東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

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【招待ゼミ】名古屋大学農学部・招待ゼミ「アブラナ科植物の自家不和合性--研究の現状と展望--」(6/4)

2015年6月 5日 (金)

 6/3-4(水、木)で行った名古屋大・農での集中講義。その最後というか、1hrほどで、全体を俯瞰的に見えるようなゼミ形式で。講義に出た大学院生だけでなく、他の一般の方にも解放する形で。受講生の方々には、2日間で渡辺がしゃべったことが何だったのか、短くまとめることで、わかりやすくなったのでは。そんな配慮も、森先生からのご提案で。ありがとうございました。

DSCN1854.JPG ゼミには随分多くの学部生、院生をはじめ、いろいろなところでお世話になっている先生方も。随分、ご無沙汰で、いつもmail、電話だけで失礼していたりで。こうした機会があり、何よりでした。ありがとうございました。最初に、森先生の方から、渡辺の紹介を。研究内容はこの後と言うことで、なにより、出前講義をたくさんやっている方という事で紹介を賜りました。ということで、時間も短いこともあり、いつもの出前講義のようにほぼ、しゃべりまくって。。。時計を見ながら、花のこと、花に季節があることからはじまり、雌しべの先端の柱頭上にあるpapilla cellに花粉管が侵入すると言うことで、そのことを説明したときと言うか、あとで、質問を頂き、植物の生殖を研究しているわれわれには、一般的である、花粉管の通り道がどこなのかと言うことが、意外と一般に知られてないことに。。。。「餅は餅屋」ですが、もうすこしわれわれも広報しないといけないのだなと。自家不和合性というか、他殖を促進するために、他にもいくつかの仕掛けがあると。

 で、自家不和合性はと言うことで、アブラナ科植物を例にして。SLG/SRKのどちらが雌ずい側S因子であるのか、その工夫したこと、花粉側S因子を発見するまでに、工夫をしたこと、とは逆に、失敗したこと。少し歴史の話も交えて。。。S遺伝子座が解析されたあと、残された問題として、S遺伝子の下流、S対立遺伝子間での優劣性の問題。シロイヌナズナの自家和合性というか、自家不和合性への復活の問題。などなど。あっという間でした。質問では、優劣性のからくり、老花受粉という問題、など、こちらもよい刺激を頂きました。ありがとうございました。今回のゼミでこれはということがあれば、是非、共同研究に発展できれば、こちらとしても幸いです。最後になりましたが、この2日間、企画、運営を頂いた農学部の森先生にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。また、何かの折りにお邪魔できればと思います。

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 わたなべしるす

 

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観察、実行、継続(6/5)

2015年6月 5日 (金)

 研究室でもたくさんの植物を育てている。いつも言うことなのだが、日々、何が違って、どのように変化したか、今はやりの言葉で言えば、phenomicsとでもいうのだろうか。たくさんの表現型を計測してみる。簡単に言えば、紙と物差しがあればできること。ただ、どこに目をつけて、どこをどの様に計るのかと言うポイントが実は重要。一般の人にはわからなくてもプロの農家が見たら、小さなアブラムシを見つけて、速攻防除するところを、ほったらかしたら、あっという間に。。。渡辺の窓際においてある植物にもアブラムシが。。。最初は物理的防除で対応してみたが、発見が遅かったようで。。化学的防除に切り替えて、出張に。。。どうなっているのか、もどって観察するのが怖い。観察は、植物を育てることで重要なだけでなく、どんな場面でも。プロ野球のルールで「審判は石」と同じと昔覚えていたが、実はそうでもなくて、どの場面でそうなるのか、しっかりとした観察が重要らしいと言うか、重要。ちゃんと観察しよう。

Katahira-Himawari.jpg 紙と物差しと言われて、いざ、ガラス室に。何から計ろうかというのももちろんだが、行ってみないとわからない。ただ、なにより、行ってみることが大事。やってみよう。そんなことを教えてくれたのが、福島県の農業高校の先生。渡辺が日向研の助手の頃、1年間の研修で。その時に記した書き物に、「農作物への何よりの肥やしは、栽培をしている方の毎日の足跡」と言うのがあったのを思い出す。どれだけ、よいと思って足しげく通えるか、と言うのが、大事なのであろう。実際に一歩踏み出すのは、大変なこと。去年の出前講義今年の研究室訪問で、ヒマワリ、イネの種子をお渡しして。。。そうしたら、この1週間ほどの間に、それらが芽が出てきて、大きくなり始めたと。習ったことはあっても、やってみるのは、また違うこと。やってみたら、あれこれと足りないこと、ああすればよかったなど、いろいろとでてくるもの。それはそれで、また、次の時の反省として。。。やってみることは、それくらい勇気が必要だし、その一歩から何もかも始まるわけで。。。

