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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年4月の記事を表示しています

先日発表のありました、平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰賞におきまして、本領域評価委員の森脇和郎先生と東北大学の渡辺正夫先生が科学技術賞をW受賞されました。

ご存じの通り、同賞は科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた研究者の功績をたたえるものとして、文部科学大臣から授与されるものであります。

森脇先生は、長年尽力された、「バイオリソース・マウスの進化史に基づく生物機能モデルの研究」が高く評価されました。森脇先生は、早くからバイオリソースの重要性を理解され、国立遺伝学研究所におられる間に、世界中から野生マウスを採取され、それらのマウスの系統化に努められました。これらのマウス系統のコレクションは、現在様々な研究分野で利用されています。本領域におきましても、哺乳類の生殖的隔離等の研究にはなくてはならないリソースであり、先導的なご研究であります。

また、渡辺先生は、「科学者の卵養成講座による分野横断的科学思考力の普及啓発」に関して高く評価され、理解増進部門の表彰を受けられました。本領域がとりわけ力を入れて取り組んでいる、国民への情報発信、小中高校生を対象とした多数の出前講義が評価されています。

(木下@長浜バイオ)

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『高等学校生物指導資料』に研究を紹介しました

 高等学校の生物指導題材として、山元班が取り組んできたキイロショウジョウバエ性行動の遺伝子制御の研究が注目されています。今回、2013年版生物教師用指導書の補充資料(東京書籍;ISBN978-4-487-27630-1)に、山元が「ショウジョウバエの性行動を生み出すフルートレス遺伝子」と題する紹介記事を執筆し、指導用DVD-ROMに収められました。この記事は"4編 生物と環境応答"に含まれており、遺伝子が日常的な生物の活動に果たす役割を生徒に伝える手がかりとなることが期待されます。サトリ突然変異体を中心とした山元らの研究は、すでに2008年に実教出版の高等学校生物指導書である『増補四訂版サイエンスビュー 生物総合資料 生物III 理科総合 対応』に掲載されており、今後も教材としての活用が広がっていくものと思われます。

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アフリカシーラカンスのゲノム解読の論文が出版されました

アフリカシーラカンス( Latimeria chalumnae )のゲノム塩基配列を解読した論文がアメリカを中心とした国際共同研究チームによってnature誌に出版されました。この論文では、シーラカンスよりハイギョの方が四足類に近いことが分子系統解析によって示され、さらにシーラカンスのタンパク質コード遺伝子の進化速度は四足類に比較して遅くなっていることが示されました。また、四足類への進化の過程でシーラカンスとの共通祖先から失われた遺伝子のレパートリーの解析、および四足類への進化で新たに生じた転写制御領域と推定される保存領域の解析から、免疫、窒素排泄、そして鰭、尾、耳、眼、脳および嗅覚の発生に関与する遺伝子が浮かび上がってきました。鰭から肢への変化や胚体外組織の出現に関与するエンハンサーの機能解析から、シーラカンスゲノムが四足類への進化解明のための重要な情報として役立つことが示されました。この論文で隅山は胚体外組織の出現に関与するHoxA遺伝子群エンハンサーの機能解析に参加し、四足類では失われている祖先Hoxa14遺伝子の制御をしていた保存配列が、四足類のHoxA遺伝子群の胚体外発現に使われるようになった可能性を示しました。

