東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

もったいない。。。。(5/21)

2011年5月21日 (土)

 3/11の大震災以来、いろいろなことが変わっている。節電、節電などがそうかもしれない。テレビを見ていると、冷蔵庫の中は、きれいにしましょう。というか、冷気を多く保つために、余裕を持ってと言うことだろうと。

 渡辺自身、小学校の時には周りが田んぼと畑の通学路を毎日往復、4kmを歩いていました。典型的な田舎です。そんな昭和40年代ですから、また田舎ですから、ご飯を残すのはもったいないと。。お百姓さんに申し訳ないとか。。。。そんな風に育てられたというか、そんな環境でしたので、少々、賞味期限が切れても。という感じです。

DSCN3147.JPG 冷凍庫をふとあけると、ケーキが。。。。あれ・・・・・。いつのだろうと、自分自身でも分からなくなっていましたが、学生さんたちに聞いてみたところ、以前に研究室で、実験補助をしていただいていた、今高さんの送別会をしたときのだろうと。。。。震災を挟んでいなければ、ずっと冷凍保存ですが。。そういえば、停電が。。一度、解凍されたことに気がつきましたが、解凍されたときには、十分寒い日でしたし。誰かがあけたわけではないと言うことで。誰かのためにとってあったのだと思いましたが、頂きました。ごちそうさまでした。頂いてから、34hr近くたちますが、特に症状が出ることもなく。このケーキを闇に葬るのは、もったいないと。。

 で、ついつい、いろいろなものをもったいないと、とっていると収拾がつかなくなるのも事実。そんなときのためではないでしょうが、師匠の日向先生が、この様な言葉を。「育種屋さんは、捨てるのが仕事だと。。。」品種改良をするために、世代を進めていくと、必然的に系統、種子の数は増えるわけです。いつまでもとっておくと、収拾がつかない。だから、捨てるのが大事と。なるほど。。もちろん、遺伝資源は、重要ですが。。


 わたなべしるす


 PS. 以前にも書いた記憶がありますが、昨年、出前講義に伺った、香川県立観音寺第一高等学校がSSHに採択され、そこの運営指導委員を仰せつかりました。同様に、2005年3月まで住んでいた盛岡市内の岩手県立盛岡第三高等学校もSSHに採択され、そこの運営指導委員を仰せつかりました。ありがたいお話しです。両校の活動がより、活発になるようにサポートできればと思いますし、出前講義等に伺えればと思います。

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【出前授業】宮城県仙台第三高等学校SSH「理数科の日」発表会・コメンテーター(5/17)

2011年5月18日 (水)

 2年目を迎えた、宮城県仙台第三高等学校SSHの運営指導委員を仰せつかっていることもあり、発表会での質疑、講評などを担当しました。時間の関係で午後からだけの出席となりました。高校は最近、新しく立て直したこともあり、以前SSHで伺った福島高校から比べると、大きな被害がなかったのは、不幸中の幸いだったのかもしれません。

DSCN0503.JPG プレゼンでは、様々な分野を研究され、多様性に富んでいるのはよいことだったと思います。一方で、何かの現象を見て、調べたり、シミュレーションをしたりすることをしていましたが、それが実際の現象とどのようにリンクしているのか、どの現象を模倣しているのかという点について、注意が払われてなかったのが、気になりました。そんなこともあり、ぜひ、植物を植えて、栽培して、その成長を観察するということをやられるのがよいのではと感じました。なかなか大きくならなかったり、あっという間に大きくなったり。という、不思議さにも気がつくと思いますので。

 最後のところで、講評をしましたが、SSHの科学力を正しい方向に使うこと、また、いろいろな科学を知るとこと、それは、毎日起きている、3/11の大地震の余震であったり、福島原発の経過であったり。そこで出てきた言葉をきちんと理解するだけでも、科学とのすりあわせができることだと思います。科学は科学だけで独り立ちしているわけではなく、社会との接点があって、科学だと思いますので。

