東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

【出前お手伝い(ボランティア)】宮城県立古川農業試験場での水稲播種のお手伝いと現状視察(4/18-20)

2011年4月21日 (木)

 大震災は多方面に影響を与えています。もちろん、大学の実験1つをとってもそうですし、大きく被災された方々は、まだ、電気、ガス、水道も来てないところも、宮城県内にはまだ多くあります。そうしたところに、県庁の職員の方々が多く行かれていることを伺いました。もちろん、日本中から多くのボランティアの方々も。

 そんなことで、渡辺の研究室で普段お世話になっていた「宮城県立古川農業試験場」の方々も、もちろん、地震で内陸部ですが、被害を受けた方々もいますし、さらに、試験研究をする方々が、被災現場の運営にあたっておられて、これから、東北地方の食糧資源である「イネ」の品種改良が滞ることは、直近の被害を受けた地域のボランティアということとレベルが違うにしても、問題であり、大事なことだと思いました。では、そんなときにlabとして何ができるかと言うことで、イネの苗床への播種のお手伝い(これを、ボランティアということが可能か、その当たりはよく分かりませんが。。。)に伺いました。月、火はlabメンバーとアルバイトさんの6名で、最終日は渡辺も。

DSCN5402.JPG これまでアブラナの播種はよくしていましたが、イネの苗床への播種となると。。。。系統化されたり、収量検定試験にいくようなものなど、様々な育種母本というか、育種過程を見ることができたのは、ある意味、良い刺激になりました。ただ、ここ数日、最低気温が、1.1oCになるという、冬のような天気で。。。これはこたえました。この活動が、10年後の東北食糧基地を支えてくれるだろうと、楽しみになってきました。また、田植えの時にもお手伝いできればと思います。様々なことが偏ることなく、復興していくことが大切なのだと、実感できた経験でした。

 最後になりましたが、お世話になりました、宮城県立古川農業試験場の永野部長、早坂研究員、遠藤研究員をはじめとする多くの方々に、感謝します。また、伺いたいと。

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 わたなべしるす


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【出前講義】仙台市立木町通小学校・七北田小学校での年間出前講義打合せと学校の現状視察(4/15)

2011年4月16日 (土)

 大震災のあとと新年度で、「出前講義」として最初に伺ったのは、今週の初めの福島県立福島高校でした。その第2弾として、仙台市内の2つの小学校に、今年1年間の出前講義の打合せに伺いました。仙台市立七北田小学校はこれまで、NSP (Nanakita Science Project)と言うことで、数年にわたって継続しております。仙台市立木町通小学校は、昨年仙台市との提携の出前講義で伺い、校長先生をはじめとする先生方に高く評価をいただき、今年度は年間を通じて、出前講義に発展しました。

 今回の震災で大きな被害が出ているのは、津波による沿岸部の被害ですが、内陸にも、建物が壊れるなど、実際にいろいろとたいへんと言うことが分かってきました。七北田小学校では、隣にある七北田中学校が今回の震災で、校舎が全く使えないので、1, 2年生は、七北田小学校の教室を借りて、授業を行うそうです。もちろん、修理が終わるまでですが。。。それでも、夏頃までかかるとか。確かに、仙台市地下鉄も、台原駅から北側がまだ、不通の状態です。当日の搖れはかなりひどかったようで、理科室では授業はなかったようですが、ガラス器具類が飛んだり、かっていたメダカの水槽の水がこぼれたり。校舎も継ぎ目や、至る所にひびが見受けられました。ただ、理科の先生が言われていたのは、「メダカは、地震が理解できるのか、ちゃんと水の下の方に隠れてと言うか、こぼれた水には、メダカはいなかった。」そうです。これは、さすが、動物の本能と驚きました。

 木町通小学校は、研究室のある片平地区から、2km弱のところの町中の小学校です。5-10年前に立て直したこともあり、見た限りは大きな被害があるような様子はありませんでした。昨年度は、2回の出前講義でしたが、4-6年生に年間で5回程度の出前講義と植物、イネ・キャベツのような作物の栽培を継続的に指導すると言うことになりました。大学から近いというのが何よりです。

DSCN0016.JPG どちらの小学校も、地震の時間が授業中でもあったので、子供さん達は机の下に隠れたりして、安全だったと。でも、それ以来、地震が怖い子供さんもたくさんいるようです。もちろん、地震の被害を大きく受けた沿岸部の子供達はたいへんですが、市内のどの子供さん達も「心の傷」を大きく受けたのだと。そうしたことを、この出前講義ですこしでも、その傷が修復してくれたらと実感しました。昨年度は、60-80件ほど出前講義をしましたが、さらに多くの子供さんのところに行けるようにと、痛感した打合せでした。

 お忙しい中、打合せの時間を調整いただいた先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 2つ小学校のどちらにも花壇の葉ボタンが抽だいして、もう少しで花が咲きそうでした。少しずつ、子供さん達の心が和やかになるように、花が役に立てばと。。

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【更新】日本サイエンスビジュアリゼージョン研究会(JSSV)のバナーを追加(4/15)

2011年4月15日 (金)