Miyagihirose-Ine.jpg そうした観察、実行をどれだけ継続できるか。結構、というか、かなり難しい問題である。1週間なのか、1ヶ月なのか、1年なのか、10年なのか。最後までやるためには、気力が必要であると、よく、師匠の日向先生が話をされていた。気力がのっているときに、どれだけ勝負できるか。一気呵成に勝負をかけるというところであろう。もちろん、気力がなくても、最低限のレベルはkeepしてということだと思うが。確か、その時には、無理をしないで、気力を上げることができるように心がけるだったと。その意味では、「毎日、こつこつと」という言葉がどこかにあったような。当たり前であるが、どれだけ「勤勉」に「努力」できるかと言うことが「継続」を決めるのであろう。そんなことをふと植物を見ながら。もうちょっと継続して、観察を実行してみることにする。というか、気合いと根性で。。。

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 わたなべしるす

 

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【集中講義】名古屋大学大学院生命農学研究科・集中講義「高等植物の生殖とアブラナ科植物の自家不和合性」(6/3-4)

2015年6月 4日 (木)

 あっという間に今年度の第一四半期の最後の月。。。沖縄、九州、四国、中国、近畿では梅雨入りとか。随分と雨が少なかった5月でしたので、土が随分乾いている分、雨がほしいのはありますが、降りすぎも。。。なんか、加減をしてほしいなと。。。今朝は、宮城県内に強風警報が出ていたとか。とかというのも。名古屋大での集中講義で仙台を離れているので。。。何も被害など出てなければ、よいのですが。。。

DSCN7102.JPG 名古屋大・農の森先生に昨年、何かへの出張先でお目にかかったとき、今年度の集中講義をお願いされ。。。あっという間に、その日程となり。。。講義の内容は、アブラナ科植物の自家不和合性ですが、歴史物風に、渡辺の師匠の日向先生が自家不和合性をはじめ、渡辺がそれをどの様に継承して、現在に至っているのか。渡辺よりも20級以上先輩の話から、現在の研究の一端まで。その過程で、東大、奈良先端大でお世話になった磯貝先生奈良先端大・高山先生をはじめとする多くの方々の話も織り込みながら、。。なにより、遺伝学と生物有機化学というそれまでになかった分野の融合が新しいことを生み出しましたので。渡辺が話をしていた磯貝先生の書き物。時間のあるとき、ご一読頂ければ、その時代背景などもわかるのではと。。。人数は、10-20名の受講でしたが、普段、学部生に講義をする時間があまりないので、さすがにしゃべり慣れないというか。出前講義の2hrというパターンが多いので、長くなると、どうも時間のcontrolができないようで。ただ、少しは話すことがなれてきたのか、これは、出前講義のおかげかなと。

 講義を受講していた学生さんは、backgroundが様々で、その関係もあって、できるだけわかりやすくを心がけたつもりでしたが。どれくらい楽しんで頂けたのか。時になるところでした。そんなこともあり、講義で自由に質問を入れてよいと、いつものように言いますが、なかなか難しいようでした。もちろん、中には講義の合間に、積極的に質問に来てくれたり、講義のレポートの最後に質問を書いてくれた方も。ありがたい限りです。レポートの最後にあったものについては、また、時間を見つけて、森先生経由で、と思います。少しお待ち下さい。

DSCN7103.JPG こうした集中講義をお願いされるのは、去年の三重大に続いて2年目。このように講義をするのもよいなと。また、どこかでリクエスト頂ければ。最後になりましたが、講義の準備から何から何までお世話になった名古屋大・農・森先生、ありがとうございました。よい刺激を頂きました。この刺激をこれからの教育研究に活かしていければと思いますので。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. 講義の受講生の中に、仙台、東北大出身の方が。。。渡辺が関係しているアウトリーチ活動でお世話になっている先生方、かつての研究室メンバーなどをよくご存じで。。。びっくりというか、どこに行っても世の中狭くできているのだなと。。。今後ともよろしくお願いいたします。びっくりをありがとうございました。

