東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

【研究成果】葯特異的ポリアミン酸化酵素-7の機能解析をPlant Cell Physiol.に発表(海外1研究室、国内3研究室との共同研究; 6/10)

2014年6月10日

 ポリアミンには、スペルミン、スペルミジン等が含まれ、この2つの物質は、1990年代にアブラナ科植物の自家不和合性を制御するS遺伝子座を丸ごとPAC vectorにcloningしようということで、高分子DNAを単離するためのbufferの中に入れてあったのを思い出します。高分子DNAを安定化させるためと思って、当時は使っていたのを覚えています。その後、S遺伝子座の全体像も、この2つの物質のおかげで解明でき、現在に至っているわけです。

 そんなポリアミンの研究をされているのか同じ研究科で同じ本館3Fにlabを構えている草野教授。草野先生がまだ、秋田県農短大にいらした頃から、日向研にいらっしゃることがあって、お会いすることはあったのですが、こうして共同研究をできたのは、何よりうれしい限りでした。ポリアミンは植物において、形態形成、ストレス応答に重要であることが示されていますが、「生殖」との絡みでは十分なことがわかっていません。今回の論文発表では、草野教授の研究室を中心とした共同研究を行い、イネゲノム中に7 copy存在するポリアミン酸化酵素(polyamine oxidase; PAO)の中でも、OsPAO7に注目し、細胞内局在、酵素学的特性、葯で特異的に発現し手いることを解明しました。この研究には、渡辺の研究室からも当時大学院生だった前田君が協力してくれています(Liu et al. (2014) Polyamine oxidase 7 is terminal catabolism-type enzyme in Oryza sativa and is specifically expressed in anthers. Plant Cell Physiol. 55: 1110-1122, http://pcp.oxfordjournals.org/content/55/6/1110.abstract)。

DSCN7403.JPG 研究科内での共同研究では、東谷教授とのことを前回発表しましたが、ジベレリン処理による冷害の克服。今回のポリアミンというのが新しい起点となり、葯、花粉での機能解明につながることを期待しつつ。。。


 わたなべしるす

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