夏休みの自由研究くらいです。その研究は、そのとき限りのものでした。そう考えたとき、何とも言えない感動を覚えつつ、実験の方向性について議論しました。アブラナの生活環の特徴を利用する、簡単に手に入る材料も利用する、栽培している植物の研究をしている人と共同研究をする、そんなことをコメントしました。

 さらに共同して発展した結果を、年度末の報告会で見ることを楽しみにしております。

わたなべしるす

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青森県立弘前高校・職業人講話「研究職になるには・・」(10/17)

2009年10月17日 (土)

 東北大学で実施している「科学者の卵養成講座」に参加いただいている、弘前高校の生徒さんから、同校の進路指導主任の先生に、渡辺が行った「キャリア教育」が、好評であったようで、この職業人講話の講師を引き受けることになりました。なにより、講義のリピーター、それも口コミでということで、こちらもうれしく思っておりました。

 他の講師陣には、医者、薬剤師、翻訳家、弁護士の方などがいらっしゃり、1年生全体を希望する職種の講師から、講義を聴くというものでした。渡辺が高校生の頃にはなかったような企画で、違った意味で興味深いものでした。渡辺のところには、最多の64名が聴講してくれ、渡辺の小学生時代から、大学、研究者という歩みを講義しました。中には、研究者になりたいという生徒さんもおり、将来そうした生徒さんと一緒に研究ができれば、この上ない幸せだと思いました。

 講義のあとには、本講義のきっかけを作ってくれた「科学者の卵」の受講生と話ができ、また、講師依頼をしていただいた進路指導主任の先生とこうした講義がきっかけとなり、人と人がつながる、本物を見せるということの大切さなどが議論できたのは、ある意味、「科学者の卵」のコンセプトとあい通ずるものがあり、とても有意義でした。ありがとうございました。また、いつの日か、こうした講義ができればと、思った有意義な講義でした。

わたなべしるす

PS. 弘前といえばではないですが、さすが青森県。駅前に、赤く色づいたリンゴの木があったのには、驚きでした。違った季節に違った場所に行くのも、違った意味があることを実感したのでした。

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福島県立福島高校でのSSH特別実験「バナナからDNAを抽出しよう」(10/16)

2009年10月16日 (金)

 DNA、遺伝子というのは、いわゆるはやりの単語なのでしょうか。SSH実施高校で、大がかりに生物実験を引き受けたのは、今回が初めてかもしれません。

 福島高校では、年に1度、物理、化学、生物、地学の分野で異なる実験を1年生に体験してもらっているようです。昨年度も、実験をお願いされたのですが、予定が合わず、実施できませんでした。今年は、「バナナからDNAを抽出しよう」というテーマで実験を行いました。漏れ聞くところによると、希望者は80名を超えたとか。実験室の大きさの関係で、約半数の生徒さんである49名の生徒さんに実験を行ってもらいました。

 DNAをたくさん含んでいるということで、一般には、レバー、ブロッコリーなどを使ってDNA単離実験を行うようですが、昨年まで、本学の大学院生をしていた方に教えて頂き、バナナからも簡便にDNAをとれるということで、今回実施しました。核抽出液をフィルターでこすわけですが、プロトコールでは、コーヒードリップのフィルターを使うところ、濾紙を使って行いました。コーヒードリップのフィルターは、目が粗いので、核だけでなく、可溶性の繊維質も通過するようで、最後に、エタノールで析出させると、夾雑物が多く、DNAを溶かすことが難しいということを、以前に経験しました。そこで今回は、濾過に時間がかかるとは言え、濾紙を使って行いました。予想通り、時間はかかりましたが、きちんと析出して、DNAが溶けるということも体験してもらえました。

 何よりうれしかったのは、濾過に時間がかかった分だけ、DNAの析出を見たときの生徒さんの歓声でした。実験は時間がかかることが多いこと、失敗しても、リカバリーすればよいこと、うまくいったときの感動など、たくさんのことを学習してもらえたのではと思います。

 第1希望で、DNA単離実験を希望していたにもかかわらず、できなかった生徒さんにも、この感動を共有していただくために、また、福島高校に伺います。キャリア教育を行うということもありますので。
 