 PS.のPS. 歴史の重要性は、3月の科学者の卵での米国研修でも。最近、見かけた本の書き出しのところに、英国でも米国でも歴史学部というのがもっとも伝統があると。その本の中の文章を引用すると、「歴史こそ実験室といえる。。。」。なるほどと。

 

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多様、危機、チャレンジ(5/29)

2015年5月29日 (金)

 アブラナ科植物の自家不和合性の研究を始めて25年、四半世紀を超えた。この25年で何がわかったのか。花粉と雌しべのS遺伝子が何で、それがどの様に相互作用するのか、また、S対立遺伝子の多様性なども。一方で、渡辺自身が明らかにしたわけでないが、他の植物種との自家不和合性の共通性、多様性ということは、。。。どんどん多様になっているとしか言い様がない。いろいろなメカニズムが出てくるが、共通な部分は、。。関係が深いといえない現象との方が、アブラナ科植物の自家不和合性の雌雄S因子との共通性があったりする。なぜなのだろうかと思うことがあるが、単純に考えると、「いきものは賢いわけで、その場にある使いやすいものを使う、どれを使えばよいのか、try and errorをしているように。。。」、DNAというA, T, G, Cという文字を使って遺伝子を作り、いろいろな現象を制御しているからだろうか。。。マニュアルに振り回されることなく、その場で考えているからこそ、ちゃんとできるのだろう。そう考えれば、多少、多様でもよいような気がする。そういえば、この前に見た新聞に、大学の「学部」と言うのではなく、言葉が多様化していると。。。これくらいは、共通というか、保存されていてもよいような。何より、外向けにわかりやすい。そんなこともないのだろうか。。。

DSCN5534.JPG いずれ、環境が危機的になれば、多様である方がよい。そういえば、雑草の方が適応している気がするというか、どこにでもはえる。いろいろな多様な遺伝子型のものを作り出して、どれかが生き残るようにしているのだろう。たぶん、もちろん、そんな種子の多様性だけでなくて、生きていく上でも、簡単に枯渇しないように、生長点を限りなく地面に近いところにして、草刈りをしても、生き残るようにしている。地下茎でつながっていて、生き延びるのもいる。先の自家不和合性ではないが、植物の危機管理というか、リスクマネジメントはよくできている。こんな様に「賢い」植物に何とか学べないものだろうか。植物がしゃべってくれれば。。。そんなことは期待できないので、日々、何が変わっているのか、何を欲しているのか、考えることが大事なのだろう。完全になくなってから、議論してもしょうがないし、それが起きたら、なにをすべきなのか、日々、しっかり考えておかないといけないのだろう。それは、あの3.11からその意識はさらに高くなったように思う。今回の鹿児島の口永良部島での噴火でこれまでのことが活かされていればよいのだが。。。

 そんな多様性を保ち、危機管理をするためにも、常にいろんなことをやってみる「チャレンジング」であるべきなのだろう。岩手大にいた頃、科研費の発表会で代表をされていた奈良先端大の磯貝先生が、この5年間でチャレンジングなことをして、次につながるようにしてほしいと。確かにそうで、これまでいろんな諸先輩がチャレンジングなことをしたからこそ、現状がある。そのチャレンジングなことでうまく行ったこともあれば、そうでないこともある。どちらも大事で。偶然、うまく言ったのかもしれないのであれば、次にそうなる確率は低い。ただ、失敗の原因を明らかにしたら。それはそれで、次につながる気がする。94連敗しても、次を目指して、勝利をつかむ。その裏には、多様なトライと失敗を反省する心があったからであろう。戦略、戦術も重要。でも、最後の最後は、気合いと根性のような気がする。ようは、気持ち。その多様性と危機管理ができている植物の気持ちというか、気迫を何とか理解したい、こうも暑いと、そんなことをふと考えたのであった。

