東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

【研究成果】ジベレリン・糖の複合投与でイネ冷害克服が可能にという成果をPlant Physiol.に発表(国内5研究室との共同研究; 2/27, 3/7, 4/21追記)

2014年2月27日

 このところの夏は毎年結果的に暑さを更新するような猛暑となり、「冷害」という言葉が東北地方から忘れ去られようとしています。しかしながら、1993年の大冷害では、それまでの主力品種のササニシキがひとめぼれに変わるというきっかけともなりました。また、海外の高冷地などでは、未だ冷害による減収が問題となっています。

 この冷害克服に向けて、研究科内の東谷教授の研究室を中心とした共同研究(古川農業試験場名古屋大学理化学研究所農研機構)を行い、遺伝子組み換え作物のように遠い将来克服すると言うことではなく、これまでは冷害に対して負の要因と言われていた植物ホルモン「ジベレリン」の処理時期を適切にすることで、イネ冷害を克服できることを示しました。また、ジベレリン単独処理よりも、糖を複合的に投与することで、より効果を上げると言うことも解明しました(Sakata et al. (2014) Reduction of gibberellin by low temperature disrupts pollen development in rice. Plant Physiol., in press, http://www.plantphysiol.org/content/early/2014/02/25/pp.113.234401.full.pdf+html)。実際に冊子体として綴じられたときには、改めて、vol. pageなどをお知らせしたいと思いますなお、本プロジェクトは、「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20~24年度)などによるものです。今回も改めて、共同研究の重要性を確認できた研究発表となりました。ありがとうございました。

DSCN7411.JPG 2010年には、世界レベルで問題となっている高温障害に対して、異なる植物ホルモンであるオーキシンを処理することが有効であることを、東谷教授の研究室との共同研究で解明しました。これらを合わせることで、温度という異常気象に対応して、適切に結実させることを「植物ホルモン処理」という簡便な手法で確立でき、農産物生産向上に寄与できるものと考えています。

 

 わたなべしるす

 PS. 本学のtop pageにプレスリリース記事も出ております。あわせてご覧ください。その文章の中にも出てきますが、渡辺の研究室のoriginが1940年に設置された附属農学研究所であり、その設置目的が東北地方の冷害の克服ということがあったと記されています。その意味では、70年の時を超えて、それが簡便な手法で実現できたことは、設置当初の目的を達成できたのではと。。。

20130613今治南 (49).JPG PS.のPS. 3/7(金)追記、研究科のHPに関連記事が掲載されました。また、今日、3/7(金)付けの河北新報に新聞記事が掲載されました。すでにご存じのことがあるかもしれないですが。。。

 PS.のPS.のPS. 4/21(月)追記、Plant Physiol.のHPを見たら、掲載論文のvol. pageがでていました。Sakata et al. (2014) Plant Physiol., 164: 2011-2019.
 で、Open accessにしてありますので、どこからでもpdfを見ることができます。耐冷性という点ではあまり実感がないかもしれないですが、コロンブスのたまごのような実験ですので。。。