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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年3月の記事を表示しています

 科学研究費の申請書にも近年、実施が義務づけられている「国民との科学・技術対話」の推進。鈴木班でも、小中高への出前講義を通したアウトリーチ活動を広く展開し、国民へ科学・技術を還元します。

 前々回が9月末まで、前回が12月末までしたので、1月から3月の第4四半期における研究分担者・渡辺のアウトリーチ活動をまとめておきます。詳しい内容は、研究室のHPに記してありますので、興味のある方は、ぜひ、以下のlinkをご覧ください。講義内容は、今回は小学校、高校、一般の方、向けで、内容は植物の生殖などに関わる講義、実験、見学サポートなどです。


 埼玉県立浦和第一女子高等学校・科学者の卵エクステンドコースまとめ
 宮城県仙台第一高等学校・SSH生物部特別実験指導
 仙台市立七北田小学校・特別講義
 石川県立小松高等学校SSH集中講義・討論会・研究室見学(1, 2, 3, 4)
 石川県立翠星高等学校・特別講義
 東北・北海道地区SSH指定校発表会・座長、コメンテーター
 鹿児島県立錦江湾高等学校・SSH生徒発表会・コメンテーター、プレゼン指導
 香川県立観音寺第一高等学校・研究成果報告会・SSH運営指導委員会
 大谷高等学校・EDUワークショップ・グループ学習
 宮城県仙台第三高等学校・SSH運営指導委員会
 岩手県立盛岡第三高等学校・SSH発表会・SSH運営指導委員会
 福島県立福島高等学校・SSH運営指導委員会・生徒研究発表会
 コアSSH「アブラナ科植物の遺伝的多様性に関する研究」報告会・コメンテーター
 仙台市立木町通小学校・特別講義
 今治自然科学教室・特別講義
 今治市PTA連合会研修会・基調講演
 山形県立鶴岡南高等学校・理数セミナー・実験実習と研究室見学
 大阪府立大阪園芸高等学校・SSH研究室見学


 今年度のまとめでもあることから、今年度行ったアウトリーチ活動は、135件。講義等を行った人数は正確に把握できておりませんが、講義のレポート、感想をいただいた児童・生徒の皆さんには全て返事を書きました。その総数は、6,100通になりました(基調講演のように、レポートがないものがありますので、講義に来て頂いた方の総数は、8,000人近いものがあるのではと推計しています。)。こちらからの手紙がこれからの学習、普段の生活の励みになれば、幸いです。また、ここに実数として出すことはできませんが、出前講義等に伺ったあとに、mailでの質問なども多数ありました。主に高校生ですが。そうした方々とのやりとりもありました。

 次年度も引き続き、社会貢献ができる領域であるように努力したいと思います。

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 わたなべしるす


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植物は、病原菌の感染に伴い、病原菌の構成成分を受容体を介して検知する。その信号はMAPキナーゼカスケードに伝達され、様々な免疫反応を誘導されるが、受容体からの信号が、どのようにMAPキナーゼカスケードに伝達されるのか不明であった。我々は、白葉枯病菌がイネの免疫応答を阻害するためにイネ細胞内に分泌するXoo1488エフェクターの標的として、Receptor-like cytoplasmic kinase familyに属するOsRLCK185を同定した。OsRLCK185は、細胞膜上で、病原菌の構成成分であるキチンを認識する受容体であるOsCERK1と相互作用し、キチンを検知したOsCERK1OsRLCK185を、直接リン酸化することによって、免疫シグナルを細胞内に伝達することが明らかになった。さらに、OsRLCK185発現抑制体では、キチンに応答したMAPキナーゼの活性化が抑制されることから、OsRLCK185が、受容体とMAPキナーゼカスケードを繋ぐ分子であることがわかった。また、Xoo1488エフェクターは、OsCERK1によるOsRLCK185のリン酸化を阻害することで、免疫応答を抑制していることが明らかとなった。

 

なお、この論文は、Featured Articleとして無料で公開されています。

また、平成25314日(木)の読売新聞で研究内容が紹介されました。

 

Yamaguchi, K., Yamada, K., Ishikawa, K., Yoshimura, S., Hayashi, N., Uchihashi, K., Ishihama, N., Kishi-Kaboshi, M., Takahashi, A., Tsuge, S., Ochiai, H., Tada, Y., Shimamoto, K., Yoshioka, H., and Kawasaki, T.

