東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

研究成果:植物の発熱機構に、ミトコンドリアが重要な役割(共同研究)

2009年9月 7日

植物の生殖と言うことで、これまで、自家不和合性、雄性不稔、有性生殖器官で特異的に発現する遺伝子の機能と言うこで、研究を展開してきました。今回は、岩手大学21世紀COEプログラムで始めた共同研究を論文に発表できましたので、報告します。

サトイモ科の発熱植物であるザゼンソウの花器官である肉穂花序の発達にそって、形態的変化、細胞内小器官の変化、ミトコンドリアの増減という点について、渡辺の研究室、岩手大・稲葉研究室、理研・植物科学研究センターとの共同研究を行いました。その結果、タペート細胞が活発にある雌期に発熱しており、その時期には、ミトコンドリアの密度が高く、さらに、ザゼンソウのミトコンドリアは、熱を発生しない、ジャガイモ、カリフラワーに比べて、10倍以上の活性を有していることを発見しました。さらに、この研究成果について、表紙でも取り上げて頂きました。研究をしている方としては、うれしい限りです。

イネでもタペート細胞が発達している小胞子期には、冷害を受けやすいというのがあります。このことからも、植物共通にこの時期に熱に対する感受性が高く、そのために発熱しているのかもしれないというのが、生殖を長らく研究しているものとしてのイメージでした。

今回は、プレス発表した関係もあり、非常に多くのところで取り上げて頂きました。

新聞
・朝日新聞(朝刊・岩手)、(夕刊・全国)
・毎日新聞(朝刊・岩手)
・岩手日報(朝刊)
・岩手日日(朝刊)
・盛岡タイムス(朝刊)

テレビ
・NHK東北ローカルニュース
・IBC岩手放送

この研究内容は、Ito-Inaba et al. (2009) J. Exp. Bot., 60: 3909-3922.という論文として発表されております。本論文は、pdfのdownloadがfreeとなっているので、以下のsiteから、ぜひごらん頂きたい。

論文URL:Ito-Inaba et al. (2009):http://jxb.oxfordjournals.org/cgi/content/abstract/60/13/3909

なお、研究科のHPにも、プレス発表の内容を含めて、掲示されております。参考までに。
http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/kenkyuu/植物発熱のカギを解明し、耐寒性植物の育種にも道


わたなべしるす

PS. 共同研究の先生方のHPでの紹介については、以下の通りです。
http://www.iwate-u.ac.jp/coe/inabag/