東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

2010年4月の記事です。

【研究成果】自家和合性のシロイヌナズナを遺伝子改変で自家不和合性に復帰、世界初、英国・科学雑誌「Nature」4月29日号に掲載 (印刷版として発刊)

2010年4月29日 (木)

 4月19日に、「自家不和合性シロイヌナズナを自家不和合性に復帰」という論文を英国・科学雑誌「Nature」電子版(Advance Online Publication, AOP)に発表しましたが、今日、4月29日号のNatureに印刷体として発行しました。詳しい論文の詳細は、4月29日のHPをご覧ください。もちろん、NatureのHPにも以下の通り、論文掲載されております。お時間のある方は、ぜひ、ご覧ください。

DSCN4137.JPGEvolution of self-compatibility in Arabidopsis by a mutation in the male specificity gene pp1342-1346
doi:10.1038/nature08927
Abstract: http://www.nature.com/nature/journal/v464/n7293/full/nature08927.html

 本として綴じられたものを見るのはそれなりのまた違った感慨があるものだと。何より、このプロジェクトに参加頂いた共著者の方々、研究室の方々に感謝したいと思います。また、その後、スイスの方でもプレスに取り上げられたり、九大の矢原先生のブログにも。矢原先生のHPを見ると、これまでの研究がアメリカとの競争だったことなども記されており、これまでの25年近い研究を思い出させてくれました。この場を借りて、お礼申し上げます。

http://d.hatena.ne.jp/yahara/20100422
http://www.mediadesk.uzh.ch/articles/2010/selbstbefruchtung-als-folge-des-klimawandels_en.html
http://www.swissinfo.ch/jpn/detail/index.html?cid=8728638

DSCN4143.JPG
わたなべしるす

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【研究成果】:高等植物の高温障害で起きる雄性不稔を植物ホルモン・オーキシン処理で回復、米国科学アカデミー紀要「PNAS」電子版に掲載(生命科学・東谷研との共同研究, 5/7更新)

2010年4月27日 (火)

 先週は、渡辺が20年研究を行ってきたアブラナ科植物の自家不和合性について、「自家和合性のシロイヌナズナを遺伝子改変で自家不和合性に復帰」ということを、英国・科学雑誌「Nature」電子版に掲載したことをお知らせしました。

サボイクイーン前.JPG 渡辺の研究室の大きな研究の柱は、自家不和合性研究ですが、その派生系というか、花粉の成熟に伴って何が起きているのか、花粉と柱頭との相互作用などを行っています。その1つが、花粉の成熟過程でどのような遺伝子が関連し、どのようなことが起きているかと言うことです。そうした研究の一環として、東北大・生命科学・東谷研との共同研究を10年近く行い、いくつかの論文を発表してきましたが、今回、高温雄性不稔を、オーキシン処理で回復できることを発見し、東谷研がメインの研究室として、米国科学アカデミー紀要「PNAS」電子版に発表しました。渡辺も共著になっております。

DSCN4052.JPG これからの地球温暖化などで、様々な植物、作物で高温障害による雄性不稔は起きると思います。そうしたことが、この技術で克服されるとすれば、サイエンスとしての進歩だけでなく、産業にも大きく貢献できるのではと思います。さらに共同研究でこの内容を発展させることができればと思います。

 また、大学HPのtop生命科学研究科HPにも関連記事を掲載しているので、ぜひ、ご覧ください。



わたなべしるす

PS. いくつかの新聞社などに取り上げられました。取り上げていただいた方々に感謝したいと思います。ありがとうございました。先週のNatureの時よりも反響が大きいのは、こちらの説明不足と、今回のニュースのわかりやすさでしょうか。。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100427/t10014097711000.html
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/04/20100427t15013.htm
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/168055
http://www.shizushin.com/news/environment/science/2010042601000700.htm
http://www.sakigake.jp/p/news/science.jsp?nid=2010042601000700
http://www.nnn.co.jp/knews/100427/20100427011.html
http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042601000700.html
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010042601000700.html
http://www.topics.or.jp/worldNews/worldScience/2010/04/2010042601000700.html
http://www.kobe-np.co.jp/knews/0002918544.shtml
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=249666&lindID=4
http://www.chugoku-np.co.jp/NewsPack/CN2010042601000700_Science.html
http://www.shikoku-np.co.jp/national/science_environmental/article.aspx?id=20100427000026
http://www.toonippo.co.jp/news_kyo/news/20100426010007001.asp
http://www.nhk.or.jp/lnews/sendai/6004059771.html
http://www.oita-press.co.jp/worldScience/2010/04/2010042601000700.html
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/environment/228308.html
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100427000010&genre=H1&area=Z10
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news4/article.php?topicsid=9&pack=CN&storyid=322198
http://www.ibaraki-np.co.jp/zenkoku/detaile.php?f_page=top&f_file=CN2010042601000700.1.N.20100427T040216.xml

5/7の毎日新聞に記事が掲載されていました。
http://www.mainichi.jp/select/today/news/20100507k0000e040012000c.html

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【出前授業】JST・未来の科学者養成講座を広報、第1弾(宮城県宮城第一高等学校)

2010年4月23日 (金)

昨年度から開始した、all 東北大企画の「経験・体験を通して「科学を見る眼」をもつ「科学者の卵」養成プログラム」を宮城県宮城第一高等学校で、その概要、どういうコンセプトでやろうとしているのか、何を求めているのかなど、20数名の生徒の前で30minほど、説明をしてきました。昨年と違い、HPに昨年の情報などもあることから、概略を説明したことで十分でした。