A receptor-like cytoplasmic kinase targeted by a plant pathogen effector is directly phosphorylated by the chitin receptor and mediates rice immunity. Cell Host Microbe, 13: 347-357 (2013)

 

Cell Host Microbe 2013

 

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 4月からの番組改編により、BS日テレで新しい番組が制作され、「世界発!コロンブスの台所」では、キャベツの野生種から、どの様な過程を経て、キャベツ類(Brassica oleracea)になったのかという内容が、紹介されます。いわゆる、栽培化(domestication)ということだと思いますし、遺伝、育種、品種改良ということで、これまでにアブラナを素材として研究していたことなどを踏まえて、番組制作に協力・写真提供をしました。

 放送は、 BS日テレ・「世界発!コロンブスの台所」(毎週木曜日:21:00~21:54, 初回は4月4日)

 です。その記念すべき初回に、今回の協力したものが放送され、エンドロールにクレジットが流れる予定です。衛星放送のBSということもあり、余りなじみがないかもしれないですが、年度替わりでお忙しいと思いますが、ご覧頂ければ、幸いです。渡辺の研究室のHPにもう少し詳しいことを記してあります。あわせてごらん頂ければと思います。

DSCN5600.JPG 4月の番組改編に伴う、HPの改変が連動していないようで、HPに関連記事が出ましたら、追記をしたいと思います。


 わたなべしるす

 


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淡水イトヨが幼弱期より甲状腺機能低下であることを発見

ホルモンは、多様な表現型を制御していることから、ホルモンシグナルが分化することによって、環境適応や種分化に重要な形質が変化する可能性があります。 北野班では、異なる集団間のホルモンシグナルの分化を明らかにすると同時に、その適応的意義、その遺伝基盤の解明を目指しています。

我々 のグループは、以前の論文で、淡水イトヨは甲状腺機能低下であることを発見していました。今回、我々は、カリフォルニア州立大のリーマ博士との共同研究に より、この甲状腺ホルモン量の違いはイトヨの幼弱期より存在していることが明らかになりました。幼弱期における甲状腺ホルモンは形態形成にも関わることが知られています。今後は、この甲状腺ホルモンの違いの適応的意義、遺伝基盤 に迫って行きます。

Kitano, J. and Lema, S. C. (2013)
Divergence in thyroid hormone levels between juveniles of marine and stream ecotypes of the threespine stickleback (Gasterosteus aculeatus).
Evol. Ecol.  Res. in press

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日本産淡水イトヨの起源を確認

昨年度のNIGIntern制度にて、国立遺伝学研究所の北野研究室において研究を行いましたLara Cassidyさんの成果が、米科学誌Evolutionary Ecology Researchに出版されました。

トゲウオ科魚類のイトヨは、淡水侵出によって適応放散し多様性を獲得したことが知られています。昔の系統研究によって、日本の淡水イトヨは、日本海ではなく、太平洋のイトヨが淡水に侵出したことで進化したと考えられていました。今回は、マイクロサテライトという、さらに感度の良い手法を用いてその成果を確認したものであり、米科学誌Evolutionary Ecology Researchのトゲウオ特集号に出版されました。今後の北野班では、なぜ日本海イトヨは淡水に侵出できなかったのか、という問いに遺伝的手法で迫ることを目指しております。

Cassidy, L. M., Ravinet, M., Mori, S., and Kitano, J. (2013) Are Japanese freshwater populations of threespine stickleback derived from the Pacific Ocean lineage? 


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