東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

福島県高等学校教育研究会農業部会相双支部・特別実験「バナナからDNAを抽出しよう」と特別講義「高等植物における生殖・受粉反応--自家不和合性・受精・品種改良--」(12/4)

2009年12月 4日 (金)

これまでずいぶん多くの出前講義を行ってきました。その対象はほとんどが、小学生、高校生でした。数年前に、IT企業の方々を前にして、「植物・遺伝子・農業」についてと言うことでお願いされ、お話ししたことはありましたが、高校の先生方を対象にして、講義をすると言うことは、今回が初めてでした。


バナナを素材にして、身近にあるものである、食塩、洗剤などを利用して、DNAの抽出を行いました。皆さん、普段から植物の管理など手作業が多いことから、器用に実験をこなされ、DNAを析出させ、感慨深げに見ておられたのが、印象的でした。


一方、講義の方では、F1育種の基礎である自家不和合性について講義をし、F1育種の実際についても併せて、概説しました。多くの分野の異なる先生方の参加でしたが、相互によい刺激になりました。講義を受けておられる先生の中に、岩手大で勤務していた折にお世話になった鴫原先生もいらっしゃり、懐かしさも感じることができ、人のつながりの不思議を今日も体感しました。


最後になりましたが、この様な機会を設定いただきました、相馬農・田代先生にはこの場を借りてお礼申し上げます。これからも、よりよい形で、共同研究など発展的なことができればと思っております。


いつもとちがう刺激であり、とても良い機会でした。ありがとうございました。

 


わたなべしるす

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仙台市立鹿野小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(12/2---12/4追伸)

2009年12月 2日 (水)

東北大と仙台市教育委員会の連携による「出前講義」は、今年は2件でした。9月はじめの川平小学校に続いて、鹿野小学校が2校目。これで今年は、終わりになります。鹿野小学校は、去年から講義依頼を頂き、リピーターとして、今年も講義をお願いいただいたのは、うれしい限りです。昨年度の5年生の担任の先生からのご推薦だそうです。ありがたいことです。これからも長く続けることができればと思います。本来は、11月の中旬の予定でしたが、昨今の新型インフルエンザの猛威の関係で、学級閉鎖などがあり、12/2の開催となりました。5年生・3クラスで、95名と校長先生をはじめとする5名の先生も受講していただいたのは、うれしい限りでした。


今年の出前講義も、「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びること、自家不和合性という花粉の自他識別があるということ、植物の動的変化というか、ダイナミクスを話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声が。やはり、動画はインパクトがあるようでした。


自家不和合性がなぜ、植物に必要かということを質問したところ、遺伝子が混じることが大切だと。とてもすばらしい答えに、感動しました。ぜひ、将来、一緒に研究ができればと思います。講義の最後に、10名を超える子供さんから、とても純粋な発想の質問をたくさんもらいました。リンゴの品種の数、リンゴはなぜ赤いのか、リンゴとナシは交配できるのか等々。そういえば、この小学校でもこの講義・質問のあとに、サイン会がありました。最近のこともさんがこんなにサインを求めるのかと、不思議に思ったりもしました。いつものように、子供さんたちからの感想文が届くのが楽しみです。
鹿野小学校にも、キャベツとブロッコリーの苗を配布して、ここでも栽培・観察をトライしてもらうことにしました。春には、キャベツとブロッコリーができることを楽しみにしていますし、片平から近いこともありますので、ぜひ、観察会ができればと思います。キャベツとブロッコリーの成長の違いをぜひ、よく観察してくださいね。


最後になりましたが、校長先生、担当の大風先生、東海林先生をはじめとする鹿野小学校の先生方にお礼申し上げます。

 


わたなべしるす


PS. 講義のあと、校長室で東海林先生を交えて、継続的な講義などについて、お話がありました。良い方向に進めばと思います。そういえば、この鹿野小学校の現校長の前々任者は、一昨年、立町小学校でお世話になった、狩野校長先生でした。世の中、とても狭くて、人のつながりは、すごいと実感したのでした。
https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2007/10/18214734.php


追伸(12/4) 鹿野小学校のHPに、東海林先生が日記を記してくれてあります。併せて、ご覧ください。
http://www.sendai-c.ed.jp/~kanosho/blog/index.php?UID=1259726679

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仙台市立七北田小学校・NSP特別編「科学クラブ・植物の観察--花粉を見てみよう--」(11/20)

2009年11月24日 (火)

今年最後のNSPは、「科学クラブ」での植物の観察実験という特別編になりました。いつもであれば、100名を超える生徒さんたちに講義をすることがほとんどですが、クラブのメンバーと言うことで、25名くらいでした。小さな実体顕微鏡、単眼の顕微鏡など、小学校ならではの設備に、懐かしくなりました。