Chris T. Amemiya, Jessica Alföldi, Alison P. Lee, Shaohua Fan, Hervé Philippe, Iain MacCallum, Ingo Braasch, Tereza Manousaki, Igor Schneider, Nicolas Rohner, Chris Organ, Domitille Chalopin, Jeramiah J. Smith, Mark Robinson, Rosemary A. Dorrington, Marco Gerdol, Bronwen Aken, Maria Assunta Biscotti, Marco Barucca, Denis Baurain, Aaron M. Berlin, Gregory L. Blatch, Francesco Buonocore, Thorsten Burmester, Michael S. Campbell, Adriana Canapa, John P. Cannon, Alan Christoffels, Gianluca De Moro, Adrienne L. Edkins, Lin Fan, Anna Maria Fausto, Nathalie Feiner, Mariko Forconi, Junaid Gamieldien, Sante Gnerre, Andreas Gnirke, Jared V. Goldstone, Wilfried Haerty, Mark E. Hahn, Uljana Hesse, Steve Hoffmann, Jeremy Johnson, Sibel I. Karchner, Shigehiro Kuraku, Marcia Lara, Joshua Z. Levin, Gary W. Litman, Evan Mauceli, Tsutomu Miyake, M. Gail Mueller, David R. Nelson, Anne Nitsche, Ettore Olmo, Tatsuya Ota, Alberto Pallavicini, Sumir Panji, Barbara Picone, Chris P. Ponting, Sonja J. Prohaska, Dariusz Przybylski, Nil Ratan Saha, Vydianathan Ravi, Filipe J. Ribeiro, Tatjana Sauka-Spengler, Giuseppe Scapigliati, Stephen M. J. Searle, Ted Sharpe, Oleg Simakov, Peter F. Stadler, John J. Stegeman, Kenta Sumiyama, Diana Tabbaa, Hakim Tafer, Jason Turner-Maier, Peter van Heusden, Simon White, Louise Williams, Mark Yandell, Henner Brinkmann, Jean-Nicolas Volff, Clifford J. Tabin, Neil Shubin, Manfred Schartl, David B. Jaffe, John H. Postlethwait, Byrappa Venkatesh, Federica Di Palma, Eric S. Lander, Axel Meyer and Kerstin Lindblad-Toh. 
"The African coelacanth genome provides insights into tetrapod evolution." Nature 496, 311-316 (2013) doi:10.1038/nature12027

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International symposiumが遺伝研で開催されます

5月7日(火)に、国立遺伝学研究所にて、Sex Chromosome Turnoverのシンポジウムを開催します。米国より、性染色体急速進化の分野で著名なMark Kirkpatrick博士、Katie Peichel博士が来日し、基調講演をして頂きます。その他にも性染色体分野で活躍する国内外の研究者が発表し議論します。魚が中心ではありますが、できるだけ気楽に楽しく、共同研究などが発展するようにという姿勢で、北野がオーガナイズさせて頂きます。参加自由で参加費無料ですので、気軽にお越し下さい。


遺伝研へのアクセスはhttp://www.nig.ac.jp/about/map.htmlをご覧ください。
その他の問い合わせは北野まで。

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研究成果がG3(Genes Genomes Genetics)に掲載されました

研究成果がオンラインジャーナルのG3(Genes Genomes Genetics)に掲載されました。今回の成果は、鈴木班のメインプロジェクトの1つです。アブラナ科植物の生殖隔離に関連した不和合現象の遺伝学的解析をまとめたもので、高山班との共同研究の成果です。

受粉時における一側性不和合性(UI)は近縁種間の交雑時に頻繁に観察される受精拒絶システムの一つです。花粉親、雌しべ親ともに正常な個体において、雌雄の特定組み合わせでの受粉は成功するにもかかわらず、雌雄を入れ替えた逆交配では受精に至りません。本研究では、B. rapaの同一種内で確認されたUI機構について遺伝学的手法を用いて解析を行いました。その結果、雌しべ側制御因子は、自家不和合性制御遺伝子座(S遺伝子座)とは異なる1遺伝子座により支配されることが明らかになりました。また、以前に報告していた花粉側制御因子との強い連鎖が見られたことから 両制御因子が近接して存在していることが示されました。この遺伝子座領域に存在する雌しべ側制御因子をSUI、 花粉側制御因子をPUIと名付けました。さらに、SUIと自家不和合性との関連を明らかにする目的で、自家不和合性関連因子MLPKの突然変異体を用いた遺伝分析を行った所、変異型mlpk背景ではUIが打破されることを見いだしました。これら結果から、自家不和合性と反応機構を共有しつつ、種内UIを引き起こす花粉・柱頭認識因子の存在が明らかになりました。

Involvement of MLPK pathway in intraspecies unilateral incompatibility regulated by a single locus with stigma and pollen factors.  

Takada, Y., Sato, T., Suzuki, G., Shiba, H., Takayama, S., and Watanabe, M.

G3 (Genes Genomes Genetics) (2013) 3: 719-726.
【アドレス】http://www.g3journal.org/content/3/4/719.abstract

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