CA3F0012.JPG説明の途中で、昨年度発展コースにいた生徒さんから、生の声があったことは今年応募しようという生徒さんたちには、良いお手本であったのではと思います。その中の「様々な分野の講義があり、多目的に学習できる、自分がやりたいものだけでなく取り組める。講師かたがたの熱意が伝わってきた。などなど。」というこちらが設定している、大事なポイントを押さえたものがあり、感動しました。ぜひ、エクステンドコースでがんばってください。もちろん、多くの質問もあり、答えに窮したのは、「どうやったら、採択される答案となるのか。。」。これは、科研費などでも同じかもしれないと。。。

何より、また、今年度も新しい生徒さんたちと講座でお会いできることを楽しみにして。
とりいそぎ。


わたなべしるす

PS. 科学者の卵のHPにも、関連記事があります。お時間のある方は、。。。。

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【お知らせ】H22年度・東北大学「科学者の卵 養成講座」募集開始

2010年4月21日 (水)

 昨年度、JSTのプログラムに採択されました、「科学者の卵 養成講座」が今年も募集を始めました。渡辺が昨年に引き続き、実行委員会委員を仰せつかっているので、研究室のHPにも記しておきます。昨年からやっていることもあり、大学の方々だけでない方もごらんと思いまして。

RIMG0030.JPG
 年度初めということもあり、昨日のHPの更新となっていますが、HPにあるとおり、4月19日(月)~5月21日(金)です。また、今年もより多くの高校生と交流でき、科学の心を目覚めてくれる方々が多くなればと思っております。今年の講義予定などは、また、随時、HPで連絡しますので、科学者の卵の。時々、ご覧ください。

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わたなべしるす


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【研究成果】:自家和合性のシロイヌナズナを遺伝子改変で自家不和合性に復帰、世界初、英国・科学雑誌「Nature」電子版に掲載 (4/23一部更新)

2010年4月19日 (月)

 渡辺の研究室は、これまで、アブラナ科植物の自家不和合性における分子メカニズムの解明を行ってきました。その過程でいくつかの論文発表を行い、エポックメイキングな発見をしてきました。

http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/work.html

 今回は、国内外8つの大学との共同研究を行い、モデル植物のシロイヌナズナは自家和合性ですが、そのシロイヌナズナがもっている遺伝子(SCR/SP11)の一部を改変し、再び、遺伝子導入することで、自家不和合性のシロイヌナズナを作製することに世界で初めて成功しました。このことが、英国・科学雑誌「Nature」電子版(Advance Online Publication, AOP)に、日本時間4月19日午前2時(ロンドン時間の4月18日午後6時)に掲載されました。

 アブラナ科植物には、自家不和合性を持つキャベツ、ハクサイ、ダイコンのような作物もあれば、シロイヌナズナ、ぺんぺん草、タネツケバナのように自家和合性のものもあります。1876年に、ダーウィンは交配相手が少ない条件下では自殖が繁殖に有利な性質となるという仮説を提唱していました。では、どの様な遺伝子が関与して自殖、つまり、自家和合性になったのか、これまで不明でした。

 そこで、日本のわれわれ自家不和合性研究者とスイス・チューリヒ大学清水健太郎准教授のグループが共同研究を開始したわけです。われわれは、自家不和合性、遺伝学、分子生物学が守備範囲で、スイスグループは生態学、分子進化、ゲノミクスという点が得意でした。これらを融合し、シロイヌナズナの様々なecotypeを調査したところ、雌ずい側因子は未だ生きている、つまり、自家不和合性機能を有している系統を見出しました。その系統を詳細に調べたら、花粉側因子のSP11(SCR)は、第2エクソンの中で逆位が生じており、それを元に戻せば、立体構造を維持するのに重要な8つの保存されたシステイン残基も形成されることが分かりました。このことは、シロイヌナズナの自家和合性は花粉側S因子が原因であろうと言うことを推測させ、この復元したSP11(SCR)をこの系統に入れれば、自家不和合性のシロイヌナズナができるのではと、考えました。

arabidopsis-3.jpg 次に、この復元したSP11(SCR)遺伝子をSRKの生きている系統に導入したところ、予想通り、花粉管侵入が抑制され、自家不和合性が観察されました。今まで近縁のArabidopsis lyrata由来のSP11, SRKを導入することで自家不和合性を復元した例はありましたが、今回のように、シロイヌナズナが従来から持つ遺伝子を改変するだけで自家不和合性にさせることに成功したのは、世界で始めてとなります。このことが評価され、英国・科学雑誌「Nature」電子版に掲載されました。

arabidopsis-9.jpg 欧州との共同研究が初めてだっただけでなく、仙台に渡辺研究室を作ってから一緒にやってきた大学院生(五十川祥代修士)、博士研究員(諏訪部圭太博士、現、三重大・准教授)と共著の論文になったことは、この上ないうれしいことでした。

 また、東北大学HPのtop page大学英語HP生命科学研究科HP東北大学「科学者の卵」HPにも関連記事を掲載しているので、ぜひ、ご覧ください。

  今後はこの成果を利用して、ハクサイ、キャベツをベースとしたこれまでの研究に加えて、シロイヌナズナの自家不和合性系統を利用することで、自家不和合性研究をさらに発展させたいとと思うのでした。


わたなべしるす


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