東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

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研究室ダイアリー

2012年度を振り返って。。(3/29)

2013年3月29日 (金)

 明日、明後日が、ちょうど、土日となることから、少し早いですが、2012年度を振り返ることにしたいと思います。2011.3.11があった2011年度の翌年度。昨年度の同じ頃の記事にも書きましたが、昨年度中にほぼ復旧し、震災前とほぼ同じ形で実験ができるようになったと思います。ただ、震災で解凍してしまい、使えなくなったサンプルなどもあり、本格的な再スタートの年度になったと言わざるを得ないかもしれません。

DSCN5796.JPG 研究面では、Ito-Inaba et al. 2012, Watanabe et al. 2012という2つの論文だったのが、。。もう少し何とかできたというか、そうしたものもあったと。。。ぜひ、2013年度には、そうしたものの遅れを取り戻して、論文発表を行いたいと思います。研究面として、2つの受賞(日本育種学会・第122回講演会優秀発表賞, 第20回日本育種学会中部地区談話会・優秀発表賞)があったのは、これからの論文発表に大きな弾みがついたと思っています。

 教育面では、2名のM1を4月にお迎えして、3月には3名のM2の方が無事、修士課程を修了できました。3名の方々は、それぞれ、出身大学も異なり、得意とするfieldも異なっていましたが、いろいろな面で協力して、国際会議で発表したり、何より感動というか、すごいと思ったのは、卒業式をパスしてもよいので、学会発表をという気概。このことを糧にして、それぞれの道でがんばって下さい。もちろん、こちらが何か協力できることがあれば、いつでもwelcomeですので。大きく成長してくれるのを楽しみにしています。また、うちの研究室の特色でもある、学生アルバイトさんとのコラボ。4名(最初は、5名)の新しい学生アルバイトさんも4月から来てくれ、実験、研究がスムーズに進むように、うちの学生さんとコラボしてもらえたと。下の学年の方々に実験を教えるということによって、自分自身もよりしっかりとした自覚を持つことができると思いますので。それから、文章を書くと言うことには、少しずつですが、力点を。HPからの学生さんからの記事も少しずつ増えたのではと思います。学生時代には、文章を書くことは苦手でも、社会人になれば、起案書から始まり、様々な書類を書きます。その点では、研究室にいる間に、少しでも、文章を書くことに親しむシステムをと思った次第です。

DSCN5805.JPG 社会貢献ということでは、今年度のアウトリーチ活動は135件。講義等を行った人数は正確に把握できておりません。件数が件数だけに、毎回の参加者を記録することもできず。その代わりといっては変かもしれないですが、出前講義のレポート・感想をいただいた児童・生徒の皆さんには全て返事を書きました。その総数は、6,100通になりました。レポート・感想のないような基調講演のようなもの、PTA、保護者向けなども多数ありましたので、参加者総数は、8,000人近いものがあるのではと推計しています。こちらからの手紙がこれからの学習、普段の生活の励みになれば、幸いです。また、ここに実数として出すことはできませんが、出前講義等に伺ったあとに、mailでの質問なども多数ありました。主に高校生ですが。そうした方々とのやりとりもありました。こうした活動の中でも、不思議なヒトのつながりがたくさんありました。世の中が狭いというか、不思議なことです。それから、4月~12月に8回の愛媛新聞日曜版コラム・道標も、無事何とか終わることができました。連載ものを持つことの大変さというのを、この年で理解することができたのも、これからの様々な活動に活かすことができるのではと思っております。

 先日も記事があったと思いますが、研究室ができた2005年の11月から技術補佐員として、研究室内の様々なことに貢献頂きました、宮野さんがこの3月で離職されることになりました。研究室内でのどの様な事柄であっても、研究室の発展に寄与して頂ける方々、もちろん、全ての方々ですが、そうした方々を、「重要な戦力」と思っておりましたので、。。(とある、映画の台詞をもじったもので、申し訳ありません。。。)。ということで、研究室を運営する上での本当の基礎基盤の部分を支えて頂いておりましたことから、余人を持って代えがたい人材でした。ご事情によりということで、断腸の思いで、。。。本当にこれまでの7年半、ありがとうございました。これまで基礎基盤をつくって頂いた7年間のものを、さらに発展させていくことが、残されたものの使命と思って、精進したいと思います。本当にありがとうございました。