 これまで、日本植物生理学会仙台年会関連のバナーを出しておりましたが、終了したこともあり、その代わりに、渡辺も参加している「日本サイエンスビジュアリゼージョン研究会(JSSV)」のバナーに更新しました。多くのみなさまはご存じと思いますが、昨年の12/9に神戸で開催されたBMB2010で行われた発表のプレゼンシートなどもdownloadできます。

 震災関連ニュースばかりで、落ち込みがちなHPですが、こうしたニュースも少しずつ多くしたいと思います。

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 わたなべしるす

 PS. 放射能汚染水、土壌の金属を様々な方法で除去することが提案されつつあるようである。チェルノブイリでは、ひまわりが効果的だったと。植物では。様々な植物への検討も必要なのかもしれない。

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3/11(金)、14:46から今日まで、その8(4/14)。

2011年4月14日 (木)

 その7を記してから、M7規模の余震があったりしましたが、1つだけ良いことがありました。地震関係で。緊急地震速報というのがあります。今では、携帯でもお知らせがあるとか。もちろん、大学というか、研究科でもそうしたサービスがありますが、何故か、最初の3/11の大地震4/11の夕方の地震でも、結構揺れましたが、というか、大きな地震でしたが、警報がありませんでした。ところが。。。きょうの地震では2回警報がありましたが、そのうち1回は、20秒前から、カウントダウンが始まり、机の下に隠れたり、テレビをつけて、周りがどうかなど、判断する時間がありました。こうしたことが現時点では、多少、空振りがあっても、機能してくれることは、毎日の心の支えになります。迅速に対応頂いた、生命科学研究科の事務の方々に感謝します。

 あと、今回の震災で結構ひどいのが、床の汚れ。化学系のような危ない薬品はありませんが、細胞を染色したり、DNAを調製したりするような薬品はあります。また、超純水のようなものも。3/11の地震の時、こうしたものが床にこぼれて、本、ノート、箱の紙類に水分として吸われ、床のシートの上に文字を残すような結果に。。。もちろん、本、箱の模様が写るわけです。。。。これが結構、消えないのです。4ヶ月ほど前に大掃除をしたときには、ワックスまでかけてきれいでした。というか、大地震の前まではきれいでした。それらをどうやれば、きれいになるのか。前回も書きましたが、全体は、それなりの見てくれになりましたが、細かなところは、まだまだ、砂埃が残っていたり。これは、植物を育てる関係でのものですが。

 種子貯蔵庫にぶちまけられていたシリカゲルのたぐいも、学生さん、アルバイトさんたちが、かなりきれいに片付けてくれました。寒い低温室の中での作業に感謝します。ありがとうございました。低温と言えば、研究室も暖房がありませんが、朝の寒さをのぞけば、なんとか普通の格好で過ごせるくらいまで、気温が上がってきたのは、何かを考えたり、やろうかと思えるレベルになったことだと思います。

 こうした作業のあとの乾杯は、やっぱり、レアものの「飲むヨーグルト」です。これも災害救援物資として頂いたものです。ありがとうございました。五臓六腑にしみこむとはこういうものだと。。。

DSCN5397.JPG これらの涙ぐましい活動をぶちこわしてくれたのは、余震と「INESレベル7」への格上げというニュースが昨日流れ、頭を抱えました。何かというと、福島原発の事故の規模というか。もちろん、理学部の方の計測dataがあり、それを見る限りは、平常値の2-2.5倍程度ですが、「5」が「7」というのは、精神的プレッシャーがありますね。どこかのHPでよんだのかもしれないですが、「目に見えない」と言うことが、気になるひとと、きにならない人がいるとか。確かにお化けは怖いですね。いまでも。。。。そんなことはさておき、このように、人間にも様々な影響するわけですが、植物にも影響が出るのかもしれません。植物が放射線を怖いと思っているかどうかを計るすべはありません。。。。。自家不和合性の表現型に即、影響が出てくるか分かりませんが、何らかの形で評価しておく必要はあると思いました。そのためにも、ガイガーカウンターか、それに類するもので、環境測定をしてみて、表現型をということになると思います。

 ここまでがんばれば、終わりというのがはっきりしていれば、自分自身と周りのスタッフ、学生さん、アルバイトの方々を、encourageできるわけですが。。どうにも先が見えてこないのが、何とかならないのか。。。。最近のコマーシャルでよく流れる、「日本人なら、がんばれる」というの文句を拝借して、「日本の科学力なら、これをなんとかできる」と思いたい毎日です。。。もちろん、研究室で行っている植物科学が出番になれば、最大限の協力を惜しみません。

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 わたなべしるす

 PS. もちろん、良い社会現象も。滑走路まで津波がきた仙台空港。今日から使えるようになりました。新幹線、飛行機が少しずつですが、つながりつつあります。もちろんかなり、限定的ですが。。。

 様々なメーカーさんがいらして、機器の点検をして頂けるのは、うれしい限りです。つないだ瞬間、ぼーーん!!!というのでは、怖かったのが、ほっとできます。これも精神衛生上良いことです。ありがとうございました。