 7/12には、講演会をお願いされております。それも楽しみになってきました。また、お会いしましょう。


 わたなべしるす

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3/11(金)、14:46から今日まで、その11(5/14)。

2011年5月14日 (土)

 前回のその10を記してから、10日あまりすぎ、3日前、3/11の大地震から、2ヶ月となった。慌ただしさに、14:46にlabでの黙祷を失念していた。亡くなられた方々に申し訳なく思い、また、理不尽に放置された作物、家畜のことを思い、深夜になってから黙祷した。仙台の町中は、それなりの人並みとなり、道路、空路、鉄路とも、完全復旧ではないため、時間的制限があるが、復旧しつつある。連休中には、たくさんのボランティアの方々もいらしていて、出張で仙台駅を通ると、スコップを持った方達とすれ違うこともあった。何ともうれしい限りであった。

DSCN0384.JPG 大学ももちろん、3/11からみれば、ずいぶんと改善されたところもあれば、そのままのところも残されている。以前にも記したが、震災後すぐの国際科学雑誌Natureにも、東北大がでたことがあり、毎週のように、地震、福島原発が取り上げられていたが、今週のNatureにはなかったような。落ち着いたのかと思っていたが、3/12のニュースでは「メルトダウン」とか。。。まだまだ時間がかかりそうであり、放射能アレルギーのものにとっては、しばらく神経戦が続きそうである。。。。

 大地震が起きたことは仕方ないとしても、それに連動したことで起きた様々な事象について、どこまでを当事者が考えるのだろうか、また、自己責任なのだろうか。地震で起きた本棚の復旧は、自分たち、あるいはボランティアで可能かも知れない。では、もっと高次元のこと。研究室のある建物等、当事者ではどうしようもないこともある。先の放置された農作物は逃げることはできない。当事者はすでに2ヶ月もたち、限界に近いところまで考えていると思う。もう少し大所からのご支援というのはないのかと、ふと考える。

 この様に大学の中にも大きな被害地と小さな被害地が混在する。そうしたとき、被災者なのか、助ける方の側なのか、その当たりもはっきりしないというか、臨機応変な対応が必要なのだろう。実験をやっていても、助けることもあれば、助けてもらうこともある。持ちつ持たれつでなければ、共同研究も成立しない。共同研究のようなことを考えると、もう少し手伝えることがあるのかも知れない。というか、ぜひ、そうしたい。

 今回の震災では新しい試みとか、超法規的措置で迅速に様々なことが進展している。新しい試みとして評価されているのは、Twitterのようなつぶやきが、津波の被害から逃げられたり、食糧が届いたり。そんなことが放射線による汚染が分かるような仕組みもそうした活動で見えるようになっているURLがあるとか。またそれらを再解析したURLとか。何より迅速にものが見えてくるのは、ありがたい。ただ、こうした評価されたこともあれば、依然として、新しい試みが評価されないままということも多くあるのではないだろうか。様々な外圧でずっと後になってから評価するのではなく、萌芽的な段階での評価というのはできないのだろうかと、考え込むこともある。そうしたら、もう少し世の中が変わっていたのだろうと。。。。

DSCN0499.JPG 気がついたら、5月も半ば。大学が始まったのが連休明けと言うこともあり、どうも頭の中のカレンダーは、1ヶ月遅れの感がある。なんとか、直る方法はないのだろうか。。

 
 わたなべしるす

 PS. あと1ヶ月ほどしたら、研究科のオープンラボとなった。別ページに詳細があるが、また今年も多くの方にきて頂き、新しいメンバーと新しい実験を構築できればと思います。


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【お知らせ】PCP表紙コンテスト 結果発表(5/12)

2011年5月12日 (木)

 2/19のHPで、第52回日本植物生理学会年会での、PCP企画「Cover Design Contest」他についてのお知らせをしました。残念ながら、3/11の東北関東大震災により、当日開催される予定の2つのPCP企画は開催できませんでしたが、PCP表紙コンテストは、on-lineでの投票を集計することで、結果が先日公表されました。

