東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

【研究成果】花粉管伸長を制御するLIMタンパク質の機能解析をGenes Genet. Syst.に発表(海外1研究室、国内2研究室との共同研究; 4/3)

2014年4月 3日

 花粉管伸長は、花粉発芽後の雌しべの先端の乳頭細胞、乳頭状突起細胞(papilla cell)から始まり、和合組合せの花粉管は、花粉管侵入により、より伸長させ、最終的に雌ずい内の卵と融合するという生殖の重要なステップとなります。その花粉管伸長には様々な分子がもちろん関係しているわけですが、その中でもアクチンフィラメント(AF)は細胞骨格として、また、様々な物質の分泌、細胞壁の構築などに重要です。さらに、AFとアクチン結合タンパク質(ABP)が結合することにより、細胞としての機能が発揮されるとされていますが、花粉でのABP機能は十分解明されていません。

GGS2014_2.jpgのサムネール画像 今回の論文はABPの中でもこれまで注目度が低かったLIMタンパク質に着目し、それらの遺伝子抑制系統を作出し、その表現型を詳細に調査することで、花粉管伸長速度の調節にこのタンパク質が重要であることを解明しました(Sudo et al. (2013) Demonstration in vivo of the role of Arabidopsis PLIM2 actin-binding proteins during pollination. Genes Genet. Syst. 88: 279-287.)。モデル植物シロイヌナズナのゲノムには、PLIM2の遺伝子が3つあり、そのうちの生殖器官で特異的に発現しているAtPLIM2a, AtPLIM2cの機能抑制系統では、花粉管伸長速度が57%に低下し、結果として、鞘基部の結実率が低下するという現象を見いだしました。この結果を応用することでより確実に結実することなども将来的にできると考えています。なお、この論文のpdfはOpen accessになっていますので、HPをごらんのどなたでもpdfを読んで頂けます。また、今回はわれわれの研究を評価頂き、5号の表紙に取り上げて頂きました(HPには、まだそのことが出ていません。出たら、また改めてお知らせします。)。表紙に採択されたのは、、Osaka et al. (2013) Plant Cell Physiol.に続いてのことで、改めて、共同研究の重要性を実感できた論文でした。ありがとうございました。

GGS2014.JPG
 今年も昨年と同様、それ以上に論文発表をこのHPからしたいと思いますし、何より、共同研究も展開しているので、そうした活動が論文につながる年にしたいと。。。


 わたなべしるす

 PS. 本共同研究を行って頂いた大阪教育大の鈴木先生がこの4月から教授に昇任されたと。HPもそのようになっており、おめでとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。