渡辺研は主にアブラナ科植物とイネを扱った研究を行っていますが,今回公開された論文は私(坂園)が学生時代から扱っていたテッポウユリ(Lilium longiflorum)を対象にした研究です.
花屋などで目にする機会の多いテッポウユリという植物,古くは自家不和合性研究の材料として使われていました.しかし残念ながらゲノム解析が主流となった近年は,植物育成に時間がかかること,ゲノムサイズが非常に大きく解析が難しいことなどから,ほとんど扱われなくなってしまいました.
テッポウユリは自家不和合性の種として認知されていましたが,私は原産地である琉球列島に自生している個体を集めて交配実験を行い,完全な自家和合性を示す個体を見つけました(Sakazono et al., 2012. J. Japan. Soc. Hort.81:80-90).さらに,自生地域の端へ進むに従って自家和合性個体の割合が高くなることも明らかとなったのですが・・・ではそのような集団構造の成立に関わった要因は何でしょうか?
今回の論文では,作成したマイクロサテライトマーカーを用いて自生集団の遺伝的多様性を調査し,上記の疑問に対する答えを考えてみました.
論文情報:
とてもシンプルな研究結果ですが,研究を先へ進めるための大切な一歩だと思っています.
細々とでも,自分ならではの研究ができるようになりたいです.
PD坂園