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【出前講義】福島県立福島高校・SSH、科学者の卵の現状と今後について(4/12)

2011年4月12日 (火)

 大震災の前までに、昨年度の出前講義が終わっており、従来であれば、昨年度のうちに多くの出前講義をしている学校とは、次年度、つまり、今年度の打合せをするところだったのですが、こちらと出前講義をする学校とがどちらもパンク状態で、なかなかできない状態でした。先週、「科学者の卵」養成講座の安藤先生、久利先生、岩渕さんと年度末の報告書のことなどを話した折に、今年度の活動をする上で、やはり、高校の状況、それも、様々な面で被災を受けているところについての調査が必要となりました。そのとき、ちょうど、4/12が福島高校の登校日となっていたことから、諸先生方の都合もあり、渡辺が伺いました。併せて、SSHの講義もお引き受けしているので、その打合せと研究に使っているアブラナの生育具合などの調査でした。

DSCN5378.JPG 出張の予定が決まった時点では、JR東日本の新幹線はおろか、在来線も開通していなく、高速バスかと思いましたが、4/12から在来線が開通し、新幹線も本数は少ないですが、福島--東京間が開通しました。朝方に福島・茨城県今日あたりで大きな地震があったようで、その関係で途中止まることがありましたが、無事、福島に。

 福島高校は、全国ニュースに出たくらいの大きな被害を受けており、校舎が4棟あるうちの2棟が立ち入り禁止レベルではないにせよ、継続して使用には耐えないと。。。。それで、プレハブができるまで、体育館などを利用して、授業をするようです。また、理科の授業で重要となる「実験」ができないという問題を抱えておられました。それより大きい問題は、まだ交通機関の復旧が不十分であることから、市内ではなく、周辺の市町村からも来る方がいるようで、そうした周辺地域の復旧、環境によっても、また、問題が生じるのではと気になりました。

DSCN5396.JPG また、SSHのアブラナの栽培もされていましたが、危険な建物からでないと出入りできないような場所にあり、何ともかわいそうな状況でした。。。しかたありません。とても熱心に管理、観察をしていた生徒さんがいたのにと思うと、余計にでした。。。SSHの実験も近くの研究所、大学を使われると言っていましたが、新幹線が開通すれば、ぜひ、東北大をお使い下さいというような議論ができたこともうれしい限りでした。

DSCN5384.JPG 科学者の卵の方は、震災の翌日が発表会でしたが、中止となった関係で、なんとか夏に発表会をしてほしいというコメントも頂き、運営をしている側も、なんとかそれに向けて準備をしたいと思います。

 生徒さんたちはとても明るく振る舞ってくれて、がんばろうという力をもらいました。ただ、気になるのは、「放射線の空間線量」です。どこの数字を使うかにもよりますが、仙台の屋外での値で、0.1マイクロシーベルト/時というのに対して、福島では、1.9マイクロシーベルト/時になります。単純に言えば、19倍になります。報道などでは、至急の危険というか、健康被害というか、はないと言いますが、これを少し計算してみると。

 福島に3hrいると、5.7マイクロシーベルトになります。もちろん、建物の中なので、少し減衰するというデータがあり、20%の減衰率として、4.6マイクロシーベルト。仙台で外に居続けて、2日間かかる放射線量をたった、3hrで浴びることになる。。。実験をしていて、1 order違う、つまり、1桁違うと、それは大きな差があると言いますが、仙台で2日間が、福島の3hr、それも室内なら、少し低い値と言うことを換算しても。計算をするまでこんなにも大きな差があるとは思いませんでした。安全と言われても、では、この数字を見て、すぐに福島に居続けることができるかと言われたら、言葉に窮するような気がしました。。。。何とかならないものかと思いました。ほんとうに。。。。個人の力ではどうしようもなく、もっと大きな上の方の力がぜひ必要であると痛感しました。なにとぞ、よろしくお願いします。

 SSHのサポート、科学者の卵の復活が、生徒さんたちにエネルギーを与えることができことなのかもしれないと、痛感した意見交換でした。また、そうした生徒さんの明るい笑顔がこちらのエネルギーでもありました。今日1日お世話になった、橋爪先生をはじめとする関係の先生方、生徒さんたちに感謝したいと思います。ありがとうございました。いつでも研究室の方にきて、実験などして下さい。バナナからDNAを単離する実験をするのは、いつでもサポートできます。もちろん、他の実験も。お待ちしております。

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 わたなべしるす

 PS. 福島高校の校内に震度計が設置され、観測をされている大学の研究機関を見かけました。この観測が次の地震に耐える建物設計に活かされるだろうことを、期待しつつ。。という感じで拝見しました。

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 研究室では、アルバイトをしてくれている方もいらしてくれました。震災以来、初めてです。やっぱり、たくさんの声がして、みんなで復旧という感じが出て、元気をもらえます。ありがとうございました。

 それから、館内放送で流れる、「緊急地震速報」が、初めて正しく反応してくれました。3/11も反応がなく4/11の余震でも反応がなく、困っていました。多少の空振りはあっても、来ることが予想されるのは、こちらの防衛体制がとれるので、何よりです。ありがとうございました。






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