文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
Japan-Australia Symposium on Plant Sciences for Agriculture
10月23日に韓国・済州島で開催されたThe 7th Korea-Japan Joint Seminar, "Bioinformatics for Plant Biotechnology"に、スピーカーとして参加しました。
矢野は、"Integrated Omics Analysis and Web-Database Construction in Crops"というタイトルで、網羅的なオミックス情報解析手法についての話題提供を行いました。
ゲノム、トランスクリプトーム、メタボロームなどの大規模情報を取り扱う上での留意点、また、データベース基盤整備について紹介しました。
Evolution of
the House Mouseという書籍がCambridge university pressから今年の7月に出版されました。ハツカネズミ(マウス)は現在、哺乳動物で最も一般的な実験用生物であり幅広い分野の研究に利用されていますが、実は種分化研究にも適しています。というのも現在用いられているマウスの殆どは今から50〜100万年前に分岐したMus musculusの亜種であり、亜種間の雑種には生殖隔離とよばれる生殖や生存に関わる障害が頻繁におこりますが、亜種間の遺伝的距離は比較的近く、種分化の初期ステージを再現するような実験デザインが可能だからです。これまで西ヨーロッパに生息するM. m. domesticusと東ヨーロッパに生息するM. m. musculusの生息域の境界に存在するハイブリッドゾーン(交雑帯)のマウスを用いた種分化研究が、ハイブリッドゾーンがまさに縦断しているチェコ共和国の研究者らによって盛んに行われてきました。この書籍もチェコの研究者らMiloš Macholán、Stuart J. E. Baird、 Pavel Munclinger、Jaroslav Piálekによって編集されました。我々日本の研究者も日本固有の亜種M. m. molossinusを使って森脇和郎先生(現在理研BRC)が中心となり種分化研究を行ってきた経緯があり、今回の書籍にも森脇先生をはじめとして米川博通先生(東京都臨床医学総合研究所)や鈴木仁先生(北海道大学)らが参加されています。岡もThe role of the X chromosome in house mouse speciationというタイトルで一章を担当させていただきました。
2012年12月15日、総合研究大学院大学 学融合推進センターが主催し同学の大学院生が運営する「社会への発信プロジェクト」であるサイエンスカフェで山元が講演を行った。聴衆は東京の様々な大学に掲示したポスターを見てやってきた主に学生たち。テーマは、「レンアイをカガクする Shibuya de Science?」。渋谷のビルの10階で、「フェロモン・脳・遺伝子--異性を好きになるわけ―」と題して1時間余り講演し、その後質疑を行った。会場で初めて顔を合わせた者同士がにぎやかに議論をかわし、笑い声にあふれる会場の様子に元気をもらって帰ってきた。
鈴木班が取り上げている「インセスト回避」の植物におけるモデルともいえるのが、自家不和合性です。今回の総説は、アブラナ科植物における自家不和合性の歴史とでも言うか、自家不和合性とはから始まり、どの様に分類されているのか、なぜ、アブラナ科植物など限られた者で自家不和合性研究が展開されたかなど、基本的なところも取り上げて、これから自家不和合性研究をという方にもおすすめの形のものになったかと思います。お時間のある方は、めくって頂ければ、幸いです。今回、論文の表紙にもして頂き、2012年の終わりに当たり、研究代表・分担での執筆であり、記念となったと思います。
Molecular genetics, physiology and biology of self-incompatibility in Brassicaceae.
Watanabe, M., Suwabe, K., and Suzuki, G.
Proc. Jpn. Acad. Ser. B. 88: 519-535. (2012)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab/88/10/88_PJA8810B-02/_article
論文は、free pdfになっております。
わたなべしるす
PS. 渡辺の研究室HPに関連記事があります。あわせてご覧ください。