DSCN5808.JPG 最後になりましたが、今年度も皆様、ありがとうございました。次年度もよろしくお願いします。


 わたなべしるす

 PS. 仙台はやっぱり、この冬は寒かったようです。きのうが、ウメの開花だったとか。。。愛媛の頃には、お正月には咲いていたのを見たような。。。一方、ソメイヨシノは、来月の10日頃にはとか。。。余りに縮まっているのは、寂しいです。花は順番にゆっくりとと思いますが。。。このところの暖かさのおかげでしょうか。。。

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お世話になった皆さまへ

2013年3月27日 (水)

事務補助の宮野です。
私事ですが、3月末をもちまして退職することとなりました。

今日は勤務最終日で、花束と色紙をいただき、
帰宅して早速飾りました。

色紙の寄せ書きというのは、学生さん(~児童)の文化なような気がします。
渡辺研でもマメに色紙を用意し、ラボメンバーの門出をお祝いする様子を、幾度となく目にしてきました。
華やかな色合いや、個性的な手書きの文字。
私宛に色紙をいただく機会は、これが最後のように思います。
お忙しい中ありがとうございました。

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渡辺先生をはじめ、多くの方々にお助けいただきながら何とかやってきた7年でした。
7年・・・。7年?。
一瞬に感じるのは歳のせいなんでしょうかね。恐ろしいことです。

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末筆になりましたが、
新しい領域にチャレンジし続ける渡辺グループの益々のご発展と、
皆さまのご活躍とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

長い間お世話になり、誠にありがとうございました。
宮野
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(フルセイルコーヒー一番町)







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ゲノム研究の広がり

2013年3月27日 (水)

この時期は例年学会ラッシュのため,色々な学会の定例大会が開催されています.
私も先週22日(金)に小集会のみですが,古巣の園芸学会に参加してきました.
場所は新宿からJRでおよそ30分,ほどよく都会から離れた東京農工大小金井キャンパス
でした.

そしてニュースでも報道されているように,東京は桜がちょうど満開でした! 
気温も暖かく,絶好のお花見日和だったと思います.
大学構内の桜も満開.沈丁花もちょうど咲いていて,よい香りに癒されました.

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さて,参加した小集会は「次世代の園芸研究を見据えた先端ゲノム研究」と題され,
異なる専門分野の方々がそれぞれの視点でゲノム研究を語る会でした.
第一回でしたが参加者は50人以上いたんじゃないかと思います.

園芸学は言葉通り,園芸作物全般(野菜,果樹,花卉)を対象にした研究分野です.
私も学生時代からユリを対象に遺伝学,生理学,生態学などの面から研究を行っていました.
ただ,園芸作物は種類そのものが多いため,どうしても密度濃く研究を進めることが難しく,
他分野とは違って個々の研究スピードは必ずしも速いとはいえません.
また,基礎研究よりも農業への実用化を念頭に置いた研究を行う傾向が強い分野です.
そのためなのか,ゲノム研究もようやく始まりつつある,というのが現状です.

今回の話題もどちらかというと,ゲノム研究に関する最先端情報を駆使するというより,
基本的な部分を応用して農業に役立てるための手法に関する内容が主でした.
今のところ園芸分野で最もゲノム情報が活用しやすいのは,客観的評価のしやすい病理関係
であり,品質や外観に対しては,ゲノム情報を活用するよりも自分の目で見て選抜育種する
ほうが効率的でかつ優れている場合が多いそうです.
花色に関する育種などは育種家個人のセンスも問われますからね.
園芸業界においてはまだまだ人間による評価は欠かせないようです.

ゲノム研究で得られた知見をどう生かすかは,今後の課題であると思います.
同じ知見であっても見方によってその活用法は大きく変わります.私もなるべく広く
多面的な視点を持ち続けたいと思います.