 みなさまが予想されていたものか、それともそうでないものか。お時間のある方はぜひ、結果のHPをご覧下さい。また、投票いただきましたみなさまにこの場を借りてお礼申し上げます。

DSCN1740.JPG PCPのeditorもあと半年ちょっと、少しでも良い論文が掲載され、高く評価されるよう、努力したいと思います。


 わたなべしるす

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【出前講義】福島県立福島高校・SSH「アブラナ科植物を利用した研究指導」(5/10)

2011年5月12日 (木)

 連休も明け、通常であれば、出前講義、科学者の卵の活動という、「アウトリーチ活動」もあちこち始まっているところですが、3/11の大地震があったこともあり、スタートがかなり遅くなりましたが、ようやく、あちこちからの依頼も始まりました。来月には、新しいSSH校の運営指導員も仰せつかり、また、新しい発展が楽しみです。

 なんと言っても、アブラナ科植物はこの時期が開花と言うこともあり、遺伝学の交配実験、形態観察のポイントなど、実際の植物が植えてある、プランタ、畑を観察しました。100個体を超える植物を管理している生徒さんも、震災直後に、学校が休みとなり、しばらく観察しないと、あっという間に抽苔して、開花していたことに驚いていました。地震がなく、福島原発の影響がなければ、毎日観察して、どの様に抽苔するかをみることができる大切な時期を逃したことを残念がっていたのが、とても印象的でした。それまで手塩にかけて育ててきた、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなどが、ちょっとみない間にこんなになるとはと。それくらい大事に思って栽培してくれていた生徒さんがいたことを感動するとともに、ぜひ、SSHの活動でその思いを発展させ、遺伝学実験、形態観察などを行ってもらえればと思います。前回の4/12の訪問時には、新幹線もなく、在来線での福島へと言うことで、時間もかかりましたが、新幹線も開通しました。ぜひ、東北大での実験、研究指導での訪問も継続したいと思います。なにより、地震、放射能という大きな被災地ですから。

DSCN0227.JPG 以前にもこのHPで記したように、アブラナ科植物には、セシウムを吸収する能力が高く注目されています。そうした話にもなり、今回のことが放射性セシウム137のことを研究するというか、放射能、放射線と言うことを今まで以上にSSHの活動として、考えることができるのだと痛感しました。

 ただ、今回の活動を通して感じたこととして、放射性物質はいわゆる、「管理区域」という閉鎖された部屋の中で使い、その外では一定以下になると言うのが、RIを利用することだったような。つまり、現状では、部屋の中が管理区域外になっていて、外が管理区域という逆さまというか、何とも不思議な状況でした。と言うか、こんなことが、放射性物質の取り扱いという点から、法律上、問題はないのでしょうか。RI取扱主任者でれば、分かることなのでしょうか。少し調べないといけないと。。。。

 科学者の卵の受講生の方々ともお会いでき、この3月にできなかった「発表会」のことを残念がっていましたが、夏休みに開講されると言うこと、表彰状などは、すでに受講生のところに届いていると言うことで、その点を喜んでいただいたのは、こちらもうれしい限りでした。また、何より、今年のこうした状況で、「科学者の卵」があるんだと言うことが励みになっているのを感じ取れたのは、うれしい限りでした。

 今後もよりよい連携ができ、アブラナ科植物を利用した研究指導だけでなく、それをベースとした、生物学、科学、物理学との融合の研究を発展させることができればと思った次第です。

 最後になりましたが、様々な面でお世話になり、また、研究状況のお話を頂いた、福島高校・橋爪先生、原先生、秦先生をはじめとする多くの先生方にこの場を借りて感謝します。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 新幹線からの風景では、宮城、福島県内でも、水田を作り、田植えの準備が進んでいたのは、ほっとする風景ですが、これを記している5/11には、神奈川県の「お茶」から、基準値以上の放射性セシウムが検出されたとか。そんな遠い場所でと思うと、宮城、福島のことが心配になるのは、農学部を卒業したものだからでしょうか。。。

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