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最近、植物で大きなファミリーを形成している受容体型細胞質キナーゼ(RLCK: receptor-like cytoplasmic kinase)が、細胞膜に存在する受容体からの情報を細胞内に伝達する主要な因子であることが明らかになってきました。それらに関する最近の知見をまとめて、Plant Signal Behavに発表しました。

 

Yamaguchi K, Yamada, K, and Kawasaki, T (2013) Receptor-like cytoplasmic kinases are pivotal components in pattern recognition receptor-mediated singaling in plant immunity. Plant Signal Behav, in press

https://www.landesbioscience.com/journals/psb/article/25662/

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「ライフサイエンス領域融合レビュー」より総説が公開となりました。「植物における免疫誘導と病原微生物の感染戦略」というタイトルで、私の研究室の進捗を含めた本分野の最近の進捗をまとめました。

ライフサイエンス領域融合レビュー

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XV International Society of Molecular Plant-Microbe Interactionsを開催

 植物病理分野で最も権威のある学会の一つであるXV International Society of Molecular Plant-Microbe Interactionsを平成24年 7月29日- 8月2日にかけて京都国際会館で開催しました。「分子レベルで植物と病原体の相互作用を解析する」ことを目的とする総合学会で、生化学、分子生物学、細胞生物学、遺伝学などの関連分野の研究者らが多数参加しました。
 本会では、全世界の42カ国からおよそ1000人が京都に集い、海外から約650名もの参加者が有りました。このことは、本研究分野が世界レベルで重要であることを示しています。これまでの開催はすべて欧米で行われてきましたが、今回、初めて欧米以外の地域で開催されました。
 若手研究者の参加を促すため、学生の参加費の大幅な割引や学生を対象にしたTravel Awardsを設け、若手研究者の参加を促しました。また、若手研究者の育成にも力を入れ大会初日には、若手研究者主催によるワークショップを開催しました。このように、次世代を担う、若手研究者の育成にも貢献しました。


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病原菌に対する植物の免疫スイッチがONになる瞬間の可視化に世界で初めて成功

植物は病原菌の感染を認識するために細胞の表面に免疫受容体を持っている。病原菌の細胞壁成分であるキチンなどのオリゴ糖(少糖類)やフラジェリンなどのペプチド(タンパク質の断片)を目印として感知し、様々な防御反応を展開することが知られている。この免疫システムによって、植物は自然界に存在する何十万種にも及ぶ病原菌から身を守っている。我々は、イネを使って、植物の免疫システムがONになる瞬間を可視化し、そのメカニズムを世界に先駆けて発見した。可視化することによって、イネの細胞膜上で、病原菌が感染してから3分以内に免疫スイッチがONになっていることが明らかとなった。この成果は、セル ホスト&マイクローブ 誌 (Cell Press社、アメリカ) の平成25年4月17日付けの電子ジャーナル版に掲載された。

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植物は、病原菌の感染に伴い、病原菌の構成成分を受容体を介して検知する。その信号はMAPキナーゼカスケードに伝達され、様々な免疫反応を誘導されるが、受容体からの信号が、どのようにMAPキナーゼカスケードに伝達されるのか不明であった。我々は、白葉枯病菌がイネの免疫応答を阻害するためにイネ細胞内に分泌するXoo1488エフェクターの標的として、Receptor-like cytoplasmic kinase familyに属するOsRLCK185を同定した。OsRLCK185は、細胞膜上で、病原菌の構成成分であるキチンを認識する受容体であるOsCERK1と相互作用し、キチンを検知したOsCERK1OsRLCK185を、直接リン酸化することによって、免疫シグナルを細胞内に伝達することが明らかになった。さらに、OsRLCK185発現抑制体では、キチンに応答したMAPキナーゼの活性化が抑制されることから、OsRLCK185が、受容体とMAPキナーゼカスケードを繋ぐ分子であることがわかった。また、Xoo1488エフェクターは、OsCERK1によるOsRLCK185のリン酸化を阻害することで、免疫応答を抑制していることが明らかとなった。

 

なお、この論文は、Featured Articleとして無料で公開されています。

また、平成25314日(木)の読売新聞で研究内容が紹介されました。

 

Yamaguchi, K., Yamada, K., Ishikawa, K., Yoshimura, S., Hayashi, N., Uchihashi, K., Ishihama, N., Kishi-Kaboshi, M., Takahashi, A., Tsuge, S., Ochiai, H., Tada, Y., Shimamoto, K., Yoshioka, H., and Kawasaki, T.

A receptor-like cytoplasmic kinase targeted by a plant pathogen effector is directly phosphorylated by the chitin receptor and mediates rice immunity. Cell Host Microbe, 13: 347-357 (2013)

 

Cell Host Microbe 2013

 

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