さか

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正規分布、常識、境界。。。(3/25)

2013年3月26日 (火)

 金曜日に東北大の後期入試の発表があった。土曜日の新聞には各県別の去年と今年の比較なども。出身の愛媛県からの合格者が多くなったのは、何の影響かは分からないが、同県人が、仙台に増えるというのはうれしい限りである。実験をしていると、1回の実験と言うことはあり得ない。何度も繰り返して実験をすることで、その実験系が示す値に近くなると言うか。多くの場合、正規分布をする。受験などの試験の成績も同様に正規分布をする。その正規分布することを使って、そのばらつき具合を計算して、よくいう「偏差値」というのを算出しているらしい。受験生の頃は、この偏差値に振り回されたような気がするが、実験、特に遺伝学の実験をしていると、平均値だけでなく、その実験がどの様に分布しているのか、散らばっているのか、それを「分散」というが。。。正規分布は、イメージ的には「やま」というか、「なみ」というか。そのような形である。左右に行くほど、その値を示す個体というか、そうしたものが少なくなる。。。もちろん、実験系によっては、「正規分布」ではなく、「ポアソン分布」とか、いろいろあったような気がするが、思い出せない。では、正規分布を超えるところに値はないのだろうか。数学が専門でないので、分からないが、常識の範囲内にいる限り、何かを超えて達成することは難しいのだろう。これまで誰しもがやってきたのは、誰も想像しない、常識破りなことを発想して、今までの進歩があったのであろう。

DSCN5793.JPG 常識というのは、普遍かもしれないが、そうでないことも多いような気がする。もちろん、こんなことはしてはいけないというのは変わらない。ただ、昔なら、そんなことも許された時代ということも事実である。学校の帰り道に、花をとって、蜜を吸って帰っていた。花をとって、花びらを数えながら、「すき、きらい」といいながら、むしっていたような。もちろん、田舎でである。それをするにしても、花を全部とったりはしない。加減という常識は心得ていたような気がする。その花とか、植物をとって、いろいろな体験をしているので、今があるように感じる。植物の見方、などなど。。常識といえば、この前に、大学の学部生と話をしていて、「半ドン」という言葉を知らなかった。土曜日の午前中だけ、学校がある。自分の頃は、常識であったが、週休二日になって、そんなこともなくなった。。知らない方が、常識なのかもしれない。ただ、昨今の「ゆとり教育」の揺り戻しか、土曜日の半ドンが復活しそうである。良い悪いというよりも、週5日制の方が、学校で指導される先生方には、ゆとりがなくなった。低学年から、6時間目とかいうのがあるらしい。高校になったら、8時間目とか。。。。土曜日のしわ寄せなのだろうか。あと、とある校長先生から聞いたことがある。土曜日の半ドンのあと、午後から、学年ごととか、教科ごとで、集まって、食事をしながら、話ができたと。また、ベテランが、若いのと一緒に食事をしながら、あれこれと指導もできたと。確かに、研究室でも、先輩と話をしたり、スポーツをしながらなど、半ドンがあった方が、ゆとりがあったように感じる。常識というのは、それまでに培われた様々ことを統合して、確立されたものであり、何かをまねするというのではなく、確固たる意味があったことを、その歴史的背景を踏まえて考え、行動しないといけないような気がする。

 植物には細胞壁というのがある。これが動物とは異なる。中学校だったか、高校の生物で習った。細胞壁とはなんぞや。といわれた時、結構説明するのはむつかしい。単なる、glucoseが1-4で、ねじれた(beta)形で、くっついたものでなくて、もっと複雑な構造らしい。遺伝学に興味の中心があるので、どうも構造体は苦手である。また、糖というのが、かなりの複雑性を生み出しているとも聞いたことがある。では、動物の細胞で、内と外の境界はといわれば。。たぶん、細胞膜というようにこたえることができるだろうが、植物では。。。外の空気との境を考えれば、細胞壁だが。。。。物の本によると、動物と同じで、細胞膜のところが境らしい。。。。としたとき、細胞の中を理解するのは、もちろん単純ではないが、外となると、複雑な構造体の細胞壁があり、その外側の空間は、さらに複雑である。というか、内部の機能を理解するには、遺伝子を破壊したり、顕微鏡を使ったり、いろいろな方法が考えられるが、外界となると、植物がどこまでを外界と考えているのかというところから、始まるのかもしれない。めしべの先端に花粉を運ぶ虫を考えると、虫はどこから来るのだろう。。。そんなことを考えると、まずは、細胞の中で何が起きているのか、という閉じられた空間を理解しつつ、外界を理解するのが近道なのだろうか。。。何か、画期的なことで、外界を区別できれば、もう少し理解しやすくなるような気がする。そのためにも、これまでの常識を超えたところから、植物とその周りを見る必要があるような気がした。