 とても有意義な1日でした。


わたなべしるす

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今治市立美須賀小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/6)

2009年10月 7日 (水)

 今治市内の小学校での「出前講義」に新しい小学校、美須賀小学校が加わり、初めての講義でした。5-6年生をあわせて、40名弱という小さな小学校です。渡辺が子供の頃には、町中の小学校ですが、もっと多くの児童がいたのではと思いつつ、。藤堂髙虎が築城したといわれる「今治城」に近く、また、今治港にも近い小学校でした。

 理科室での講義でしたが、児童の皆さんに加えて、保護者、ご近所の方も参加頂き、地域で児童さんたちを支えていこうという学校の試みに感動しました。初めての講義だったためか、児童の皆さんも最初は硬い表情も、講義が進むにつれて、手を挙げて応えてくれる生徒さんたちも増えたのは、なによりでした。

美須賀小学校での出前講義も、「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。講義のあとには、はじめ、なかなか質問が出なかったですが、保護者の方が質問の口火を切っていただき、終了まで10名近い児童さんから、とても純粋な発想の質問をたくさんもらいました。感想文が届くのが楽しみです。

 講義を用意頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。


わたなべしるす

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今治市立今治小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/6)

2009年10月 7日 (水)

 10/6の午後には、今治小学校・理科室で、45名の児童と先生方、保護者・近所の方々もお見えになり、講義でした。今治小学校は、昨年の「キャベツとブロッコリー」の講義、春先のアブラナ交配実験に続いての3回目です。春先の交配では、実験を行ったとき、ハクサイ、カブの仲間であるBrassica campestrisしか、開花していなかったのですが、その後、岡田先生、渡邊先生の指導の下、キャベツとブロッコリーの雑種種子を得ることに成功しており、岡田先生、渡邊先生の高い指導力と、難しい実験にもかかわらず、一生懸命実験をした児童の皆さんに感心しました。この秋には、ぜひ、両親とこの雑種を植えて、どんな新しい植物ができたのか、報告が楽しみになりました。

 さて、講義の方は「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。

 講義での質問にもたくさん答えてくれました。とてもたくさんの皆さんが手を挙げて応えようとしていたのは、とてもすごいと感心しました。講義の最後に、ことわざのようなものとして「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」というのを話したところ、1人の男の子が手を挙げて、このことわざの意味するところを、正確に答えてくれました。これが、最初の感動でした。小学生がこのことわざの意味を知っていたのは、初めての経験でした。この言葉の意味を、大切にして、これからも学習してください。

 講義のあとには、10min近く質問の時間があったのですが、ここで驚くべきことを質問する生徒さんと出会ったのは、衝撃でした。「自家不和合性」の講義をしたときに、めしべの上で、自己と非自己の花粉が識別され、自己花粉だけが発芽、花粉管侵入するところを見せました。そうしたら、「1つの乳頭細胞の上に、自己と非自己の花粉を乗せたら、どうなるのでしょうか????」。われわれも、この実験をしたいと常々思っているわけで、実際には、乳頭細胞上の局所的な認識反応と思っているのと、今までの論文から考えると、自己花粉は侵入できず、非自己は侵入できます。と答えました。そうしたら、もっとたくさんの花粉、自己ではなく、非自己の花粉をたくさん乗せるとどうなるのかと。もちろん、入るわけですが、90minの講義で、どのような発送をして、こんな自家不和合性の先端的な問題に気がついたのか。おどろきでした。

 質問は、一度ここで終わったのですが、校長先生、岡田先生と校長室でお話をしていたら、その生徒さんが訪ねてきて、多くの質問をくれたのですが、その中に、「めしべの上には、例えば、リンゴの花粉だけでなくて、その頃に咲いている他の種の花粉も着くだろう。それは、非自己なのか???」。これこそ、特定領域研究「植物ゲノム障壁」で研究している、「種の障壁」とはなにか。ということを的確に着いてきた質問でした。このことに、回答したあと、ぜひ、一緒に研究をしましょう。大学で待っていますと。それ以上のことを言えないくらいの感動でした。

 自然のあふれる「今治市」。その自然の不思議をたくさん観察して、成長したみんなにまた会えるのが、楽しみになってきました。 講義を用意頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。


わたなべしるす

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