 当日は、顕微鏡2台・キクの花を持ち込みました。理科の井上先生も、様々な花を用意いただき、それぞれの子供たちにピンセットを配布して、花の解剖開始。最初は、どうやればよいのか悩んでいた子供たちも、時間を追うごとに、がく、花びらから並べ始める人、カッターナイフで花をカットして、観察を始める人など様々でした。雌しべの子房を解剖して、つぶつぶした、受精前の種子のもとというか、。普段、見たことがないものを、実体顕微鏡、光学顕微鏡で観察をできたのは、楽しそうでした。時間が45minと言うことから、盛り上がってきたときに、授業が終わってしまったのは、残念でした。

 生徒さんに混じって、井上先生も、キクの花を解剖はじめ、花びら、小さな花を並べて、実験されていたのは、何とも言えず、良い光景でした。そういえば、自分が小学生の時の理科の先生にも、いろいろなことを教えてもらったのを思い出しました。

 これで今年のNSPも最後です。年が明けたら、キャリア教育、環境教育の授業があります。キャベツのなかまの栽培も、始めていました。来年も楽しみがたくさんあるようです。


わたなべしるす

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宮城県立宮城第一高校・SPP特別実験・実習「植物の形から遺伝子まで」(11/21)

2009年11月24日 (火)

数日前にSPP特別講義を行いましたが、今回は実際に生徒さんにきていただき、研究室の施設を見学していただくとともに、研究室の機材を用いて、実験・実習をしていただきました。また、空いている時間で、研究、進路など、渡辺と議論をする時間も作りました。

 形態観察では、実際に樹脂包埋している植物をミクロトームで連続切片にし足り、花を解剖して、実体顕微鏡で観察してもらいました。遺伝子実験としては、PCRで遺伝子増幅を行い、その増幅を確認するとともに、sequencerで塩基配列を決める時間は余裕がなくてできませんでしたが、既存の決定できた配列を見て頂き、sequencerを実感してもらいました。いくつかの班に分けて、実施しましたが、研究室のスタッフのおかげで、皆さん、実験を楽しんでいただいたようでした。

 渡辺との議論の時間では、理数科ということもあり、自主的に行っている研究についての議論、進路について等、様々なことを討論できました。さすがに、このようなプログラムに積極的に参加する生徒さんだけあって、将来、進路についてもよく考えているのには、感心しました。

 今回参加できなかった生徒さんにも参加を希望する方がいました。また、時間を見つけて、ぜひ、研究室を訪問していただければと思います。今回の企画をしていただいた宮城第一高校の小松原先生にお礼申し上げるとともに、土曜日にもかかわらず、お手伝いいただいた、うちのlabのstaffの皆さん、ありがとうございました。また、こうした企画ができればと思います。


わたなべしるす

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宮城県立宮城第一高校・SPP特別講義「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性、博士になるとは?研究者とは?」 (11/17)---追伸(11/25)

2009年11月20日 (金)

JSTがサポートしているプログラムとしては、SSH, 科学者の卵養成講座の実施、運営、サポートなどを行っていますが、3つ目として、SPPというプログラムのお手伝いをしました。宮城県立第一高校で、以前までは、宮城県立宮城第一女子高校と呼ばれ、SSHを実施していた時期もあったそうです。理数科があり、その理数科の1年生の生徒たち、80名に11/17の午後を使って、「自家不和合性」というサイエンスの先端を講義するとともに、「キャリア教育」も行いました。東北大学に近いこともあり、学内の多くの理系の学部に講演依頼、研究室訪問をしているようです。「キャリア教育」は、科学者の卵で行って以来、すでに、5回目となります。来月にも2回予定しており、こうした教育の重要性を感じて、いただいていると言うことではないかと思っております。

https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/31134236.php

https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/29134359.php

https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/27151345.php

https://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/diary/2009/10/17152413.php

 受講した生徒さんの中には、科学者の卵の受講生もおり、プログラムが広がりを見せていることを実感するとともに、その受講生さんたちが、クラブ活動として、実験をしている内容についての発表も拝見しました。花粉の発芽実験に、塩(NaCl)と糖(ブドウ糖、ショ糖など。)がどのように影響するかというものでした。1年生でしたが、いろいろと考えて、きちんとプレゼンをしていたのには感心しました。花粉の発芽培地には、ホウ素(B)を入れるのが、必須のようでしたのでそうしたコメントをしておきました。次回の発表での発展が楽しみです。

 11/21には、10名近い生徒さんと担当の小松原先生で、研究室見学といくつかの実験でいらっしゃいます。そのときに、実験の相談など、また、議論できることを楽しみにしております。


わたなべしるす

PS. 本日、受講された生徒さんのコメントをまとめたfileを担当の小松原先生から頂きました。80名近い生徒さんですので、感じ方も様々だったようですが、サイエンスの講義を楽しんだという生徒さん、キャリア教育が自分の進路を決める上で役に立ったという方、研究者になりたい、遺伝学を学習したい、自家不和合性に興味を持った、農学部・植物・食の大切さを理解したなど、多様なコメントと頂きました。

講義をしたことが、様々な形で刺激になったことを確認でき、渡辺としても幸いでした。とても良い1日でした。コメントをくれた生徒の皆さん、ありがとうございました。また、どこかでお会いしましょう。(11/25)

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