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 わたなべしるす

 PS. この3月に小学校を卒業した方が、卒業文集に「将来の夢は、渡辺教授のような科学者になることです。」とあったというのを、伺いました。出前講義をしていて、この様なことを書いていただけるとは。。。望外の喜びです。というか、うれしさで、おもわず。。。。でした。また、これからも、アウトリーチ活動をがんばろうという「元気」を頂きました。ありがとうございました。

 PS.のPS. 「土曜日は平日」というようなところもあるらしい。。。自分としては、自然なような気がするが。。。ただ、やっぱり、土曜日は土曜日。平日ではないような。。。もちろん、日曜日でもない。。そんな気がする。


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【研究室訪問】大阪府立大阪園芸高等学校、石川県立小松高等学校、来訪(3/26)

2013年3月26日 (火)

 前日が「ジュニア農芸化学会2013」。それに発表された、SSH実施校の大阪府立大阪園芸高等学校、石川県立小松高等学校の2校の高校生と指導されている先生とが、研究室を訪問頂きました。高校生が、学会で発表できるというのは、昔では考えられなかったことですが、最近では、他に、日本植物生理学会、日本分子生物学会でされているのを見たことがあります。あくまで、渡辺が参加している学会だけですが。。高校生が、大学の教員、院生から、コメントをもらえるというのは、とてもよいことではないかと思います。

 どちらもSSH実施校ですが、大阪府立大阪園芸高等学校とは、昨年の横浜での全国発表会でお会いして以来。石川県立小松高等学校には、今年度、3回ほど、お邪魔しました。また、コアSSHでも、鹿児島水沢でご一緒しました。最初に、研究室についてと言うことで、ちょうど、今年度で終了する、科研費・若手研究(S)の報告書がありましたので、それを元にこんなことを研究しているという、研究室の概要を説明したあと、実験室の方も見て頂きました。実験室、温室のせつめいは、院生の方々にお願いをして。普段使っているような実験器具よりは、少しグレードが違う機器があり、見たことないようなものもあったのではないでしょうか。あわせて、温室の方も見て頂き、。。園芸高校では、アブラナ科作物を、植木鉢での栽培というのは、不思議に思われたかもしれません。普通は、畑作をするものですから。。。研究をする時には、こうした系も使うというのもわかったのでは。アブラナの花のシーズン前でしたが、渡辺はアブラナの花粉症なのもあって。。。院生の方にお願いしました。

 今回は、生命科学研究科・生命素子機能分野(渡辺が知っている頃の名前は、農学部・食糧化学科・食品保蔵学研究室だったような。。。)にも、ご協力頂き、そちらの研究室も見学できるように、村本先生、永沼先生に手配頂きました。農芸化学会の学会運営で、お忙しい中、大学院生の方々が、labの中を案内してくれました。ありがとうございました。植物、遺伝学とは異なる、化学系の実験室を見ることができたのではと思います。

DSCN5820.JPG 午前中という短い時間だったかもしれないですが、普段見ないような、大学での研究の一端を見て、これからの課題研究、さらにその先の大学等を考えた時の参考になれば、幸いです。まだ、どこかでお会いすることがあればと思いますし、講義にうかがえればと思います。

 最後になりましたが、今日の実験、講義、研究室見学をお手伝い頂いた、研究室の大学院生、スタッフの方々に感謝します。ありがとうございました。今年度のアウトリーチ活動も無事終わることができました。ひとえに、研究室のスタッフ、院生の方々のおかげです。ありがとうございました。次年度もよろしくお願いします。


 わたなべしるす

 PS. 日本農芸化学会では、2013年度の参加証にIC-tagが入ったものだとか。。。国際会議のようです。。。結構びっくりしました。大きな学会のすごいところだなと。。

 PS.のPS. 今日の新聞にスーパーSSHとか、小学校の理科専科とか。これからの取組として、重要という言葉が踊っていました。昨年の3月の愛媛新聞にも書いたように、理科専科は、出身の今治では、30年以上前から。。。ぜひ、そうあってほしいなと。。

 PS.のPS.のPS. 小松高校は、ジュニア農芸化学会の発表で、入賞したというか、賞を受賞したということを伺いました。詳しいことは、また、ダイコンのHPでということではないかと。。。

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