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 わたなべしるす

 PS. 5月も終わり。。。。と言うか、今年度も1/6が終わった。。。困ったものだ。何を達成したのか、書き出してみないと。6月には、恒例となった「ふるさと出前授業」が、今治周辺で。今年度はじめて伺う四国中央市の小学校のHP学校だよりに渡辺が訪問すると言うことが。ありがたい限りである。渡辺が育ったような自然豊かな環境のような所。今から楽しみである。

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【出前講義】仙台市立泉ヶ丘小学校での出前講義打合せ(5/26)

2015年5月27日 (水)

 午後から5, 6コマ目は、七北田小学校へ出前講義。今でこそ、仙台市も「区」が住所に入る政令指定都市。渡辺が仙台にきた当時は、仙台市、泉市、宮城町などだったのが、いつ頃だったか、青葉区、宮城野区、太白区、若林区、泉区に。政令指定都市になる前を含めると、青葉区、宮城野区、太白区、若林区には、住んだことがありますが、泉区には。。。七北田小学校は、昔の泉市。今の泉区。その七北田小学校から、北に、2つくらいの小学校の校区に行ったところが、泉ヶ丘小学校。小学校の近くには、工業団地のようなものがあり、農学部の学生、助手をしていたときに、伺ったことがある「宮城県赤十字血液センター」が北仙台から泉区のどこかに移動したと、きいてはいましたが、その団地内にあるとは。。。学校から北側を見た方向かと思いますが、河北新報社の新聞の印刷工場だと思うのですが、そんなものも見える泉ヶ丘小学校

DSCN7099.JPG 今回、この小学校で出前講義を行うきっかけを頂いたのが、河北新報社と日本エレクトロンがサポートしている小学校への出前授業「楽しい理科のはなし」に、お誘いを頂き。。。光栄の限りです。正確に記憶できてないのですが、昭和50年頃に近くに団地ができた関係でできた小学校のようですが、渡辺が子供の頃に通っていた小学校を思い出すような作りで。昔は、1Fの玄関に近いところに、校長室、職員室というのがあって。。。今は、2Fに校長室、職員室というのが多くなり。。。昔の小学校になれていた渡辺には。。。年なのでしょうか。。。

DSCN7097.JPG 前置きが長くなりましたが、玄関のところには、welcome boardがお迎え。打合せの時からこうしてお迎え頂けるのは、本当にうれしいことです。ありがとうございました。打合せでは、河北新報社の佐藤様から、本プログラムの趣旨などを説明頂き、渡辺からは講義内容の「キャベツとブロッコリー」のpptを使いながら、植物の生長、形態変化などを考えながら学ぶ「理科」と言うことで、教えるというのとは、少し異なると。打合せ会議にごっしょ頂いた先生の中に、七北田小学校でお世話になった先生にお目にかかることができ、さっきまでの七北田小学校での講義の延長のようというか、安心して出前講義に伺えるなと。。。実際の講義を行う当日は、自由参観の日に当たっていることから、講義をする場所、保護者の方の参加など、これまでの出前講義で行ったことがあるいくつかのパターンをご紹介して。。。よりよいものになればと思います。

 打合せのあと、曽根校長先生とこちらのこれまでの出前講義、研究内容、昨今の教育問題などについて、少しお話しできる時間を頂きました。学校の周りは、ちょっとした雑木林になっており、団地、工業団地の近くとはいえ、自然にも恵まれたよい場所でした。1ヶ月ちょっと先ですが、楽しみになってきました。最後になりましたが、本企画を頂戴しました、河北新報社の佐藤様、泉ヶ丘小学校・曽根校長先生をはじめとする関係の先生方にこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。実施当日まで、しっかり連携して、本企画が子供たちの理科だけでなく、普段の生活を含めて、何かのきっかけになるようなものにできればと思います。ありがとうございました。

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 わたなべしるす

 PS. 先日、片平丁小学校への出前講義の打合せの折に、ご一緒頂いた宮城教育大・内藤先生のことを曽根校長先生がご存じと。。。100を超える小学校が仙台市内にはあると言うことを考えると、やっぱり世の中狭くできています。と言うか、びっくりです。

 PS.のPS. 河北新報社と日本エレクトロンがサポート頂く夏休みイベントにも、参加することに。日程は、8月21日(金)。常禅寺通りのエレクトロンホール(旧宮城県民会館)。その案内については、また、時間を見つけて、このHPから広報しますので。

 

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