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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2014年7月の記事を表示しています

長期記憶の"負の調節因子"を同定

研究成果


キイロショウジョウバエの雄は、求愛した相手の雌が既交尾の場合、強い拒否行動を受けて交尾することができません。この経験をしたあとは、数日にわたり雌にあまり求愛しなくなります。これを求愛条件付けと呼んでいます。この長期記憶が損なわれるものの一つに、RNA結合タンパク質をコードするorb2遺伝子の突然変異体があります。山元らのグループによって同定された別のRNA結合タンパク質をコードする遺伝子、lingererの突然変異アリルは、orb2変異ホモ接合体の求愛条件付けを優性に抑圧して、長期記憶を回復させることが分かりました。Lingererは、記憶の形成されるシナプスでの局所タンパク質合成を制御する新たな因子の候補として注目されます。


出典:Kimura, S., Sakakibara, Y., Sato, K., Ote, M., Ito, H., Koganezawa, M. and Yamamoto, D. (2014) The Drosophila Lingerer protein cooperates with Orb2 in long-term memory formation, J. Neurogenet. (in press).

http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/01677063.2014.917644


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図:強化されつつあるシナプスでLingererが局所タンパク質合成を制御する可能性を示す。

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進化学会で「エピゲノムが進化する」シンポジウム開催

2014821(木)‐24日(日)に大阪府高槻市高槻現代劇場で予定されております、日本進化学会 16回大会においてシンポジウム「Epigenomes in evolutionエピゲノムが進化する」を開催します。皆様のご参加をお待ちします。

 

趣旨:

    The elementary units of heredity and evolution might be epigenomes in addition to genome sequences. The innovation in genomics and OMICS now made possible to test this hypothesis. We will introduce the cutting-edge technology and results in microorganisms, plants and animals.

    遺伝と進化を担うのは、「ゲノム配列」とともに、その上に重ねて書かれた「エピゲノム情報」であることを示唆する現象が蓄積している。この仮説の検証が、ゲノムとOMICS研究のイノベーションによって、今や可能になった。微生物・植物・動物での、最先端の方法と成果を紹介し、「エピゲノム工学・エピゲノム育種」への応用を展望する。

 

詳細はhttps://sites.google.com/site/shinka2014osaka/program/symposia/s3 をご覧ください。


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米国の科学者向け雑誌、The Scientistにコメントを提供

広報/アウトリーチ


ショウジョウバエの雌の交尾拒否・受諾を制御するニューロンの実体は、まだ十分にわかっていません。米国Janelia FarmBruce Baker、同じくJanelia FarmBarry Dickson、さらにRockefellerLeslie Vosshallの3つのグループはそれぞれ独立に、交尾受諾/拒否を左右するものとして異なる3つの介在ニューロン群を同定して、雑誌Neuron(全二者)及びCurrent Biologyに発表しました。山元は科学ジャーナリストのKate Yandellのインタビューに答え、米国の科学者向け雑誌、The Scientist on line版(7月2日リリース)にその研究成果について論評しています。


出典:

http://www.the-scientist.com/?articles.view/articleNo/40410/title/Unraveling-the-Female-Fruit-Fly-Mating-Circuit/

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脳と行動の性分化に関する解説を発表しました

広報/アウトリーチ


山元班の山元と佐藤は、雑誌『科学』の特集"愛と性の科学"に「越境する性」の生物学と題する解説を寄稿し、ヒトのセクシャリティーからショウジョウバエの脳と行動の性差の形成までを、脳の性決定という一つの枠組みで包括的に捉えることを試みています。性の生物学の新たな展開を予感させる解説となっています。


出典:山元大輔・佐藤耕世(2014)「越境する性」の生物学、科学 84, 736-744.


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図:雑誌『科学』掲載号(vol. 84, No.7)の表紙


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動植物の性決定システムの多様性の総説がPLOS Biologyに掲載

動植物の性決定システムは実に多様性です。北野班では、性決定システムの多様性がどのように性的二型の進化や種分化に影響を与えているか研究しています。このたび、米国進化統合センターのコンソーシアムのメンバーとしてまとめたデータベースが公開され、それにともなって総説も、PLOS Biologyに掲載されました。

Bachtrog, D., Mank, J. E., Peichel, C. L., Kirkpatrick, M., Otto, S. P., Ashman, T. L., Hahn, M. W., Kitano, J., Mayrose, I., Ming, R., Perrin, N., Ross, L., Valenzuela, N., and Vamosi, J. C. (2014) Sex Determination: Why So Many Ways of Doing It? PLoS Biol 12(7): e1001899. doi:10.1371/journal.pbio.1001899
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Bachtrog et al. (2014) PLOS Biologyより。

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