東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

2005年5月の記事です。

第4回インテリジェントコスモス奨励賞受賞

2005年5月16日 (月)

"第4回インテリジェント・コスモス奨励賞を、「自己・非自己を花粉を識別するアブラナ科植物の自家不和合性制御遺伝子の解析」というテーマで受賞した。
 高等植物の自家不和合性は、ダーウィンの頃から着目されていた植物特有の現象であり、基礎科学からみれば、アブラナ科植物の自家不和合性は、遺伝的多様性を維持するメカニズムであり、植物における自己・非自己識別機構の1つとして注目されている。一方、この自家不和合性は、実際の安定的F1雑種による品種改良においても利用されている重要な形質である。受賞者は、アブラナ科植物のBrassica campestrisを材料として、自家不和合性において花粉と雌しべで自己・非自己を識別するS遺伝子座の解析を行ってきた。まず、雌しべ側S因子について、柱頭特異的遺伝子SLG とSRKを独立に形質転換した植物体を作出した。その結果、SRKが雌しべ側のS遺伝子であり、SLGは、柱頭での認識反応を安定させるということを明らかにした。一方、花粉側S因子については、SLG/SRKを含む76kb ゲノム断片の全塩基配列を決定し、この領域で葯特異的に発現し、S対立遺伝子間で多型のあるSP11遺伝子を同定した。この遺伝子を形質転換し、花粉側S表現型の変化からSP11が花粉側S因子であることを明らかにした。さらに、20以上のSP11の対立遺伝子をクローニングし、SLG, SRKとの比較から、S遺伝子座上のこれら3つの遺伝子は共進化をすることにより、新しいS遺伝子を生み出してきたことを見出した。S対立遺伝子間に見られる優劣性制御が、柱頭側はSRK、花粉側はSP11の発現レベルによることを明らかにした。 "

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