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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年1月の記事を表示しています

 これまでにDNAマーカーを用いた連鎖解析により,イネいもち病に対する抵抗性遺伝子座が同定されてきました。しかし、従来の連鎖解析を用いたQTL同定方法では、交配に用いた両品種間で多型を示すDNAマーカーを作成するステップにおいて多くの労力および時間を必要としました。今回、論文に掲載されたQTL-seq法は、次世代シーケンサーを用いることで、DNAマーカーを作成することなく迅速にQTL同定を可能にする技術です。

 本方法を用いることで、従来のDNAマーカーを用いた連鎖解析によるQTL同定法と比較して、迅速かつ低コストでQTLを同定することが可能になりました。

 私たちのグループでは、QTL-seq法により、イネいもち病に対する圃場抵抗性が強いイネ品種「Nortai(下図) から圃場抵抗性に関与するQTL同定に成功しており、すでに品種育成において利用されています。

Nortai.jpgQTL-seq: Rapid mapping of quantitative trait loci in rice by whole genome resequencing of DNA from two bulked populations

 

Hiroki Takagi, Akira Abe, Kentaro Yoshida, Shunichi Kosugi, Satoshi Natsume, Chikako Mitsuoka, Aiko Uemura, Hiroe Utsushi, Muluneh Tamiru, Shohei Takuno, Hideki Innan, Liliana M. Cano, Sophien Kamoun and Ryohei Terauchi

 

The Plant Journal, 2013, DOI: 10.1111/tpj.12105

 

論文紹介 (寺内@岩手生工研)

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高山班の連携研究者である名古屋大学東山哲也教授のグループから興味深い論文がPLoS Biology[10(12):e1001449, 2012]に発表されました。

詳しい内容は以下のリンクからたどって頂きたいと思います。

論文

http://www.plosbiology.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pbio.1001449

東山研関連HP

http://www.higashiyama-lab.com/news/2012/12/post_10.html


論文の主役はディフェンシンに類似のLUREと呼ばれるペプチドです。LUREペプチドは、植物の受精の過程で助細胞から分泌され、花粉管を誘引する活性を持つことが同グループから示されています(Okuda et al. Nature 2009)。今回の論文では、LUREペプチドが花粉管の誘引に重要なだけではなく、同種、異種の認識にも重要であることが示されています。シロイヌナズナ由来のLUREペプチドをトレニアに発現させると、シロイヌナズナの花粉管が誘引され、トレニアの胚嚢に侵入することが示されました。


植物のデイフェンシン様ペプチドは、非常に大きなマルチジーンファミリーを形成しており、シロイヌナズナでは300以上遺伝子が存在しています。また、アブラナでは同じファミリーに属するSP11/SCRは、自家不和合性を決定する重要な因子で自己認識に働いていることが高山グループから先駆的な仕事として示されています。さらに、トウモロコシでは、同じファミリーに属するMeg1遺伝子がインプリントされていることが示されており(Costa et al. 2012)、胚乳における生殖隔離にもデイフェンシン様ペプチド遺伝子のサブファミリーが関与している可能性も否めません。


(論文紹介:木下@奈良先端大)


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「ライフサイエンス領域融合レビュー」総説公開 1/15

「ライフサイエンス領域融合レビュー」より総説が公開となりました。「植物の生殖過程におけるエピジェネティックな情報のリプログラミング」というタイトルで、私どもの研究室の進捗を含めた本分野の最近の進捗をまとめております。


領域融合レビューでは、webベースの総説が順次公開されており、誰でも閲覧が可能です。是非、大学院生や学部学生さんのブラウザーにお気に入りとして登録して頂きたく思います。姉妹版として「ライフサイエンス新着論文レビュー」も、日本人研究者によってトップジャーナルに掲載された論文のダイジェスト版を日本語で閲覧することが可能です。これまでにもゲノム遺伝子相関の新学術領域からも、何人かの先生方が執筆されています。


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