東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

今治市立日吉小学校での出前講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(10/5)

2009年10月 6日 (火)

 一昨年から始めた、今治市内の小学校での「出前講義」も今年で3年目。日吉小学校では、春に「アブラナの交配」を指導し、校庭には、キャベツを始め、多くのアブラナ科植物が栽培されていました。キャベツとブロッコリーの雑種ができるのも、近いのではと感じました。

 5, 6年生、51名に、校長、教頭先生を始め、6名の先生方も参加頂き、体育館で講義を行いました。四国という温暖な地であることもあり、「リンゴの花」を知っている生徒さんは少なく、でも、「ミカンの花」は見たことがある生徒さんが多かったのは、さすがと思いました。しかしながら、普通の花は色が違うだけで、「バラの花」もわからなかったのは、少々残念でした。

 今回の出前講義は、「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」ということで、リンゴをモデルとして、花が咲き、受粉、受精して、リンゴができる。その過程には、花粉管が伸びる、自家不和合性という、花粉の自他識別があるという、植物のダイナミクスを、話しました。花粉管が伸びたり、自家不和合性反応が、柱頭の表面で起きると、「へーーー!」という歓声がおきました。最初の花とリンゴの対応関係を考えてもらって、花が咲いている状態とリンゴが逆さまになっているのを気がついてもらえたのは、身の回りの不思議の大切さを感じてもらえたのではと思います。講義のあとには、10名を超える生徒さんから、とても純粋な発想の質問をたくさんもらいました。感想文が届くのが楽しみです。

 入り口の案内板、講義の垂れ幕、看板を作って頂いた先生方には、最後になりますが、感謝したいと思います。また、ぜひ、来年も講義ができればと思いますので。

 キャベツとブロッコリーの雑種を作ること、ぜひ、がんばってください。


わたなべしるす

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愛媛県立松山南高校でのSSH特別実験「ダイコンの栽培と遺伝的多様性」(10/2)

2009年10月 4日 (日)

 SSH九州地区発信の「ダイコン多様性プロジェクト」が採択され、その指導委員を務めることから、第1回目の特別実験を、松山南高校で行いました。夏に錦江湾高校が主催して、講義、実験を行いましたが、それがどこまで浸透しているのか、また、どの程度実験が進んでいるかを、視察し、指導するということでした。

 松山南高校では、すでにアブラナ科植物のBrassica oleraceaを材料として、キャベツとブロッコリー、ケールなどで雑種をこの春に作製しており、秋には両親とF1雑種を栽培する計画をし、着々と準備をしていたのは、田中先生の指導、生徒さんたちの努力のたまものと思いました。さらに、今後の両親とF1について、どのような形態観察をすることが、鍵となるかを議論できたのは、とても有効でした。

 一方、ダイコンについては、発芽させて間もない、種子を冷蔵庫で低温処理し、春化処理を行っていました。多少、徒長気味の発芽種子をうまくポットに植えるのか、また、そのあとの栽培をどうするのか、等を指導しました。10種類を超える品種を処理し、これから1ヶ月栽培することで、開花することが期待され、この冬が来る前にF1種子がとれることが期待されました。このあたりは、他の高校よりも1年早く、交配実験をやっていたことが、大きく力になったのではないでしょうか。ぜひ、この促成栽培を生かして、来春には、F1個体の開花をさせてもらいたいと思いました。

 1, 2年生が協力して、研究を発展させている感じがとてもすばらしいことだと感じさせられた1日でした。12月のコンソーシアムでの発表が楽しみです。


わたなべしるす

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愛媛県立松山南高校・文化祭・文化講演会での特別講義(10/2)

2009年10月 2日 (金)

10/2に、愛媛県立松山南高校の文化祭での行事の一環として、文化講演会が行われ、特別講義の講師として、招待されました。このような栄えある講師にして頂いたのも、昨年のSSH特別講義がきっかけでした。演題は、「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性--花粉と雌しべの細胞間コミュニケーションとその分子機構--」とし、植物の花、生殖、自家不和合性、遺伝的多様性の重要性をお話ししました。今年が、Darwin年といわれて、様々なJournalにDarwin関連の特集号、論文が掲載されており、自家不和合性という形質も、Darwinの晩年の著書の中で、事細かく書かれていたことは、有名な話です。

高校の文化祭の一環ということで、聴衆はなんと、全校生徒教職員の方々。あわせて、1,200名弱。今まで、数多くの出前講義を行ってきましたが、2桁、3桁の聴衆という講義はありましたが、4桁は初めて、最初は圧倒されるものがありましたが、1.5hrほどの講演も、無事終えることができました。この1,000名を超える聴衆の前でお話をするという経験は、今後の様々発表の場で生かされるのではと、実感しました。

講演をして感じたことは、日本中どこでもそうかもしれませんが、身の回りにある野菜は知っていても、その花は見たことない。花から、どのようにして、野菜ができるのか、想像したこともない。キャベツを食べながら、その花を考える人はいないかもしれないですが、その花はといわれて、知っている人が珍しいということが、果たして、よいというのか、この程度が普通なのか。意見は分かれるところかもしれないですが、「生物」という教科で、動物から比べて、植物は形態、分子機能など様々な面で、教えられてないことが多いのかもしれません。昔は、知らなくても、田舎の畑で自然に見て覚えたのかもしれませんが。。いずれ、食糧は国家戦略上重要であることは、歴史を振り返れば、よくわかることで、その食糧のことを考えることをできる人材を少しでも多く育成することが重要であろうと考えさせられた1日でもありました。


わたなべしるす


PS. 10/20に松山南高等学校のHPに、本公演会のことが記されていました。合わせて、ご覧ください。
http://matsuyamaminami-h.esnet.ed.jp/topics-top.html

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仙台市立七北田小学校でのNSP特別講義「ヘチマとそのなかまたち--実は、たくさんの仲間がいます--」(9/17)

2009年9月18日 (金)

 今年で2年目となる七北田小学校・NSPで、特別講義「ヘチマとそのなかまたち--実は、たくさんの仲間がいます--」を行いました。今までのNSP・特別講義は、5, 6年生で行っていたのを、今年から4年生にも拡大したものです。自分が4年生の頃に何を習ったのか、あまり記憶がありませんが、ヘチマを育てたのは覚えています。30年以上たたっても、同じヘチマが材料に使われているのを見たとき、驚きと不思議さを感じました。進歩がないのか、ヘチマが優れているのか。たぶん、ヘチマが優れているのでしょう。きっと。

講義では、ヘチマの種播きから、生長、開花、結実というところを講義しましたが、今までにもたくさんの花について、学習していても、ヘチマのように、雄花、雌花に分かれているのは、初めてのようで、それが不思議そうな生徒さんもいました。講義は発展し、ヘチマの仲間ということで、ウリ科の身の回りで見かける植物、作物である、ゴーヤ、メロン、スイカ、キュウリ、カボチャについて、発芽から、花までをクイズ形式で、答えてもらいましたが、とてもよく知っているというか、見ているのだなと、感心させられました。講義の最後には、質問も多くもらい、渡辺が知らないような植物を作っている生徒さんもいました。

講義のあとには、恒例になりつつある、教室巡りで、「3min間質問コーナー」をしましたが、とても元気よく質問をしてくれたのは、頼もしかったです。

今年のNSPはこれで終わりで、来年、2月に今度は、6年生対象に「環境と植物」ということでお話しします。それから、11月には、科学クラブで、バナナからDNAをとろう!!という企画を行うことになりました。これも楽しみです。


わたなべしるす

PS. 七北田小学校のHPに、理科の井上先生が日記を記してくれてあります。併せて、ご覧ください。
http://www2.sendai-c.ed.jp/~nanashou/ppblog/pp_blog/index.php?UID=1253182179

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仙台市立七北田小学校でのNSP特別講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」(9/15)

2009年9月16日 (水)

 今年で2年目となる七北田小学校・NSPで、特別講義「「花の不思議な世界」--りんごの花からリンゴができるまで??--」を行いました。リンゴをモデルにして、花が咲き、受粉、受精、果実形成という過程を講義し、植物の自他識別機構である自家不和合性もお話ししました。花粉管が伸びる様子や、自家不和合性が起きる現象を、動画で見てもらいましたが、とても興味深そうに歓声を上げていました。植物が自分と他人を識別できるというのが、いかにも不思議そうでしたが、近親交配をしないと言うことを説明したら、「植物の法律なんだ!!」という子供さんがいて、なるほどと、こちらが感心させられました。

 いつもなら、2hrフルに講義をするのですが、今回は、理科担当の井上先生発案で、最後の15min程度を各教室に伺い、そこで、3min間の特別質問コーナーをつくっていただき、とてもたくさんの質問が出て、科学・植物に興味がとてもあることが分かり、将来の科学者の種ができつつあることが楽しくなりました。

 明日は、同じくNSPで初めての試みとして、4年生に講義をします。ヘチマを例にして、ウリ科の植物のいろいろなことをお話しします。これまた、楽しみです。


わたなべしるす

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